
先に結論:Fleischnerガイドライン2017のポイント
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 何か | CTで偶然見つかった肺結節(30mm以下)の管理指針。Fleischner Society が2017年に改訂(MacMahon 2017) |
| 分け方 | 充実性/すりガラス/部分充実、単発/多発、6mm未満・6〜8mm・8mm超、低リスク/高リスク |
| 心配か | 6mm未満の充実性結節は悪性の可能性が1%未満とされ、低リスクなら定期フォロー不要 |
| 適用外 | 35歳未満、がんの既往、免疫不全、肺がん検診(→Lung-RADS) |
| 次にすること | 表の間隔でCTを再検。8mm超の充実性結節は3か月後CT・PET/CT・組織採取を検討 |

Fleischnerガイドラインとは
Fleischner Society は胸部画像診断を中心とした国際的な多職種の学会で、偶発肺結節の管理指針を2005年(充実性結節)と2013年(すりガラス・部分充実結節)に別々に出していました。2017年の改訂では両者が1枚の表に統合され、多発結節の推奨が加わり、定期フォローを行う最小サイズが引き上げられ、フォロー間隔は「6〜12か月」のような幅で示されるようになりました(MacMahon 2017)。
ねらいは、悪性の可能性が1%未満の結節に不要なフォローCTを減らすことです。最小のフォロー閾値は4mmから6mmに上がりました(Masci 2026)。
肺結節そのものの定義や大きさの考え方は 結節影とは?CTで肺に結節(白い影)を指摘されたら も参考にしてください。
適用される人・されない人
- 35歳以上の成人が対象(若年者は悪性リスクが低いため)
- 肺がん検診のCTには使わない(検診はACRの Lung-RADS で判定)
- がんの既往がある人(転移の可能性が高い)には使わない
- 免疫不全の人(日和見感染が多い)には使わない
以上は2017年版の解説に基づく整理です(Masci 2026)。石灰化結節は対象外で、良性パターンの石灰化については 石灰化を伴う肺結節の鑑別診断 を参照してください。
大きさの測り方
可能なら体積計測が推奨され、できない場合は長径と短径の平均を用います(Masci 2026)。測定方法の詳細は Fleischner Society が別に声明を出しています(Bankier 2017)。
充実性結節のフォローアップ表
| 充実性結節 | 6mm未満 | 6〜8mm | 8mm超 |
|---|---|---|---|
| 単発・低リスク | 定期CTフォロー不要 | 6〜12か月後CT、その後18〜24か月後CTを考慮 | 3か月後CT、PET/CT、組織採取のいずれかを考慮 |
| 単発・高リスク | 12か月後CT(任意) | 6〜12か月後CT、その後18〜24か月後CT | 3か月後CT、PET/CT、組織採取のいずれかを考慮 |
| 多発・低リスク | 定期CTフォロー不要 | 3〜6か月後CT、その後18〜24か月後CTを考慮 | |
| 多発・高リスク | 12か月後CT(任意) | 3〜6か月後CT、その後18〜24か月後CT | |
多発の場合は最も疑わしい結節で判断します。表は2017年版の推奨を文言どおりに整理した文献(Kapoor 2020)によります。
低リスクでも、スピキュラや不整な辺縁、上葉にあるなどの所見があれば、6mm未満でも12か月後CTが考慮されます(Masci 2026)。葉間胸膜に接する多角形〜楕円形の結節(肺内リンパ節を示唆)はフォロー不要とされます。詳しくは 肺内リンパ節のCT画像所見 を参照してください。
すりガラス結節・部分充実結節(subsolid)のフォローアップ表
| subsolid結節 | 6mm未満 | 6mm以上 |
|---|---|---|
| 単発・すりガラス(pure GGN) | 定期CTフォロー不要 | 6〜12か月後CTで残存を確認し、その後2年ごとに5年まで |
| 単発・部分充実(part-solid) | 定期CTフォロー不要 | 3〜6か月後CTで残存を確認。変化なく充実成分が6mm未満なら毎年5年間 |
| 多発 | 3〜6か月後CT。安定なら2年後・4年後のCTを考慮 | 3〜6か月後CT。以後は最も疑わしい結節で判断 |
(Kapoor 2020、Masci 2026)
部分充実結節の充実成分は浸潤を反映し、悪性を示唆する所見です(Masci 2026)。すりガラス結節と肺腺癌の組織分類(AAH・AIS・MIA・浸潤性腺癌)の関係は すりガラス結節(GGN)のCT所見と肺腺癌の分類 と 微小浸潤腺癌(MIA)のCT画像所見 で解説しています。
症例 70歳代女性 血痰

引用:Radiopaedia(Adenocarcinoma in situ of lung)
左上葉の背側に、淡いすりガラス影の中心に小さな濃い結節がある病変が見えます。中心の結節は約5mm、すりガラスの部分を含めた全体は約18×15mmで、部分充実結節に相当する見え方です。1年後のCTでもほとんど変化がなく、切除の結果は腺癌でした。
カテゴリーごとの実際の肺癌の頻度
2017年にCTで偶然見つかった3180人の結節を追跡した研究では、Fleischnerの区分ごとの肺癌の割合は次のとおりでした(Hammer 2024)。
| 区分 | 肺癌の割合 |
