GBSとCIDPとは?
- Guillain-Barre症候群(GBS)
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy;CIDP)
は、ともに脊柱管内の炎症・脱髄疾患であるが、病変の主座は脊髄ではなく、その末梢の神経根である。
GBS
- GBSは急性・単相性に経過する。
- 炎症性脱髄性根神経炎である。
- 先行感染(ウイルス感染後数日後に発症)を認めることが多く、自己免疫の関与が考えられている。
- 上行する麻痺が特徴であり、感覚神経よりも運動神経が優位に障害される。
CIPD
- CIPDはGBSとは対照的に慢性(通常2ヶ月以上)・再発性の経過をとる炎症性脱髄性根神経炎。
- 成因は原因不明(idiopathic)であるが、糖尿病、悪性リンパ腫、C 型肝炎、結合織疾患、Sjögren 症候群、炎症性腸疾患、HIVに合併することがある。
- 通常、先行感染は認めない。
- 10万人当たり2-5人とまれな疾患である。
- 脊髄神経の侵される部位は, 多い順に椎間孔より外>硬膜内であり、腰神経>頚神経>腕神経叢で、ある。なお, 脳神経は侵されることが最も少ない。
- GBS、CIPDともに運動優位の末梢神経障害をきたす。呼吸筋や脳神経を侵す頻度はGBSの方が高い。
画像所見
- 画像所見はともに、神経根、馬尾の腫大と造影効果を認める。GBSではこの所見はほぼ全例に認め、さらに前根優位の分布を取ることが多い。
※GBSでは前根>後根に造影効果あり(80%)。前根のみ造影効果(10%)。 - CIPDは脊柱管外の神経叢に腫大を認めることがあり、特徴的な所見である(STIR冠状断像の撮影が必要)。
- 神経叢の腫大は、同一患者であれば腕神経叢、腰神経叢で同時に認められる。神経叢の腫大は非可逆的で、症状の寛解により消失することはない。
症例 60歳代男性 CIPDと診断されている。今回急性増悪あり。
引用:radiopedia
腰神経の神経根の腫大およびびまん性の増強あり。
増強は脊柱管を超えて大腿神経、腰仙骨神経叢、坐骨神経にまで及んでおり、CIPDに特徴的な所見。
参考)神経根に増強効果を認める疾患の鑑別
- Guillain-Barré症候群
- 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIPD)
- サルコイドーシス
- 癒着性くも膜炎
- 髄膜炎
- 播種
- サイトメガロウイルスによる多発性神経根炎
- 神経根や脊髄円錐の圧迫病変
- 神経根外傷
- 脊髄梗塞
- ADEM
- Krabbe病
- 傍腫瘍性症候群
- 家族性アミロイド多発神経根症
参考文献)