小脳橋角部の偽腫瘍である小脳片葉、後四角小脳(単小葉)とは?
- 頭部CTやMRIで小脳橋角部にあたかも腫瘍のように見えてしまう偽病変がある。
- いずれも小脳の構造の一部であり、小脳片葉(flocculus)、後四角小脳(単小葉)(posterior quandrant lobule)と呼ばれる正常構造である。
- 中小脳脚レベルで橋と小脳の間に見られるのが後四角小脳(単小葉)であり、小脳片葉よりサイズが大きく上下にスクロールすると小脳と連続していることが分かる。
- 一方で、下小脳脚レベルで延髄との間に見られるのが小脳片葉である。
症例 50歳代女性
中小脳脚レベルで小脳と連続する前方への突出を認めています。
これが後四角小脳(単小葉)です。
(ちなみに右内耳道内に聴神経腫瘍を疑う結節を認めています。)
相当する部位をT2WIで観察するとT2WIでも同定できます。
T2WIの方が厚みがあるため、あたかも腫瘤のように見えます。
(右内耳道内の聴神経腫瘍を疑う結節はT2WIでも同定可能です。)
次に、下小脳脚レベルで延髄との間に前方外側に突出している構造があります。
これが小脳片葉です。
相当する部位をT2WIで観察するとT2WIでも同定できます。
これらを腫瘍としないように注意が必要です。
参考:
- 画像診断 Vol.34 No.5 2014 P422
- 頭部画像解剖 徹頭徹尾 P75