胸水(きょうすい、英語ではPleural effusion)は、医師による診察、胸部レントゲンや、胸部のCTによって診断されます。
では、この胸水を認めた場合、どのような原因や病気が考えられるのでしょうか?
胸部なので、肺の病気が思い浮かびますが、胸水を起こす最も頻度の多い病気は心不全です。
他にも様々な病気が胸水を起こす原因となります。
今回はそんな胸水について、
- そもそも胸水とは?
- 胸水の組成・性状による違い
- 胸水による症状
- 胸水の原因
- 胸水の診断
について、図やイラストを交えながら、まとめました。
先に結論:胸水とは・漏出性と滲出性の違い
胸水は、肺と胸の壁のあいだ(胸腔)にふつう以上の液体がたまった状態です。原因で最も多いのは心不全で、ほかに感染症(肺炎・結核)、がんが代表です。症状は息切れ・咳・胸の痛みなどですが、無症状のこともあります。
| 漏出性胸水 | 滲出性胸水 | |
|---|---|---|
| しくみ | 静脈圧の上昇・膠質浸透圧の低下(全身の問題) | 胸膜の炎症など(局所の問題) |
| 主な原因 | うっ血性心不全(最多)・肝硬変・ネフローゼ症候群 | 肺炎(肺炎随伴性胸水)・結核・がん(肺癌・転移・中皮腫)・膵炎・膠原病 |
| 見た目 | 黄色く透明 | 濁る・血性・膿性のことが多い |
| Lightの基準 | 3項目どれも満たさない | 胸水/血清の蛋白比>0.5・LDH比>0.6・胸水LDHが血清上限の2/3以上 のどれか1つ |
胸部レントゲンでは肋骨横隔膜角が鈍くなる(CPアングルの鈍化)、CTでは背側にたまった液体として見えます。
鑑別は、両側か片側か・Lightの基準・胸水の追加検査(細胞・pH・ADA・細胞診)・CTでの原因探しを組み合わせます。穿刺された胸水では、がん・心不全・肺炎・結核で約4分の3を占めます(Porcel 2014)。
胸水とは?
胸水とは、胸部の胸膜腔(きょうまくくう)や胸腔(きょうくう)とも呼ばれる臓側胸膜と壁側胸膜の間の空間に貯留する液体のことです。
実はここには正常でもわずかな液体が貯留しています。
これを胸膜液と言います。
この胸膜液は胸壁と肺の協調運動を潤滑にするのに必要であると言われています。
しかし、これが正常範囲を超えて存在する場合は病的であり、胸水と呼ばれます。

なぜ胸水が溜まる?原因は?
正常ならば溜まらない胸水が溜まる原因は何でしょうか?
正常の場合、胸膜液は壁側胸膜で作られて、ほぼ壁側胸膜(一部臓側胸膜)で吸収されます。

産生と吸収のバランスは保たれており、これにより正常よりも多く溜まることはありません。
ところが、
- 静脈圧の上昇
- 膠質浸透圧の低下
- 毛細管透過性の亢進
- 胸膜リンパ系通過障害
といったことが原因となり、胸水がたまります。
1,2については、浸透圧の問題で、胸水が漏れてきます。
これを漏出性胸水(ろうしゅつせい)と呼ばれます。
最も多い心不全はこの漏出性で下の図のように1の静脈圧の上昇が原因となります。

一方で、3,4については、滲出性胸水(しんしゅつせい)と呼ばれます。
ほとんどの胸水はこの
- 漏出性胸水(ろうしゅつせい)
- 滲出性胸水(しんしゅつせい)
に分けることができます。
同じ胸水であっても、漏出性と滲出性とでその組成、性状が異なります。
漏出性胸水と滲出性胸水の組成・性状の違いは?
