鵞足包炎とは
- 鵞足とは、半腱様筋、縫工筋、薄筋が脛骨内側面から下腿筋膜に停止するが、その停止部がガチョウの足のようにみえるためこのように呼ばれる。(膝内側において内側側副靱帯の停止部よりも前下方の脛骨内側面に停止する。)
MRIのT2WI横断像における、半腱様筋、縫工筋、薄筋の様子はこちらの連続画像で確認できます。
- 鵞足と内側側副靱帯の間には鵞足包(anserine bursa)があり、ここに炎症が起こると痛みや運動障害などの症状が起こる鵞足包炎(鵞足滑液包炎)(pes anserine bursitis)となる。
- 肥満体の人や運動選手に比較的多いとされる。内側側副靱帯損傷後にも認められることがある。
- 腸脛靱帯炎とともにoveruse syndromeの一つされる。
鵞足包炎のMRI画像所見
- 鵞足の深部、内側側副靱帯との間に液貯留腔の腫脹として認められる。
- 内側半月板損傷に伴う半月板嚢胞と鑑別がややこしい場合があるが、膝関節腔との連続性が無いことや半月板損傷や内側側副靱帯の膨隆が見られないことで診断できる。(鵞足包は膝関節腔と連続性はない。)
- 鵞足包炎ではなく鵞足炎の場合は、鵞足周囲の間質に淡いT2WI高信号が見られ、液貯留は伴わない。
参考文献
- 臨床画像 Vol.34 No.5 2018 P567
- 骨軟部疾患の画像診断 第2版 P118-119
- 骨軟部画像診断のここが鑑別ポイント 改訂版 P110-111
- イラスト解剖学 第10版 P168