胸部CT画像におけるtree-in-bud appearance(つぼみ状陰影)とは?
tree-in-bud appearanceとは、胸部CT(特にHRCT)において気管支周囲に認められる、小枝の先端に芽がついたような形をした末梢気道病変のことを指します。
直訳すれば「つぼみをつけた樹枝」のような形状で、主に末梢細気管支内の粘液・膿・異物・腫瘍などが原因で細気管支やその周囲の構造が肥厚・拡張して見えることから、感染や気道病変を疑う重要なCT所見のひとつです。
tree-in-bud appearanceのCT所見
- 小葉中心性結節(centrilobular nodules)
- 小葉中心の末梢気管支構造がびまん性に太く描出される
- 枝分かれする形の陰影(linear or branching opacities)
- 周囲には気腫性変化を伴わず、肺門側より末梢に向かう所見が多い
→これらが組み合わさって“つぼみをつけた枝”のように見える所見がtree-in-budです。
症例 50歳代男性
左下葉S6に一部tree-in-bud apparanceを認めています。
細気管支炎を疑う画像所見ですが、非常に粒が細かいのが結核の特徴です。
粒が細かい所見は陰影が弱いところで探しましょう。
塗抹検査の結果、肺結核と診断されました。
tree-in-bud appearanceを呈する主な疾患
1. 感染性疾患
- 活動性肺結核(最重要):病巣内に乾酪壊死を伴い、末梢気管支への波及でtree-in-budを形成
- 非結核性抗酸菌症(NTM症):MAC(Mycobacterium avium complex)などが代表
- ウイルス性気管支炎・細菌性肺炎(特に反復性)
2. 慢性炎症・非感染性疾患
- びまん性汎細気管支炎(DPB):日中韓で多く見られる疾患
- 誤嚥性肺炎(DAB:diffuse aspiration bronchiolitis)
- サルコイドーシス(末梢気管支浸潤)
3. 腫瘍性・その他
- 肺がんのリンパ路浸潤・腫瘍塞栓症
- 気道に播種する腺癌
tree-in-bud appearanceの診断上のポイント
tree-in-budを認めたときは以下を確認しましょう:
- 分布:片側 vs 両側、上葉優位 or 下葉優位か(NTMなら中葉や舌区)
- 背景所見:気管支拡張、コンソリデーション、空洞などの併存所見
- 臨床経過:急性 vs 慢性、反復性、免疫状態
まとめ
tree-in-bud appearanceは、細気管支内病変(感染・炎症・腫瘍)の存在を示す重要なCTサインです。
病歴と画像所見を統合して、疾患の診断や治療方針決定に活用しましょう。
参考文献:
- Nishino M et al. *Tree-in-bud pattern on thin-section CT of the lungs: radiologic-pathologic overview.* AJR Am J Roentgenol. 2006;186(6):1304-1311.
- Kikuchi E et al. *High-resolution CT findings of diffuse panbronchiolitis: comparison with chronic bronchitis and bronchiectasis.* AJR Am J Roentgenol. 1997;168(5):1293–1298.
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