漏出性と滲出性とでその組成、性状には以下のような違いがあります。
| 漏出性 | 滲出性 | |
| 見た目 | 黄褐色透明 | 多くは混濁、ときに血性、膿性 |
| 比重 | 低い | 高い |
| Rivalta反応 | 陰性 | 陽性 |
| 蛋白 | 少ない | 多い |
| フィブリン | 微量 | 多量 |
| LDH | 低値 | 高値 |
また古典的に用いられるLightの基準1)が知られており、
- 胸水TP/血清TP > 0.5
- 胸水LDH/血清LDH > 0.6
- 胸水LDHが血清LDH上限値の2/3以上
この3項目で評価をします(Wilcox 2014)。
- この3項目のうち1つでも満たす→滲出性
- この3項目をいずれも満たさない→漏出性
とされています。
(ただし、心不全に対して利尿薬を使用している場合は、濃縮されるため漏出性であっても滲出性の基準を満たすことがあるので注意が必要です。この場合は、血清と胸水の蛋白・アルブミン濃度の差(勾配)を見ると、利尿薬による濃縮の影響を受けにくく、漏出性であることを見分ける手がかりになります(Romero-Candeira 2001)。)
特殊検査では、滲出性胸水の場合、以下のような特徴があります。
赤血球
増えることがあります。
肉眼的に血性になるほど多い場合は、
- 悪性腫瘍
- 肺梗塞
- 外傷
が疑われます。
白血球
増えることが多いです。
このうちリンパ球が主体(リンパ球優位)の場合
- 結核
- 悪性腫瘍
を疑います。
一方で、多核白血球(好中球)が主体の場合は、
- 胸膜炎などの急性炎症
を疑います。
pH
低下することがあります。肺炎に伴う胸水では、pH 7.2未満または糖60 mg/dL未満が、ドレナージを要する複雑性肺炎随伴性胸水を見分ける目安とされます(Porcel 2011)。
糖
基準値よりも低値となる場合は、感染症を示唆します。
ADA値(アデノシンデアミナーゼ)
基準値よりも高値となる場合は、結核性胸水を疑います。リンパ球優位の胸水でADAが35 IU/Lを超えると、通常は結核を示すとされます(Porcel 2011)。
腫瘍マーカー
基準値よりも高値の場合は、悪性腫瘍を疑います。
アミラーゼ
基準値よりも高値の場合は、急性膵炎を疑います。
ときに、悪性腫瘍でも高くなることがあります。
その他
リウマチ因子やANAが陽性の場合は膠原病を、細胞診が陽性の場合は悪性腫瘍を疑い(悪性胸水で通常の細胞診により悪性細胞が見つかるのは約60% Porcel 2011)、培養検査により、細菌感染や結核感染が診断されます。
胸水の症状は?

- 息がきれる
- 呼吸が苦しい
- 咳
- 胸痛
- 発熱
- 倦怠感
といった症状を起こします。息切れや胸の痛みなど気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
さらに、
- 呼吸をするときに、十分に息を吸えない。
という症状が起こり、これは胸膜に病変が及んでいることを示唆する胸水の重要な症状となります。
ただし無症状であることも多くあります。
ちなみに、胸痛(疼痛)は胸腔内で疼痛を感じる神経が分布しているのは壁側胸膜のみですので、胸痛があれば、壁側胸膜に病変があると考えることができます。
壁側胸膜の神経の中でも、肋間神経に病変が及ぶとその病変部位に一致した疼痛が起こりますが、横隔神経に病変が及ぶと同側の肩の放散痛が起こることが知られています。
胸水を起こす原因となっている病気による症状は?
その他、胸水を起こす原因となっている病気による症状が起こります。
多いものですと、心臓や腎臓の病気の場合、
- 足のむくみ
- 動悸
肺炎などの感染症の場合は、
- 咳や痰が出る。
また、肺がんなどの悪性腫瘍の場合は、
- 血痰が出る。
- 胸が痛む
- 食欲低下・体重減少
などの症状が起こります。
胸水の原因の病気・鑑別疾患は?
