膵頭十二指腸切除術(PD)後の合併症は早期合併症と、晩期合併症に分けられます。
早期合併症には
- 膵腸の縫合不全→腹腔内出血→腹腔内膿瘍
晩期合併症には、
- 胆道感染症
- 膵炎
- 消化吸収障害
といったものが挙げられます。
中でも恐ろしいのが、腹腔内出血で、膵液瘻に伴う仮性動脈瘤形成の破裂が原因と言われています。今回はPD後の出血についてまとめました。
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膵頭十二指腸切除後(PD)の出血
- PD後の出血は2.8~12%。
- 出血例の死亡率は30~58%にも及ぶ
- 大出血の前に警告出血がある。ドレーン排液や消化管出血に注意する。
- 術後早期(2週間以内)と術後後期(2週間以降)で病態が異なる。
術後早期(2週間以内)
- 原因:吻合部潰瘍、消化性潰瘍
- 出血様式:消化管出血
- 治療:内視鏡止血、膵消化管吻合部からの出血では手術。
術後後期(2週間以降)
- 原因:膵液瘻による仮性動脈瘤
- PD術後の4%程度に起こり、加療をしても3割は死亡と、死亡率が非常に高いので要注意。
- 出血様式:腹腔内出血/消化管出血で、進行する貧血があれば疑う。
- 術後の膵液瘻はリスクファクターとなる。
- 責任血管は、胃十二指腸動脈処理部が最多>総肝動脈>固有肝動脈。
- 治療はIVRもしくは外科手術。
- 治療による合併症としては、肝梗塞、膿瘍形成。