先に結論:feeding vessel sign

  • feeding vessel signは肺の結節に肺動脈(血管)がつながって見える所見で、病変が血流に乗って運ばれてできた(血行性)ことを示します
  • 代表は敗血症性肺塞栓症(末梢の多発結節・空洞)で、ほかに肺転移・血管炎(多発血管炎性肉芽腫症)でも見られます
  • 発熱+多発する空洞結節+feeding vessel signでは、感染性心内膜炎・肝膿瘍・歯周病などの感染源を探します。横断像だけでは血管の入り方を見誤りやすいため、MPRでも確認します

feeding vessel sign(フィーディングベッセルサイン)は、肺の結節や陰影に向かって血管が走り込むように描出されるCT所見です。

血行性に肺病変が形成されたことを示唆し、敗血症性肺塞栓症や肺転移、さらには壊死性血管炎などを考える手がかりとなるサインです。

feeding vessel signの定義

  • 肺内の病変(結節・consolidation)に向かって明瞭な肺動脈が走行している所見
  • 病変が血行性に形成されたことを示唆し、分布・病態の判断材料となる
  • 薄いスライスの画像に加えてMPR(冠状断・矢状断)で、血管が本当に病変に入っているかを確かめる

出現しやすい疾患

疾患 特徴
敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolism) 末梢の楔形陰影や空洞に向かう肺動脈が明瞭に走行。感染性血栓塞栓に特徴的
肺転移(metastatic lung nodules) 転移巣へ向かう太い血管の走行。腫瘍性血行播種の証拠となる
壊死性血管炎(GPAなど) 8例中7例(88%)で結節に向かう血管がみられ、肺動脈・肺静脈を侵す壊死性血管炎を反映すると考えられている(Kuhlman 1991)

敗血症性肺塞栓症(septic emboli)とは?CT所見の頻度

  • 体のどこかの感染巣から、細菌を含んだ血栓が血流に乗って肺に運ばれ、肺に多発する結節や梗塞をつくる病態です。
  • 感染源は心臓(感染性心内膜炎)、心臓以外の体内の感染巣、体外から(カテーテルや注射など)に分けられ、心臓由来が最も多いとされます(Song 2016)。肝膿瘍(Chang 2016)や歯周病(Hatani 2013)が原因となった報告もあります。
CT所見(敗血症性肺塞栓症18例) 頻度
末梢の多発結節(0.5〜3.5cm) 83%
feeding vessel sign 67%
空洞 50%
胸膜に接する楔形の病変 50%
胸膜腔への広がり 39%
結節内のair bronchogram 28%

(Kuhlman 1990)。この検討では6例でCTが胸部X線より先に病変を示しており、X線で異常がはっきりしなくてもCTが役立ちます。一方、21例の病変単位で数えた検討では、空洞は10.4%、feeding vessel signは6%の病変にとどまりました(Lee 2007)。病変ごとに見ると目立たないことも多いため、多発・末梢優位といった分布もあわせて評価します。

画像所見の読み方

  • 末梢肺野の結節やconsolidationに注意
  • その中心へ向かって直線的に肺動脈が走行しているかを確認する。ただし、横断像で血管が結節に入るように見えても、MPRでは多くが結節の脇を通過しており、結節に入る血管も肺静脈枝であったという報告があります。feeding vessel signは「肺動脈から塞栓が流入した証拠」ではなく、血行性分布を示唆する補助所見として扱います。Doddらの敗血症性肺塞栓症の検討では、横断像で血管が入り込むように見えた結節は37%でしたが、すべての断面で中心に血管が入っていたのは15%のみで、それらはすべて左房へ追える肺静脈枝でした。肝膿瘍由来の敗血症性肺塞栓でも同様に肺静脈であることが確認され、draining vessel signという呼び名も提案されています。
  • 時に空洞やair-fluid level、halo signを伴うこともある

症例 30歳代男性 発熱、胸痛、喀血

引用:Radiopaedia

多数の小さな末梢性空洞性肺結節がみられ、典型的なfeeding vessel sign(栄養血管サイン)を認めています。

敗血性肺塞栓と診断された症例でした。

鑑別が重要な疾患と所見

  • mucoid impaction(粘液塞栓):濃度は高いが血管が内部に走行しない
  • air bronchogramとの違い:空気を含む気管支 vs 造影された血管

    まとめ

    • feeding vessel signは血行性肺病変の診断に有用な所見
    • 敗血症性肺塞栓症、肺転移、壊死性血管炎などで出現
    • 横断像だけで判断せず、MPRで血管と病変の関係を確かめる
    • 鑑別にはair bronchogramや粘液栓との違いを把握することが重要

    関連記事:覚えておきたい胸部CTの代表的な画像サインまとめ

    参考文献

    1. Kuhlman JE, Fishman EK, Teigen C. Pulmonary septic emboli: diagnosis with CT. Radiology. 1990;174(1):211-213. PubMed
    2. Franquet T. Imaging of pneumonia: trends and algorithms. Eur Respir J. 2001;18(1):196-208. PubMed
    3. Gaeta M, Blandino A, Scribano E, et al. Computed tomography halo sign in pulmonary nodules: frequency and diagnostic value. J Thorac Imaging. 1999;14(2):109-13. PubMed
    4. Dodd JD, Souza CA, Müller NL. High-resolution MDCT of pulmonary septic embolism: evaluation of the feeding vessel sign. AJR Am J Roentgenol. 2006;187(3):623-629. PubMed
    5. Chang Z, Gong Z, Zheng J, et al. Computed Tomography Features of Septic Pulmonary Embolism Caused by Klebsiella pneumoniae Liver Abscess Associated With Extrapulmonary Metastatic Infection. J Comput Assist Tomogr. 2016;40(3):364-369. PubMed
    6. Hatani T, Takemura M, Inoue D, et al. Septic pulmonary embolism due to periodontal disease. Respirology. 2013;18(2):308-312. PubMed
    7. Kuhlman JE, Hruban RH, Fishman EK. Wegener granulomatosis: CT features of parenchymal lung disease. J Comput Assist Tomogr. 1991;15(6):948-52. PubMed
    8. Song XY, Li S, Cao J, et al. Cardiac septic pulmonary embolism: A retrospective analysis of 20 cases in a Chinese population. Medicine (Baltimore). 2016;95(25):e3846. PubMed
    9. Lee SJ, Cha SI, Kim CH, et al. Septic pulmonary embolism in Korea: Microbiology, clinicoradiologic features, and treatment outcome. J Infect. 2007;54(3):230-4. PubMed

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