先に結論:縦隔リンパ節腫大を見たら

  • CTでは短径10mm以上を腫大の目安にしますが、大きさだけで良性・悪性は決まりません
  • 原因はがんの転移(肺がん・乳がんなど)・悪性リンパ腫のほか、サルコイドーシス(左右対称の肺門・縦隔)・結核・珪肺(卵殻状石灰化)・心不全・肺炎などの反応性腫大など多彩です
  • 肺や他の臓器の所見・石灰化・壊死・左右対称性を手がかりに絞り込み、必要に応じてPET-CTや超音波気管支鏡(EBUS)下の生検で確認します

※画像で縦隔リンパ節腫大を指摘されたら、原因を確かめるために主治医や呼吸器内科で相談してください。

縦隔リンパ節腫大とは?

縦隔(左右の肺にはさまれた、心臓・大血管・気管・食道がある場所)にあるリンパ節が、正常より大きくなった状態です。CTでは横断像の短径1.0cmが正常の上限とされ(Glazer 1985)、それを超えると「腫大」と呼びます。病名ではなく画像所見の名前なので、原因を調べることが大切です。

位置は、肺癌の病期にも使うIASLCのリンパ節マップの番号で表します(Rusch 2009)。主な縦隔リンパ節は次のとおりです。

番号 名前(場所)
#1 鎖骨上窩・下頸部
#2・#4 上部・下部気管傍(気管の横)
#3a・#3p 血管前・気管後
#5・#6 大動脈下(大動脈弓と肺動脈の間)・大動脈傍
#7 気管分岐下
#8・#9 食道傍・肺靭帯
#10〜 肺門・肺内(縦隔の外)

縦隔リンパ節腫大を見たときに考えるべき原因・鑑別診断

など

原因ごとの手がかり(頻度の報告があるもの)

原因 CTでの手がかり
サルコイドーシス 左右対称の肺門・縦隔リンパ節腫大。84%に腫大があり、腫大の数も平均3.2個と多い(Niimi 1996)
間質性肺炎(特発性肺線維症など) 特発性肺線維症の67%に腫大がみられるが、多くは1〜2個で短径15mm未満(Niimi 1996)
心不全 心拡大・胸水・小葉間隔壁の肥厚を伴う。心不全の55%に縦隔リンパ節腫大(Slanetz 1998)。腫大のあった13例中8例(62%)が治療後に縮小(Chabbert 2004)
IgG4関連疾患 IgG4関連肺疾患10例のうち7例に縦隔・肺門リンパ節病変(Liu 2021)
がんの転移・悪性リンパ腫 原発巣の流れ道に沿った腫大、壊死、癒合した大きな腫瘤

大きさの基準とその限界

CTで正常な縦隔リンパ節を調べた検討では、横断面での短径1.0cmが正常の上限とされています。気管分岐下や右の気管気管支のリンパ節は正常でもやや大きいことが知られています(Glazer 1985)。ただし、非小細胞肺癌60例のCTと手術の対比では、腫大を基準にした悪性リンパ節の感度は95%でしたが、特異度は64%にとどまりました。大きいだけで転移とは決められず、小さくても転移がありえます。病期診断では、PET-CTや超音波気管支鏡(EBUS)下の生検、縦隔鏡で確かめます。

リンパ節の位置は、IASLCのリンパ節マップ(#1〜#14の部位と、部位をまとめたゾーン)で記載します。肺癌の病期(N因子)はこのマップで決まるので、報告書でも番号で書くと臨床医に伝わりやすくなります。

卵殻状石灰化の鑑別

リンパ節の辺縁が殻のように石灰化する卵殻状石灰化は、珪肺と炭坑夫肺で多くみられます。そのほか、サルコイドーシス、放射線治療後のHodgkinリンパ腫、ブラストミセス症、強皮症、アミロイドーシス、ヒストプラズマ症でも報告されています。珪肺に特有の所見ではないので、職業歴と肺の所見をあわせて判断します。

症例 40歳代男性(石工として18年間勤務)

珪肺 リンパ節の卵殻状石灰化 CT
引用:Radiopaedia(Silicosis with progressive massive fibrosis)

進行性塊状線維化を伴う珪肺。肺門・縦隔のリンパ節が多数腫大し、辺縁が殻のように石灰化しています(卵殻状石灰化)。肺には部分的に石灰化した塊状の陰影と小結節も多発していました。

