新生児・乳児けいれんのMRI 原因を画像で探す・読む順番

生後2週の赤ちゃんが、手足をピクピクさせるけいれんを起こしました。「頭のMRIで原因を調べましょう」と言われましたが、MRIでは何が分かるのですか?
新生児のけいれんは、脳に何か起きているサインのことが多く、MRIで原因を探します。脳梗塞、低酸素性虚血性脳症(HIE)、出血、感染、脳の形成異常などが主な候補です。ここでは、研修医の方が新生児・乳児のけいれんのMRIを見るときに、何を探して、何と区別するかを整理します。

先に結論:新生児・乳児のけいれんは「原因を画像で探す」。見る場所と病日で整理する

項目 ポイント
新生児 けいれんのある新生児はMRIで原因を調べる。多くはHIE・脳梗塞・出血・感染
頻度(236例) 急性症候性けいれんの新生児で、脳梗塞36%、HIE 28%、脳内出血9%、感染疑い7%、MRI正常9%
乳児(1〜24か月) 初回の無熱性けいれんでは、MRI実施例の58%に異常。MRIは全例で条件付きに推奨
落とし穴 MRIが正常でもHIEのことがある。撮影時期とDWIの変化に注意
約15% 代謝・遺伝の検査が必要になる。画像は原因の入り口

なぜけいれんでMRIを撮るのか

新生児のけいれんは、新生児期の神経障害の最も多く特徴的なサインです。大部分は臨床症状がはっきりしない(脳波でのみ確認される)ため、見逃されやすい点も特徴です。専門家の総説では、けいれんのある乳児は全員MRIを撮って原因を探すべきだとされ、原因の大部分は低酸素性虚血性の障害、脳梗塞、出血、感染です。約15%は、代謝や遺伝のスクリーニングを含む、より複雑な検査の流れが必要になります(Ramantani 2019)。

年齢でも考え方が変わります。国際抗てんかん連盟(ILAE)の2022年の提案では、生後から2歳までに発症するてんかん症候群を、自然に治まるタイプと、発達に影響する発達性てんかん性脳症に分け、原因に特異的な症候群も含めて整理しています(Zuberi 2022)。この記事は、新生児(生後28日まで)と乳児(1〜24か月)の2つに分けて、画像から考える方法を紹介します。熱性けいれんは対象外です。

新生児:原因別のMRI

新生児のMRIの読み方は、2023年の多施設の登録研究が参考になります。急性症候性けいれんの新生児236例(日齢の中央値は4日でMRI実施)では、91%でMRIに異常があり、放射線学的な原因は次のとおりでした(Li 2023)。

MRIでの診断 割合 見え方の要点
局所性の脳梗塞 36% 皮質の腫脹と皮質リボンの消失、ADCの低下
HIE 28% 深部灰白質(基底核・視床)の拡散低下など。HIEの記事
頭蓋内出血 9% SWI・T1強調像で出血を確認
感染の疑い 7% ヘルペス、パレコウイルスなど(下記)
その他 12% 形成異常、代謝性など。代謝は高アンモニア血症やLeigh脳症の記事も参考に
MRI正常 9% 正常でも臨床的にHIEと診断された例が14/22

(Li 2023。複数の診断を持つ例が18%あるため、合計は100%にならない)

皮質の損傷は50%、深部灰白質の損傷は38%でした。HIE、脳内出血、皮質の損傷は、けいれんの負担が大きいこと(発作が頻繁に起こること)と独立に関連しました。感染を示す画像は、退院時の神経学的な異常と関連しました(Li 2023)。

症例 新生児 脳梗塞(A)と深部灰白質の拡散低下(B)

新生児けいれん 動脈性脳梗塞(T2強調像)と深部灰白質の拡散低下(ADC)
引用:Li Y, et al. J Perinatol. 2023;43(11):1392-1397 (Figure 2) PMC(CC BY 4.0)

A:T2強調像で、皮質リボンが失われた腫脹した皮質があり(矢印)、動脈性脳梗塞に伴う皮質の損傷です。B:ADCマップで、両側の深部灰白質に拡散低下があります(矢頭)。新生児のけいれんでは、このように皮質と深部灰白質の損傷のパターンを分けて読みます。

