直腸癌の壁深達度(T分類)は以下の様に定義されています。

  • T0:癌を認めない。
  • Tis:癌が粘膜内(M)にとどまり、粘膜下層(SM)に及んでいない。
  • T1:癌が粘膜下層(SM)までにとどまり、固有筋層(MP)に及んでいない。
  • T2:癌が固有筋層(MP)まで浸潤し、これを超えていない。
  • T3:癌が固有筋層(MP)を超えて浸潤している。
    漿膜を有する部分では、癌が漿膜下層(SS)までにとどまる。
    漿膜を有しない部位では、癌が外膜(A)までにとどまる。)
  • T4a:癌が漿膜表面に接しているか、またはこれを破って腹腔へ露出している(SE)。
  • T4b:癌が直接多臓器への浸潤している(SI/AI)。

この深達度と実際のMRI画像との関係をまとめました。

その前に正常解剖から見ていきましょう。

直腸のMRI画像における正常解剖

まず直腸はT2WIで内側から

  • 粘膜:低信号(今回の内腔の低信号すべてが粘膜ではなくガスも含まれています)
  • 粘膜下層:高信号
  • 固有筋層:低信号

と描出されます。

そして直腸周囲の解剖は以下の様になります。

直腸の周囲には直腸固有筋膜があり、これと直腸の間の脂肪層を直腸間膜といいます。

関連:直腸癌の画像診断で重要な直腸間膜と直腸間膜筋膜(mesorectum&mesorectal fascia)

直腸癌の深達度分類ではこれらの正常解剖の理解が必須となります。

次に腫瘍と深達度の関係を見ていきましょう。

T1

癌が粘膜下層(SM)までにとどまり、固有筋層(MP)に及んでいないのがT1です。

高信号な粘膜下層には及びますが、その外側の固有筋層には及んでいない状態です。

症例 70歳代 男性

直腸Rb後壁に腫瘤あり、筋層は明瞭に残存しており、至っていないことが推測されT1と診断できます。(手術が施行されT1と診断されました。)

T2

癌が固有筋層(MP)まで浸潤し、これを超えていないのがT2です。

3層目の低信号な固有筋層に及びますが、これを超えない状態です。

症例 60歳代男性

直腸Rb左側壁に腫瘤あり、DWIと合わせると筋層を超えていないことが推測され、T2と診断できます。(手術が施行されT2と診断されました。)

T3

癌が固有筋層(MP)を超えて浸潤しているのがT3です。

(漿膜を有する部分では、癌が漿膜下層(SS)までにとどまる。漿膜を有しない部位では、癌が外膜(A)までにとどまる。)

低信号の固有筋層を超えていますが、その外側の直腸固有筋膜には到達していない状態です。

T3症例においてはCRMの評価が重要となります。

関連記事:直腸癌のMRI画像診断で重要なCRMとは?

症例 50歳代 男性

直腸Rbに4時方向に筋層の低信号の断裂を認めており、筋層を超えて進展しているT3と診断できます。(手術が施行されT3と診断されました。)

T4

癌が漿膜表面に接しているか、またはこれを破って腹腔へ露出している(SE)のがT4です。

(さらに、直接多臓器への浸潤がなければT4a、あればT4b)

直腸固有筋膜を腫瘍が超えている状態です。

症例 70歳代女性

腫瘍が漿膜(直腸固有筋層)を超えて、漿膜下組織まで到達しており、T4bと診断できます。

 

症例によってはT2WIでの評価が難しいこともありますが、腫瘍と深達度の関係は以上のようになります。(手術が施行されT4bと診断されました。)

 

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