最初に述べたように、胸水は様々な原因で起こります。
その中でも頻度が高いものは
- 心不全 (漏出性)
- 感染症 (滲出性)
- 悪性腫瘍 (滲出性)
です。

中でも心不全は漏出性胸水の大多数を占める原因となります。
一方で、感染症と悪性腫瘍は、滲出性の原因となり、これらで滲出性胸水の半数以上を占めます。
つまり胸水を見たら、この3つを外せないということです。
その他、
- 肺の病気(肺動脈血栓塞栓症など)
- 消化器の病気(肝硬変、膵炎など)
- 自己免疫疾患
といったものが胸水の原因となります。
さらに詳しく、漏出性胸水、滲出性胸水を引き起こす原因となる具体的な疾患をまとめると次のようになります。
漏出性胸水の原因・鑑別
- うっ血性心不全(最多)
- 肝硬変
- ネフローゼ症候群
- 腹膜透析
- 糸球体腎炎
- Meigs症候群
- 収縮性心膜炎
- 輸液過多
- 低アルブミン血症
- 甲状腺機能低下症
- 卵巣過剰刺激症候群
など
滲出性胸水の原因・鑑別
- 感染症
一般細菌性(入院を要する肺炎の約半数にみられる Ahmed 2010。肺炎随伴性胸水と呼ぶ。)
結核性
真菌性
ウイルス性
寄生虫 - 悪性腫瘍
肺がん
転移性肺腫瘍:乳がん、胃がんなど
悪性胸膜中皮腫
白血病
リンパ腫 - 肺塞栓症(原因不明の胸水で考慮の必要がある)
- 消化器疾患
膵炎
膵仮性嚢胞
肝膿瘍
脾膿瘍 - 尿路病変
- 婦人科病変
Meigs症候群
子宮内膜症 - 自己免疫性疾患
関節リウマチ(RA)
全身性エリテマトーデス(SLE) - 薬剤性
- その他
アスベスト関連良性胸水
サルコイドーシス
尿毒症
血胸
乳び胸
臓器移植後
腹膜透析
など
このように様々な病気や状態が胸水の原因となることがわかります。
胸水の鑑別:実際にはどの原因が多い?
胸水の検査のために胸水穿刺を受けた3,077例を19年分まとめたスペインの報告では、原因の内訳は次のとおりでした(Porcel 2014)。
| 原因 | 割合 |
|---|---|
| 悪性腫瘍(がん) | 27% |
| 心不全 | 21% |
| 肺炎(肺炎随伴性胸水・膿胸) | 19% |
| 結核 | 9% |
| 腹部手術後 | 4% |
| 心膜疾患 | 4% |
| 肝硬変 | 3% |
がん・心不全・肺炎・結核の4つで約4分の3を占めました。年齢でも傾向が違い、34歳未満では結核(52%)、80歳代では心不全(45%)が最多でした(Porcel 2014)。なお、典型的な心不全の胸水は穿刺せずに治療されることが多いため、胸水全体では心不全の割合はもっと多いと考えられます。
胸水の鑑別の進め方
- 画像で分布を見る:両側性で心拡大やうっ血があれば心不全などの漏出性をまず考えます。片側性・大量・胸膜の肥厚や結節があれば滲出性(がん・感染・結核)を考えます
- 胸水穿刺でLightの基準:漏出性か滲出性かを分けます
- 滲出性なら追加検査:細胞数と分画、糖・pH(肺炎随伴性胸水・膿胸)、ADA(結核)、細胞診(がん)、培養を組み合わせます
- CTで原因を探す:肺の腫瘤・肺炎、胸膜の結節、リンパ節腫大、腹部の病気(肝硬変・膵炎・卵巣腫瘍)などを確認します
滲出性の原因は局所(胸膜)の問題(特に炎症)であることが多く、漏出性の場合は全身性の影響が胸水の原因として考えられます。
胸水の診断は?