新生児の感染症:ヘルペスとパレコウイルス

新生児の単純ヘルペス脳炎14例の報告では、診断時の日齢の中央値は26日(7〜51日)で、初期症状は発熱とけいれんが多く、早期のMRIは細胞毒性浮腫を示し、のちに多嚢胞性脳軟化症へ進みました(Liu 2026)。ヒトパレコウイルス髄膜脳炎の6例では、生後35日以内にけいれん、易刺激性、敗血症様の症状で発症し、MRIでは視床、脳梁、皮質下白質(前頭〜頭頂に優位)に拡散低下が一貫して見られました(Sarma 2019)。

見落としやすい点

新生児では、MRIが正常でも原因が否定できないことに注意します。236例のうちMRI正常の22例では、14例が臨床的にHIEと診断されていました(Li 2023)。撮影の時期とDWIの変化(偽正常化)は、HIEの記事で詳しく説明しています。静脈洞血栓症も新生児のけいれんの原因になるため、静脈の評価が必要な場合は脳静脈洞血栓症の記事が役立ちます。

新生児の正常像と、読み間違えやすい点

新生児の脳は髄鞘化(神経線維を包む鞘ができること)が途中で、白質の見え方が大人と違います。髄鞘化が進んでいない白質はT2強調像で高信号に見え、髄鞘化が進んだ部位(例:内包後脚や脳幹の背側)はT1強調像で高信号になります。これらは正常な発達の見え方で、病変と混同しないようにします。さらに、新生児は皮質が薄いため、「皮質リボンが失われた」かどうかは、同じ日齢の正常像と比べて判断します。左右差があるか、対称かも、梗塞(多くは片側)とHIE(多くは両側・対称)を分ける手がかりになります。

超音波・CT・MRIの使い分け

新生児は、大泉門を使った頭部超音波を最初に行うことが多く、出血や水頭症の確認に役立ちます。CTは短時間で撮れ、石灰化や出血の確認に向きますが、脳梗塞や髄鞘化、HIEの評価はMRIが優れています。MRIは撮像に時間がかかり、赤ちゃんを静止させる必要があるため、鎮静や、眠っている間の撮像(哺乳後に寝かせるなど)を、施設ごとに工夫しています。

乳児(1〜24か月):初回の無熱性けいれん

2026年のILAEの画像診断の勧告は、1〜24か月の乳児の初回の無熱性けいれん・新規発症てんかんを対象に、17研究・1,209例を系統的に検討しました。MRIを受けた753例のうち438例(58.2%)に異常がありました。MRIは全例で条件付きに推奨され、異常が見つかりやすい特徴(焦点発作、神経学的な異常、5分を超える発作、焦点性の脳波異常、発達の遅れ、周産期の合併症)のある乳児は優先して撮るとされています。ただし、根拠の確実性は非常に低く、MRIの撮像条件を決めるだけのデータはありませんでした(Winston 2026)。

乳児スパズム

乳児スパズムの71例では、52例でMRIに異常があり、発達の異常(形成異常)が23例、後天的な障害が23例、非特異的が6例でした。臨床の特徴とMRIの型には関連がなく、再検査では形成異常の範囲がより明瞭になりました(Harini 2018)。再検査で、形成異常の範囲がより明瞭になることがあります。

年齢別・読み方の整理

年齢 まず考える原因 見る順番
生後〜数日 HIE、脳梗塞、頭蓋内出血 DWI→T2→SWI/T1(出血)
生後1〜4週 感染(ヘルペス・パレコウイルス)、静脈洞血栓、代謝 DWI→造影・MRV→必要に応じて代謝検査
1〜24か月 形成異常、脳梗塞後の変化、遺伝性、感染後 髄鞘化の程度、皮質の形、再検査の検討

(各項目はLi 2023、Liu 2026、Sarma 2019、Winston 2026、Harini 2018、Ramantani 2019をもとにした整理)

