
先に結論:POEMS症候群は形質細胞の病気が原因で、しびれ(多発ニューロパチー)に、骨硬化性病変・むくみ・臓器腫大などが重なる病気。CTで小さな骨硬化性病変を探すのがポイント
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 何か | 形質細胞腫瘍(M蛋白をつくる細胞)を背景に、全身に多彩な症状が出る症候群 |
| 名前の由来 | P(多発ニューロパチー)・O(臓器腫大)・E(内分泌異常)・M(M蛋白)・S(皮膚変化) |
| 画像の特徴 | CTで多発する小さな骨硬化性病変、リンパ節腫大(Castleman病)、肝脾腫、胸水・腹水などの体液貯留 |
| 心配か | 放置すると生命にかかわるが、早く見つけて治療すると経過は良くなる |
| 次にすること | 血液内科・脳神経内科で、M蛋白・VEGF・骨病変の評価 |
POEMS症候群とは
POEMS症候群は、背景にある形質細胞腫瘍によって起こる、生命にかかわりうる病気です(Dispenzieri 2023)。名前は Polyneuropathy(多発ニューロパチー)、Organomegaly(臓器腫大)、Endocrinopathy(内分泌異常)、M-protein(M蛋白)、Skin changes(皮膚変化)の頭文字に由来します(Warsame 2017)。
手足のしびれや力の入りにくさで始まることが多く、ほかの神経の病気と区別が難しいため、診断が遅れやすいとされます(Esfahani 2026)。
診断基準(Dispenzieri 2023)
診断には、必須の大基準2つ(多発根神経障害と単クローン性形質細胞異常)を含む大基準3つ以上と、小基準1つ以上が必要です(Dispenzieri 2023)。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 必須の大基準 | ①多発根神経障害(polyradiculoneuropathy) ②単クローン性形質細胞異常 |
| その他の大基準(1つ以上) | ③骨硬化性病変 ④血管内皮増殖因子(VEGF)の上昇 ⑤Castleman病 |
| 小基準(1つ以上) | 臓器腫大、内分泌異常、特徴的な皮膚変化、うっ血乳頭、血管外の体液貯留(浮腫・胸水・腹水)、血小板増多 |
このうち骨硬化性病変・Castleman病・臓器腫大・体液貯留は画像で見つけられる項目です。放射線科医が最初に疑いを挙げられる病気でもあります。
画像所見
骨硬化性病変(CT)
POEMS症候群24例のCTを見直した研究では、次のような特徴がありました(Glazebrook 2015)。
- 全例のCTで1つ以上の骨硬化性病変がみられた
- 最も多いパターンは1cm未満の小さな硬化性病変の多発で、75%(18例)は1cm未満の病変を5個以上もっていた
- 大きめの病変は中心が溶骨性で、辺縁が硬化しており、FDGの集積を示した
- 骨のX線(全身骨撮影)では36%(8例)が偽陰性で、小さな病変はX線では見つけにくい
- 治療後のCTでは53%で病変が小さく・少なくなり、多くは硬化がむしろ強くなった。2例は消失した
114例の検討では、溶骨性病変を伴う例が14.9%あり、数えきれないほど多数の骨病変は溶骨性病変の有無にかかわらず予後不良の因子でした(Mishina 2025)。造骨性病変の鑑別は 造骨性(硬化性)骨病変の鑑別の記事、溶骨性病変が目立つ多発性骨髄腫との違いは 多発性骨髄腫の画像診断の記事 も参考にしてください。
FDG-PET/CT
未治療のPOEMS症候群90例のFDG-PET/CTでは、FDGが集まる骨病変が140個あり、骨盤に多く、多くは溶骨と硬化の混在型でした。65例に肝腫大または脾腫、46例に漿膜腔の液体貯留(胸水・腹水など)、4例にFDG集積を伴うリンパ節腫大、男性5例に女性化乳房がみられ、治療3か月後には骨病変の集積が低下しました(Pan 2015)。
Castleman病・リンパ節
Castleman病は大基準のひとつです(Dispenzieri 2023)。特発性の多中心性Castleman病は、POEMS症候群やTAFRO症候群に関連して現れることがあります(Carbone 2021)。CTでリンパ節腫大があり、POEMS症候群が疑われる場合は、生検でCastleman病の組織像を確認することがあります(Esfahani 2026)。Castleman病そのものについては キャッスルマン病の記事 で解説しています。
体液貯留(浮腫・胸水・腹水)と神経
血管外の体液貯留は小基準のひとつで、胸水は予後不良の因子にも挙げられています(Dispenzieri 2023)。胸水の見方は 胸水の記事 を参照してください。MRIで脊髄神経根の腫大と造影増強がみられ、溶骨と硬化が混在した骨病変と組み合わせて診断の手がかりになった報告もあります(Esfahani 2026)。神経根の造影はギラン・バレー症候群やCIDPでもみられるため(GBS・CIDPのMRIの記事)、骨病変を一緒に探すことが大切です。
