先に結論:高アンモニア血症による脳症
- 高アンモニア血症ではアンモニアがアストロサイト(星状膠細胞)を腫らし、脳浮腫・意識障害・けいれんを起こします。原因は急性肝不全・バルプロ酸・尿素サイクル異常症などです
- 急性期のMRIでは島回・帯状回を中心とした大脳皮質の腫れとDWI高信号が特徴で、中心前回や後頭葉は比較的保たれます
- 慢性の肝疾患では淡蒼球のT1高信号(マンガン沈着)も見られます。原因不明の意識障害では血中アンモニアを測ることが大切です
高アンモニア血症による脳症
- 肝臓での代謝能力を超える血中アンモニア上昇により、アンモニアによる浸透圧調整異常が起こり、星状膠細胞内のグルタミン濃度が上昇し、星状膠細胞内の浮腫、膨化が起こり、脳浮腫や脳症が起こると考えられている。
- びまん性脳浮腫により嘔吐、痙攣、傾眠、低緊張などの脳圧亢進症状を来す。
- 原因としては、急性肝障害、薬物中毒(バルプロ酸、アセトアミノフェン)、骨髄移植、非経口栄養下など。
高アンモニア血症の原因:肝臓の病気とそれ以外
- 成人の高アンモニア血症の90%は重い肝疾患によるもので、残りでは肝硬変のない原因(薬剤、尿素サイクル異常症、門脈体循環シャントなど)を考えます(Laish 2011)。
- 肝機能が正常でも、原因不明の意識障害では血中アンモニアを測ることが勧められています(Laish 2011)。
高アンモニア血症による脳症の画像所見
- 急性期の高アンモニア血症では、大脳皮質(特に帯状回、島回)に腫脹とT2WI・DWI高信号を認める。
- 一次運動野や後頭葉は保たれる傾向にある。成人の急性高アンモニア血症性脳症4例の検討では、全例で両側対称性の島皮質・帯状回病変(しばしば拡散制限を伴う)を認め、それ以外の皮質病変はより多様で非対称であった。皮質下白質の病変は1例のみで、基底核・視床・中脳に病変を認めた例もあった。
- 慢性の高アンモニア血症では、中心前回や内包後脚などの大脳白質や中小脳脚などにT2WI高信号を認める。
症例 60歳代男性 混乱と意識状態の低下を呈するアルコール依存症患者。

引用:Radiopaedia
島回や帯状回を中心にびまん性に大脳皮質にDWI高信号、ADC信号低下あり。急性期の高アンモニア血症を疑う所見です。
大脳基底核T1WI高信号あり。肝性脳症によるMn沈着を反映していると考えられます。
アンモニア脳症でよくある疑問(Q&A)
Q. アンモニア脳症と肝性脳症の違いは?
A. 肝性脳症は肝臓の病気による脳症で、高アンモニア血症が主な原因の一つです。アンモニア脳症は肝臓以外の原因も含めた、アンモニアの上昇による脳症を指します。
Q. どんな症状で受診すべき?
A. 肝臓の病気がある人の混乱・強い眠気・意識の低下は早めの受診が必要です。気になる症状があれば医療機関に相談してください。
参考文献:頭部 画像診断の勘ドコロNEO P247-8
- U-King-Im JM, Yu E, Bartlett E, et al. Acute hyperammonemic encephalopathy in adults: imaging findings. AJNR Am J Neuroradiol. 2011;32(2):413-418. PubMed
- Rovira A, Alonso J, Córdoba J. MR imaging findings in hepatic encephalopathy. AJNR Am J Neuroradiol. 2008;29(9):1612-1621. PubMed
- Laish I, Ben Ari Z. Noncirrhotic hyperammonaemic encephalopathy. Liver Int. 2011;31(9):1259-70. PubMed
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