先に結論:periportal collar sign(門脈周囲の低吸収帯)とは
- CTで肝臓の中の門脈に沿って、両側を縁取る黒っぽい帯(低吸収域)が見える所見で、MRIではT2強調像で白く見えます(PAI)。門脈のまわりのむくみ(リンパ浮腫)や炎症を反映しています
- 主な原因:急性肝炎、右心不全(うっ血肝)、胆管炎・胆嚢炎、肝外傷、肝移植後の拒絶、大量輸液後、骨髄移植後の類洞閉塞症候群など。肝臓に限らず全身のむくみでも見られます
- 拡張した胆管と間違えやすいため、門脈の両側を取り囲む点(胆管拡張は門脈の片側に並ぶ)で区別します。所見そのものより、背景の病気を探すことが大切です
- periportal edema(門脈周囲浮腫)・periportal halo・periportal trackingもCTでは同じ所見を指して使われます。ただし原発性胆汁性胆管炎(PBC)のMRIでいうperiportal halo signは別の所見です
periportal collar(halo) signとは?
- 単純CTもしくは造影CTで肝臓の(胆管拡張以外に)門脈周囲に沿った低吸収の帯状域を認めることがあり、periportal collar(halo)と呼ばれる。
- MRIではT2WIで同部位は高信号として認められperiportal abnormal intensity:PAIと呼ばれる。
- 組織学的には門脈域に生じた炎症性変化、リンパ浮腫。門脈まわりの疎な結合組織にたまった液体や、拡張したリンパ管を見ていると考えられています(Lawson 1993)。
periportal collar・halo・edema・PAIの違い(用語の整理)
| 用語 | 検査 | 意味 |
|---|---|---|
| periportal collar / periportal halo / periportal tracking | CT | 門脈枝を全周性に取り囲む低吸収の帯。ほぼ同じ意味で使われる |
| periportal edema(門脈周囲浮腫) | CT・MRI | 上の所見の原因となる、門脈周囲のむくみ(浮腫)を指す言葉 |
| periportal abnormal intensity(PAI) | MRI | 同じ部位がT2強調像で高信号に見えるもの |
| periportal halo sign(PBC) | MRI | 原発性胆汁性胆管炎で、門脈枝を中心とした小さな丸い低信号域が並ぶ所見。浮腫の所見とは別物 |
- PBCのperiportal halo signは、PBC 21例の43%に見られ、PBC以外の肝硬変21例には見られませんでした(Wenzel 2001)。PBC 283例の検討では27.6%に見られ、高度の線維化がある患者にだけ認められました(Idilman 2020)。
periportal collar(halo) signの鑑別診断は?
- 肝外傷:肝裂傷や肝静脈圧上昇による。外傷CTでは、門脈周囲の浮腫や血液のtrackingを肝裂傷と誤認する偽陽性が、誤読のパターンの一つとして報告されています。重症外傷68例のCTでは27.9%に門脈周囲浮腫があり、輸液量が多いことと関連しており、肝損傷ではなく輸液の負荷や静脈うっ滞を反映していることがあります(Kleber 2013)。
- 肝硬変、特に原発性胆汁性胆管炎(PBC:primary biliary cholangitis。旧称 原発性胆汁性肝硬変)
- 急性肝炎(急性肝炎412例の造影CTでは84.7%に門脈周囲のtrackingが見られました(Park 2013))
- 急性胆嚢炎
- 胆管炎:原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis;PSC)など
- 肝移植後拒絶反応。(肝移植後のCTの検討では、periportal collarは急性拒絶に対して感度100%・特異度86%・陽性的中率62%で、組織学的には門脈域へのリンパ球浸潤に対応していました。ウイルス性肝炎や非特異的な浮腫でも見られるため、所見だけで拒絶と決めつけないことが大切です。)
- 肝門部腫瘍(リンパ節転移など)
- 右心不全
- 骨髄移植後(類洞閉塞症候群による)
- その他:肝膿瘍、急性膵炎、急性腎盂腎炎(274例の11%に見られ、腎病変が広いほど多い(Vollmann 2011))、粘液性の胆管細胞癌など。
periportal collar signの原因とならないのは?
- 急性胆のう炎
- 右心不全
- 肺炎
- 急性肝炎
正解!
不正解...
正解は肺炎です。
肺炎はperiportal collar signの直接の原因とはなりません。
問題に戻る
症例 30歳代男性 急性肝炎に伴うperiportal collar