そんな胸水ですが、どうやって「胸水がある」ということを診断するのでしょうか?
まずは医師による身体診察がなされます。
身体診察
身体診察では、視診、触診、聴診、打診といったことが行われます。
胸水が存在することを直接診断するのは、聴診、打診によります。
聴診器で行う聴診では、胸水があるところの呼吸の音は弱くなっているか消えています。
また胸部を指先で叩く打診では、胸水がある部位でその音が濁音に変わります。
ただし、聴診や打診で診断できるのはある程度の量がたまったときで、少量の場合は身体診察で胸水の存在はわからないこともあります。
画像検査
そのため、身体診察に加えて、必要に応じてスクリーニング検査を行う必要があります。
これには
- 胸部X線検査
が有用です。
胸部X線検査では、肋骨横隔膜角(CP-angle)の鈍化として胸水を捉えることができます。

ただし、この所見が見えるのはある程度胸水が溜まった状態であり、CTで測った胸水量とレントゲンを比べた研究では、CTで平均20mLの胸水があってもレントゲンでは見えず、立位の写真で横隔膜より下にとどまるメニスカスは約100mL、横隔膜の高さのメニスカスは約250mL、横隔膜が見えなくなるほどでは平均約650mLに相当しました。側面像の後方の肋骨横隔膜角の鈍化は平均26mLで、正面像より少量で気づけます(Mammarappallil 2015)。
CTの方がより胸水の診断能は高く、レントゲンよりも少量の胸水であっても検出可能です。
胸部レントゲンでの確認ポイント
- CP-angle(肋骨横隔膜角)の鈍化:側面像の後方CPアングルのほうが少量(平均26mL)で鈍化し、正面像より早く気づけます(Mammarappallil 2015)
- 葉間胸水:葉間裂に沿った陰影として見えます
- 肺底部の透過性低下:大量の場合は患側全体が白くなります
- 縦隔シフトの有無:大量胸水では反対側へのシフトが見られます
CTで確認すべきポイント
- 胸水のCT値:5HU前後→漏出性が多い、15HU以上→滲出性を疑います
- 胸膜の肥厚・結節:あれば滲出性(悪性・感染)を疑います
- 被包化の有無:被包化(局所性貯留)は滲出性・膿胸で見られます
- 胸膜外脂肪織の濃度上昇:炎症性変化のサインです
- 肺実質・縦隔リンパ節の評価:胸水の原因疾患の特定に役立ちます
片側性胸水か両側性胸水か
また胸水を両側性に認めた場合は、漏出性の胸水の可能性が高いとされますが、滲出性である転移やリンパ腫、肺塞栓、膠原病(SLEやRA)でも見られるので注意が必要です。
一般的に両側に見られうる漏出性の胸水でも左右に見られやすさがあります。
- 心不全の場合:両側(約73%)>右側のみ(約15%)>左側のみ(約13%)と報告されており、左側のみの胸水も心不全では珍しくありません
- 肝硬変の場合:右側>左側・両側(横隔膜の発達不全(欠損部位)が右側で生じやすいためと考えられている)
となります。
| 分布 | 考えやすい疾患 | 補足 |
|---|---|---|
| 両側性 | 心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群 | 漏出性を示唆しますが、リンパ腫・SLE・肺塞栓でも両側に見られます |
| 右側優位 | 肝硬変(横隔膜欠損による)・心不全の右側優位型 | 心不全では右のみ約15% |
| 左側単独 | 心不全では比較的まれ(約13%) | 左単独の場合は悪性・感染も検討します |
| 片側大量 | 悪性腫瘍(癌性胸膜炎)・膿胸・血胸 | 縦隔シフトを伴う大量胸水は悪性を強く疑います |
症例 70歳代女性 心不全

胸部レントゲンでは、葉間胸水に加えて、右のCP-angleが鈍です。
心不全に伴う両側の胸水を疑う所見です。
症例 60歳代 女性 呼吸苦
胸部レントゲン(非提示)で左胸水を認めており、胸部CTで精査となりました。

CTにおいても左側に大量の胸水を認めています。
胸膜は背側において不整な肥厚を認めています。
癌性胸膜炎・胸腔内播種や感染に伴う胸膜炎の可能性を示唆する所見です。

肺野条件では、左下葉に腫瘤を認めています。
胸水ドレナージにて胸水を精査したところ、肺腺癌による悪性胸水と診断されました。
滲出性胸水と漏出性胸水はCTで鑑別できるのか?