レポートに書いておきたいこと

新生児・乳児のけいれんのMRIでは、診断名を断定するよりも、次の情報を整理して書くと臨床医に伝わります。(1)撮影時の日齢、(2)損傷が皮質中心か、深部灰白質中心か、(3)左右対称か、片側か、(4)出血の有無、(5)拡散低下の範囲、(6)形成異常を疑う所見の有無です。MRIが正常のときも、「撮影時期の影響を考慮し、臨床的に疑われる場合は再検査を検討」といった形で、限界を書いておくと安全です。

読影のチェックリスト

確認すること 見る理由
撮影時の日齢・病日 時期で見え方が変わる。DWIは日数が経つと偽正常化することがある
皮質と深部灰白質の損傷 皮質の損傷は脳梗塞に多く、深部灰白質の損傷はHIEで多い。両方あれば混在を考える(Li 2023)
出血(SWI・T1) 出血は、けいれんの負担が大きいことと関連する(Li 2023)
拡散低下の分布 視床・脳梁・皮質下白質ならパレコウイルス、側頭葉や多嚢胞化ならヘルペスを考える(Sarma 2019、Liu 2026)
皮質の形・髄鞘化 乳児では形成異常や髄鞘化の遅れを確認する(Harini 2018)
正常でも結論を急がない 正常MRIでもHIEと診断された例がある(Li 2023)

よくある疑問(Q&A)

Q. 新生児のけいれんは、すべてMRIが必要ですか?

総説では、けいれんのある乳児は全員MRIを撮って原因を探すべきだとされています(Ramantani 2019)。実際の検査は、赤ちゃんの状態や施設の体制によって決まるため、担当の医師と相談してください。

Q. MRIが正常なら、脳に問題はないのですか?

新生児では、MRIが正常でも臨床的に低酸素性虚血性脳症と診断された例があります(Li 2023)。撮影の時期や検査の組み合わせで判断が変わるため、MRIの結果だけでなく経過を合わせて評価します。

Q. 乳児のけいれんでも、MRIで異常が見つかる割合は高いですか?

1〜24か月の初回の無熱性けいれんでは、MRIを受けた乳児の58.2%に異常がありました(Winston 2026)。ただし、集められた研究の質には限りがあります。

Q. MRIで異常がなければ、それ以上の検査は不要ですか?

MRIは原因を探す入り口で、約15%は代謝や遺伝の検査が必要になります(Ramantani 2019)。赤ちゃんにけいれんのような動きがある場合は、早めに医療機関に相談してください。

あわせて読みたい:小児急性脳症のMRI、急性小脳炎のMRI、小児脳梗塞のMRI

参考文献

  1. Ramantani G, Schmitt B, Plecko B, et al. Neonatal Seizures-Are We there Yet? Neuropediatrics. 2019;50(5):280-293. PubMed
  2. Li Y, Scheffler A, Barkovich AJ, et al. Neonatal brain MRI and short-term outcomes after acute provoked seizures. J Perinatol. 2023;43(11):1392-1397. PubMed
  3. Winston GP, Salemme S, Cantalupo G, et al. Recommendations for structural magnetic resonance imaging in infants with first afebrile seizure or new onset epilepsy: Evidence-based recommendations from the ILAE Neuroimaging Task Force. Epilepsia. 2026;67(6):2725-2738. PubMed
  4. Zuberi SM, Wirrell E, Yozawitz E, et al. ILAE classification and definition of epilepsy syndromes with onset in neonates and infants: Position statement by the ILAE Task Force on Nosology and Definitions. Epilepsia. 2022;63(6):1349-1397. PubMed
  5. Harini C, Sharda S, Bergin AM, et al. Detailed Magnetic Resonance Imaging (MRI) Analysis in Infantile Spasms. J Child Neurol. 2018;33(6):405-412. PubMed
  6. Sarma A, Hanzlik E, Krishnasarma R, et al. Human Parechovirus Meningoencephalitis: Neuroimaging in the Era of Polymerase Chain Reaction-Based Testing. AJNR Am J Neuroradiol. 2019;40(8):1418-1421. PubMed
  7. Liu L, Wang L, Zhang P, et al. Neonatal herpes simplex virus encephalitis: a single-center retrospective study of 14 cases. Front Pediatr. 2026;14:1740937. PubMed

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