脊索腫
・遺残脊索から発生する腫瘍。
・病理学的には良性とされるが、浸潤・再発する傾向が強く、臨床的には悪性として扱われる。
・男女比=2:1
・細胞はムチンに富み、豊富な空胞(これもムチンを含む)が特徴的とされている。
・仙尾部>頭蓋底(斜台)>脊椎(軸椎の歯突起)に好発する。
・頭蓋底の脊索腫は全頭蓋内腫瘍の0.2-1%。
・頭蓋内発生例では、下垂体機能障害や脳神経症状を呈する。
・一般的に緩徐で、症状の出現も緩徐。
脊索腫の画像所見
・正中に位置することが特徴的で、他の腫瘍との鑑別の一助になる。
▶CT:
・境界明瞭な膨張性の軟部組織腫瘍。
・骨溶解像を呈し、時に辺縁に硬化像を伴う。
・半数以上の症例で、腫瘍内に不均一な高吸収域を伴い、石灰化もしくは破壊された変位した骨片とされる。
・造影にて中等度〜著明な造影効果を呈する。
▶MR:
・T1WIでは低〜等信号を呈する。腫瘍内出血や粘液貯留を反映した高信号域を伴うこともある。粘液瘤・石灰化・出血を反映する高信号成分が含まれることもある。
・T2WIで著明な高信号を呈し、特徴的とされる。豊富なムチンのため。信号強度では軟骨肉腫との鑑別が困難。
・ただし、出血・蛋白に豊富な粘液瘤や石灰化があれば、内部に低信号の隔壁が認められる事も多い。
・造影にて不均一に造影される。
・SWIで腫瘍内出血が認められる。
斜台原発の脊索腫の鑑別診断
- 骨転移
- 形質細胞腫
- 悪性リンパ腫
- 軟骨腫:MRは脊索腫と似る。正中よりやや外側に発生。
- 軟骨肉腫:MRは脊索腫と似る。CT上、特徴的なrings and arcs状の石灰化、正中よりやや外側に発生。
- giant vertebral notochord rest:病理組織学的には、良性病変。良性脊索細胞腫(benign notochordal cell tumor)という名称がよりふさわしいという意見あり。
- 骨病変以外:下垂体腺腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