CT値の中央値(範囲)として
- 漏出性 5HU(2-15HU)
- 滲出性 12.5HU(4-33)
であり、CT値が15HUよりも大きい場合は滲出性胸水を示唆すると報告3)されています。
また滲出性胸水のCT所見として、
- 胸膜肥厚
- 胸膜の結節
- 被包化胸水
- 胸膜外脂肪織の濃度上昇
が知られています。
このような所見を認めた場合は漏出性よりも滲出性を疑います。
関連記事:【CT画像あり】胸膜炎とは?原因・症状・診断・治療の徹底まとめ!
膿胸と胸水の違いは?
胸膜腔に水が溜まった状態が胸水ですが、水ではなく膿が溜まった状態を膿胸(のうきょう)と言います。
膿胸の原因としては、
- 細菌性胸膜炎
- 外科的手術
- 外傷
- 食道穿孔
などがあります。
また、膿胸の診断には、胸水穿刺による肉眼的に膿性胸水であることに加えて、
- 胸水のグラム染色あるいは培養で微生物が検出される
- 胸水のpH < 7.2
などの検査結果で診断します2)。pH 7.2未満は、ドレナージが必要な複雑性肺炎随伴性胸水の目安でもあります(Ahmed 2010)。
あわせて読みたい:CTで胸水と腹水の見分け方
参考文献)
1)Light RW:Pleural disease,6th ed.Lippincott Williams and Wilkins,Philadelphia,2013
2)JAID/JSC感染症治療ガイドライン-呼吸器感染症. 日化療会誌62:1-109,2014
3)Çullu N, Kalemci S, Karakaş Ö, et al. Efficacy of CT in diagnosis of transudates and exudates in patients with pleural effusion. Diagn Interv Radiol. 2014;20(2):116-120.
胸水についてよくある質問(FAQ)
Q. 胸水はどのような症状が出ますか?
胸水が溜まると、息切れ・呼吸困難・咳・胸痛・倦怠感などが現れます。呼吸をしても十分に息を吸えない感覚は、胸膜に病変が及んでいるサインです。ただし少量の胸水では無症状なことも多くあります。
Q. 胸水の原因で最も多いのは何ですか?
胸水の原因で最も頻度が高いのは心不全(漏出性)です。次いで感染症(滲出性)・悪性腫瘍(滲出性)が多く、この3つで胸水の大部分を占めます。
Q. 漏出性胸水と滲出性胸水の違いは何ですか?
漏出性は静脈圧の上昇や膠質浸透圧の低下によって生じ、心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群などが原因です。滲出性は胸膜の炎症・腫瘍浸潤・感染などによって生じます。Lightの基準(胸水TP/血清TP > 0.5など3項目)で鑑別します。
Q. 胸水はレントゲンで見えますか?
胸部X線では、CP-angle(肋骨横隔膜角)の鈍化として確認できます。少量では側面像のほうが気づきやすく、後方CPアングルの鈍化は平均26mLの胸水に相当したと報告されています(Mammarappallil 2015)。少量の胸水はCTの方が検出感度が高いです。
Q. CTで胸水の性状はわかりますか?
CT値で大まかに判別できます。CT値が15HU以上であれば滲出性胸水を示唆します(漏出性の中央値は5HU、滲出性の中央値は12.5HU)。また胸膜肥厚・胸膜結節・被包化胸水などのCT所見があれば滲出性を疑います。