|---|---|
| 充実性 6mm未満 | 0.4%(7/1601) |
| 充実性 6〜8mm | 1.5%(11/713) |
| 充実性 8mm超 | 15.9%(71/446) |
| subsolid 6mm未満 | 0.8%(1/124) |
| すりガラス 6mm以上 | 14.4%(29/202) |
| 部分充実 6mm以上 | 37.9%(36/94) |
6mm未満が低リスクであることを裏づける一方、悪性だった小さな充実性結節では1〜2年で増大が見えない例もあり、「1〜2年変化なし=良性」とは限らないと指摘されています(Hammer 2024)。
心配な場合・そうでない場合
- あまり心配しなくてよい:6mm未満の充実性結節(低リスク)、6mm未満の単発すりガラス結節、葉間に接する肺内リンパ節らしい結節、良性パターンの石灰化
- 注意が必要:8mm超の充実性結節、充実成分のある部分充実結節、スピキュラ、経過で増大・充実成分が出現したもの
Lung-RADSとの違い
| Fleischner 2017 | Lung-RADS(ACR) | |
|---|---|---|
| 対象 | 診療で撮ったCTの偶発結節 | 肺がん検診(低線量CT)で見つかった結節 |
| 形式 | 大きさ・濃度・個数・リスクごとの推奨 | カテゴリー判定とそれに対応する管理 |
| 版 | 2017年版 | 2014年作成→v1.1(2019)→v2022(2022年11月) |
Lung-RADS v2022 では、非典型的な肺嚢胞、胸膜に接する結節、気道中心性の結節、感染が疑われる所見の扱いが追加され、安定・縮小した結節の段階的な管理も導入されました(Christensen 2024)。検診の対象者は高リスク集団なので、偶発結節の基準をそのまま当てはめないことが大切です。日本の肺がん検診の判定と経過観察については 肺結節のCTフォローは何カ月後?第6版ガイドラインで解説 を参照してください。
よくある疑問(Q&A)
Q. 5mmの結節が1つ。本当に何もしなくていい?
A. 35歳以上・がん既往なし・免疫正常で、低リスクの充実性結節なら定期CTは不要とされます。喫煙歴などの高リスクや形の気になる所見があれば12か月後CTが選択肢です(Masci 2026)。最終判断は主治医と相談してください。
Q. すりガラス結節はなぜ5年も追うの?
A. すりガラス結節は増大がとてもゆっくりなことが多く、長期の経過観察が必要だからです(Masci 2026)。
Q. がんの治療中に見つかった結節は?
A. がん既往の人はFleischnerの適用外です。転移の可能性を含め、原疾患の経過に合わせて主治医が判断します。
あわせて読みたい:CTガイド下肺生検の合併症
参考文献
- MacMahon H, Naidich DP, Goo JM, et al. Guidelines for Management of Incidental Pulmonary Nodules Detected on CT Images: From the Fleischner Society 2017. Radiology. 2017;284(1):228-243. PubMed
- Bankier AA, MacMahon H, Goo JM, et al. Recommendations for Measuring Pulmonary Nodules at CT: A Statement from the Fleischner Society. Radiology. 2017;285(2):584-600. PubMed
- Kapoor N, Lacson R, Hammer M, et al. Physician Agreement With Recommendations Contained in a National Guideline for the Management of Incidental Pulmonary Nodules: A Case Study. J Am Coll Radiol. 2020;17(11):1437-1442. PubMed
- Hammer MM. Risk and Time to Diagnosis of Lung Cancer in Incidental Pulmonary Nodules. J Thorac Imaging. 2024;39(5):275-280. PubMed
- Masci GM, Giuliani L, Romiti R, et al. Incidental pulmonary findings on CT in daily practice: the nodule and the interstitial lung abnormalities – what’s old, what’s new. Radiol Med. 2026;131(3):440-457. PubMed
- Christensen J, Prosper AE, Wu CC, et al. ACR Lung-RADS v2022: Assessment Categories and Management Recommendations. Chest. 2024;165(3):738-753. PubMed
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