門脈周囲両側に低吸収域を認めており、periportal collarを疑う所見です。
症例 60歳代男性 右心不全に伴うperiportal collar

門脈周囲両側に低吸収域を認めており、periportal collarを疑う所見です。
症例 60歳代男性 右心不全

門脈周囲両側に低吸収域を認めており、periportal collarを疑う所見です。
症例 30歳代男性 急性肝炎


門脈両側に高信号を認めており、periportal abnormal intensity:PAIの所見です。
※CTでは、periportal collarと表現しますが、MRIのT2WIではperiportal abnormal intensity:PAIと表現します。
動画で学ぶ右心不全に伴うperiportal collar
動画で学ぶ急性肝炎に伴うperiportal collar (30歳代男性)
参考)肝胆膵の画像診断―CT・MRIを中心に (『画像診断』別冊KEY BOOKシリーズ)
参考文献
- Lawson TL, Thorsen MK, Erickson SJ, et al. Periportal halo: a CT sign of liver disease. Abdom Imaging. 1993;18(1):42-46. PubMed
- Park SJ, Kim JD, Seo YS, et al. Computed tomography findings for predicting severe acute hepatitis with prolonged cholestasis. World J Gastroenterol. 2013;19(16):2543-2549. PubMed
- West OC, Anderson J, Lee JS, et al. Patterns of diagnostic error in trauma abdominal CT. Emerg Radiol. 2002;9(4):195-200. PubMed
- Wechsler RJ, Munoz SJ, Needleman L, et al. The periportal collar: a CT sign of liver transplant rejection. Radiology. 1987;165(1):57-60. PubMed
- Siegel MJ, Herman TE. Periportal low attenuation at CT in childhood. Radiology. 1992;183(3):685-8. PubMed
- Karcaaltincaba M, Haliloglu M, Akpinar E, et al. Multidetector CT and MRI findings in periportal space pathologies. Eur J Radiol. 2007;61(1):3-10. PubMed
- Wenzel JS, Donohoe A, Ford KL 3rd, et al. Primary biliary cirrhosis: MR imaging findings and description of MR imaging periportal halo sign. AJR Am J Roentgenol. 2001;176(4):885-889. PubMed
- Idilman IS, Venkatesh SH, Eaton JE, et al. Magnetic resonance imaging features in 283 patients with primary biliary cholangitis. Eur Radiol. 2020;30(9):5139-5148. PubMed
- Kleber C, Buschmann CT. Clinical implications of immediate or later periportal edema in MS-CT trauma scans: surrogate parameter of intravenous fluid status and venous congestion. Emerg Radiol. 2013;20(3):197-202. PubMed
- Vollmann R, Schaffler GJ, Spreizer C, et al. Clinical significance of periportal tracking as an extrarenal manifestation of acute pyelonephritis. Abdom Imaging. 2011;36(5):557-560. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →

急性胆嚢炎の場合腹部超音波検査でperiportal collarは描出されるのでしょうか
コメントありがとうございます。
肝実質とグリソン鞘との音響インピーダンスの差が上昇するため、びまん性に肝内門脈壁エコーが増強し、高エコー域の浮腫性変化を認めることがある。
門脈右枝や左枝、臍部などの比較的太い門脈枝が観察しやすい。
と記載がありますので、CT同様に胆嚢炎でも描出されることがあります。
参考文献:レジデントノート Vol.22 No.14(増刊)2020 P111-112
↑こちらの書籍には実際の画像も掲載されています。
早々に丁寧に説明ありがとうございました。
回答は大外れ。
肝疾患のCT像はほとんどみていませんでした。その理由は急性期病院へお願いするからです。下手に画像撮らない方が良いとおもってしまいます。
とはいえ 内科ですから、関係は深いですが periprtal sign, tram line 。 漿膜下浮腫という単語は聞いたことがありませんでした。今 肝硬変、原発性肝がんの患者をうけもっているので もらった画像をみなおします。
ところでこの症例の胆嚢の漿膜下浮腫の中に強く造影されているのは胆汁でしようか。
私信:明日から手術を受けるために入院です。勿論そのための画像は X線。MRIでした。しばらくお休み。
periportal collarは単純CTでも判断できますか?いつもためになる症例をありがとうございます!
コメントありがとうございます。
単純CTでも指摘可能ですが、造影やMRIに比べると指摘はしにくいです。