症例 30歳代男性 POEMS症候群

引用:Esfahani et al. Radiology Case Reports 2026 (Figure 3)(CC BY 4.0)
造影CTの横断像です。右鼠径部に造影される複数のリンパ節(A・黄矢印)、骨盤の骨に溶骨性病変(B・赤矢印、D・青矢印)と硬化性病変(C・緑矢印)がみられます。POEMS症候群では、このように硬化性と溶骨性が混在する骨病変をCTで探します。(出典:Esfahani et al. Radiology Case Reports 2026, Figure 3, CC BY 4.0)
治療と予後
目立つ形質細胞腫が限られた範囲にある場合は放射線治療が第一選択で、骨病変が広範囲・骨髄に病変が広がる場合は全身治療(化学療法や自家造血幹細胞移植など)が行われます(Dispenzieri 2023)。低アルブミン、年齢、胸水、肺高血圧、腎機能(eGFR)の低下がリスク因子とされています(Dispenzieri 2023)。早く見つけて支持療法と形質細胞への治療を始めることで、最もよい経過が得られるとされます(Dispenzieri 2023)。
次にすること
- 手足のしびれ・力が入りにくい状態が続き、むくみや皮膚の変化を伴う場合は、脳神経内科・血液内科に相談してください。
- CTで「多発する小さな骨硬化」「肝脾腫」「胸水・腹水」を指摘され、しびれもある場合は、M蛋白やVEGFの検査が検討されます。
- 気になる症状があれば医療機関を受診し、検査や治療は主治医に相談してください。
よくある疑問(Q&A)
Q. 多発性骨髄腫とは違うの?
A. どちらも形質細胞の病気ですが、POEMS症候群は多発ニューロパチーと骨硬化性病変などを特徴とする別の症候群として診断されます(Dispenzieri 2023)。
Q. 骨のX線で異常がなければ否定できる?
A. できません。全身骨X線は36%で病変を見逃し、CTのほうが小さな硬化性病変をよく見つけます(Glazebrook 2015)。
Q. 治療で骨の病変は消える?
A. 小さく・少なくなることがありますが、多くは硬化がかえって強くなるため、「白さが増した=悪化」とは限りません(Glazebrook 2015)。
あわせて読みたい:TAFRO症候群(タフロ症候群)の画像診断のポイント
参考文献
- Dispenzieri A. POEMS syndrome: Update on diagnosis, risk-stratification, and management. Am J Hematol. 2023;98(12):1934-1950. PubMed
- Warsame R, Yanamandra U, Kapoor P. POEMS Syndrome: an Enigma. Curr Hematol Malig Rep. 2017;12(2):85-95. PubMed
- Glazebrook K, Guerra Bonilla FL, Johnson A, et al. Computed tomography assessment of bone lesions in patients with POEMS syndrome. Eur Radiol. 2015;25(2):497-504. PubMed
- Mishina T, Ohwada C, Suichi T, et al. Clinical Impact of Osteolytic Bone Lesions in POEMS Syndrome: A Single-Center Experience of 114 Patients. Hematol Oncol. 2025;43(1):e70037. PubMed
- Pan Q, Li J, Li F, et al. Characterizing POEMS Syndrome with 18F-FDG PET/CT. J Nucl Med. 2015;56(9):1334-7. PubMed
- Carbone A, Borok M, Damania B, et al. Castleman disease. Nat Rev Dis Primers. 2021;7(1):84. PubMed
- Esfahani MM, Shafieioun S, Zahedimehr H. POEMS syndrome: A case report. Radiol Case Rep. 2026;21(10):4138-4143. PubMed
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