Q. 片側だけの胸水と両側の胸水では、意味が違いますか?
両側性胸水は漏出性(心不全・肝硬変など)を示唆することが多いですが、リンパ腫・転移性腫瘍・SLEなどの滲出性でも両側に見られます。心不全では両側性が約73%、右側のみが約15%、左側のみが約13%と報告されています。肝硬変では右側に多く見られます。
Q. 悪性胸水とはどういうものですか?
がん細胞が胸膜に播種または転移することで胸水が生じます。肺がん・乳がん・悪性胸膜中皮腫が原因として多く、滲出性です。CTでは胸膜の不整肥厚・結節・大量の胸水が特徴で、確定診断は胸水穿刺の細胞診で行います。
Q. 膿胸と胸水は違うのですか?
胸腔内に液体(水)が溜まった状態が胸水で、膿が溜まった状態が膿胸です。膿胸は、肉眼的に膿性の胸水、またはグラム染色・培養で微生物が検出されることで診断します。pH < 7.2は、胸腔ドレナージが必要な複雑性肺炎随伴性胸水の指標です。細菌性肺炎や外科手術後などが主な原因です。
最後に
今回は胸水についてまとめました。
- 胸水とは臓側胸膜と壁側胸膜の間の空間に貯留する液体のこと。
- 産生と吸収のバランスが崩れた時に胸水は貯留する。
- 貯留する胸水は組成・性状により分類される
- 胸水の原因は心不全が最多であるが、それ以外もたくさんの原因・鑑別がある。
- 胸水の診断は、医師による身体診察に加えて胸部レントゲンなどの画像検査が有効である。
胸水が出ると、呼吸苦などの症状を起こすため、胸水を抜く胸水穿刺が行われることがあります。
これにより、症状の緩和が認めるだけでなく、抜いた胸水を調べることにより、原因の究明につながることがあります。
関連記事:
あわせて読みたい:胸水を画像で見たときに考えるべき鑑別診断は?
参考文献
- Light RW, Macgregor MI, Luchsinger PC, et al. Pleural effusions: the diagnostic separation of transudates and exudates. Ann Intern Med. 1972;77(4):507-513. PubMed
- Woodring JH. Distribution of pleural effusion in congestive heart failure: what is atypical? South Med J. 2005;98(5):518-523. PubMed
- Roberts ME, Rahman NM, Maskell NA, et al. British Thoracic Society Guideline for pleural disease. Thorax. 2023;78(Suppl 3):s1-s42. PubMed
- Çullu N, Kalemci S, Karakaş Ö, et al. Efficacy of CT in diagnosis of transudates and exudates in patients with pleural effusion. Diagn Interv Radiol. 2014;20(2):116-20. PubMed
- Wilcox ME, Chong CA, Stanbrook MB, et al. Does this patient have an exudative pleural effusion? The Rational Clinical Examination systematic review. JAMA. 2014;311(23):2422-31. PubMed
- Porcel JM, Esquerda A, Vives M, et al. Etiology of pleural effusions: analysis of more than 3,000 consecutive thoracenteses. Arch Bronconeumol. 2014;50(5):161-5. PubMed
- Porcel JM. Pearls and myths in pleural fluid analysis. Respirology. 2011;16(1):44-52. PubMed
- Mammarappallil JG, Anderson SA, Danelson KA, et al. Estimation of Pleural Fluid Volumes on Chest Radiography Using Computed Tomography Volumetric Analysis: An Update of the Visual Prediction Rule. J Thorac Imaging. 2015;30(5):336-9. PubMed
- Ahmed AE, Yacoub TE. Empyema thoracis. Clin Med Insights Circ Respir Pulm Med. 2010;4:1-8. PubMed
- Romero-Candeira S, Fernández C, Martín C, et al. Influence of diuretics on the concentration of proteins and other components of pleural transudates in patients with heart failure. Am J Med. 2001;110(9):681-6. PubMed
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