壊死があっても結核・真菌とは限らない:壊死を伴うサルコイドーシス

サルコイドーシスの肉芽腫は本来「壊死を伴わない」のが特徴で、CTでも中心の低吸収や辺縁のリング状造影は結核のリンパ節のほうが多いとされます。サルコイドーシス21例と結核26例のリンパ節を比べた検討でも、中心低吸収と辺縁の造影は結核で多くみられました(Lee 2018)。

ただし、まれにサルコイドーシスのリンパ節にも強い壊死が起こります。

  • 縦隔・肺門リンパ節が大きく腫れ、手術で取ったリンパ節に強い壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫がみられたため、抗酸菌(MAC)や真菌の感染との区別が問題になった報告があります。この例では、ACE・可溶性IL-2受容体の上昇やぶどう膜炎がサルコイドーシスを考える手がかりになりました(Miyashita 2021)。
  • 結核の多い地域からは、生検で壊死がみられたために結核として治療され、診断が遅れたサルコイドーシス3例が報告され、「壊死があるだけでサルコイドーシスを除外しない」ことが強調されています(Manwatkar 2024)。

サルコイドーシスは炎症を抑える治療、抗酸菌・真菌の感染は抗菌薬・抗真菌薬で治療するため、取り違えると治療の向きが逆になります。壊死性のリンパ節腫大を見たら感染や転移を考えつつ、培養・PCRの結果や血液検査・眼の所見もあわせて、サルコイドーシスの可能性を残しておきます。

落とし穴

  • 肺炎の後や心不全では一時的に腫れるので、治療後に再検すると小さくなっていることがあります。心不全では、腫大のあった13例中8例(62%)で治療後に縮小しました(Chabbert 2004)。
  • 心不全や間質性肺炎のリンパ節腫大は、それだけで悪性や感染を示すものではありません(Slanetz 1998)。

参考文献

  1. Glazer GM, Gross BH, Quint LE, et al. Normal mediastinal lymph nodes: number and size according to American Thoracic Society mapping. AJR Am J Roentgenol. 1985;144(2):261-5. PubMed
  2. Glazer GM, Orringer MB, Gross BH, et al. The mediastinum in non-small cell lung cancer: CT-surgical correlation. AJR Am J Roentgenol. 1984;142(6):1101-5. PubMed
  3. Gross BH, Schneider HJ, Proto AV. Eggshell calcification of lymph nodes: an update. AJR Am J Roentgenol. 1980;135(6):1265-8. PubMed
  4. Rusch VW, Asamura H, Watanabe H, et al. The IASLC lung cancer staging project: a proposal for a new international lymph node map in the forthcoming seventh edition of the TNM classification for lung cancer. J Thorac Oncol. 2009;4(5):568-77. PubMed
  5. Lee CU, Chong S, Choi HW, et al. Quantitative image analysis using chest computed tomography in the evaluation of lymph node involvement in pulmonary sarcoidosis and tuberculosis. PLoS One. 2018;13(11):e0207959. PubMed
  6. Miyashita Y, Hara M, Iwakami SI, et al. Sarcoidosis with marked necrosis in enlarged lymph nodes mimics mycobacterial infection: a case report. J Med Case Rep. 2021;15(1):178. PubMed
  7. Manwatkar AA, Das JK, Issac NPR, et al. Reevaluating Diagnosis of Sarcoidosis: Biopsy with Necrosis in Mycobacterial Endemic Areas. J Assoc Physicians India. 2024;72(7):94-96. PubMed
  8. Niimi H, Kang EY, Kwong JS, et al. CT of chronic infiltrative lung disease: prevalence of mediastinal lymphadenopathy. J Comput Assist Tomogr. 1996;20(2):305-8. PubMed
  9. Slanetz PJ, Truong M, Shepard JA, et al. Mediastinal lymphadenopathy and hazy mediastinal fat: new CT findings of congestive heart failure. AJR Am J Roentgenol. 1998;171(5):1307-9. PubMed
  10. Chabbert V, Canevet G, Baixas C, et al. Mediastinal lymphadenopathy in congestive heart failure: a sequential CT evaluation with clinical and echocardiographic correlations. Eur Radiol. 2004;14(5):881-9. PubMed
  11. Liu J, Liu Y, Shen X, et al. Clinicopathological characteristics of IgG4-related lung disease. BMC Pulm Med. 2021;21(1):413. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →