先に結論:腸重積(ちょうじゅうせき)とは・子どもと大人の違い

腸重積は、腸の一部が先の腸の中に望遠鏡のようにはまり込む状態です。はまり込んだ腸の血流が悪くなるため、早い治療が必要です。

子ども(乳幼児) 大人
多い年齢 生後5〜7か月ごろがピーク。5歳未満の急性腸閉塞の原因で最多 まれ(腸重積全体の約5%)
原因 多くは原因のはっきりしない特発性(かぜなどのあと腸のリンパ組織が腫れることが引き金) 8割以上に原因の病気(脂肪腫などの良性腫瘍・がん・悪性リンパ腫など)が先端にあるとされる
症状 くり返す不機嫌・腹痛、嘔吐、イチゴゼリー状の血便、おなかのしこり 腹痛・嘔吐など腸閉塞の症状
治療 造影剤や空気を肛門から入れて戻す注腸整復が多い 原因の病気があるため手術が多い

エコー・CTでは、腸が重なって同心円状(的のような形=ターゲットサイン)に見え、長軸方向では腎臓のような形(pseudokidney sign)に見えます。医療現場では、ドイツ語(Invagination)から「インバギ」と呼ばれることもあります。

※赤ちゃんがくり返し激しく泣く・吐く・血便が出るとき、大人でも腹痛と嘔吐が続くときは、すぐに医療機関を受診してください。

腸重積(intussusception)

  • 腸重積とは、腸管が遠位の腸管に望遠鏡を折りたたむように嵌入した状態。
  • 嵌入する腸管をintussusceptum(嵌入部)、嵌入される腸管をintussuscipiens(嵌入鞘)と呼ぶ 。
  • 新生児から成人まで起こりうるが、ピークは生後5-7ヶ月(82研究・44,454件のまとめ:Jiang 2013)。5歳未満の急性腸閉塞の原因で最多(Huppertz 2006)。
  • 乳児期の腸重積は「特発性」であり、症状も典型的で腹痛、嘔吐、粘血便、腹部腫瘤など。
  • 特発性では、回腸末端のリンパ組織であるPeyer板の腫大が引き金となると考えられている。ウイルス感染が先行し、関連が言われている。
  • しかし、年長児では、Meckel憩室や悪性リンパ腫が原因となることあり。
  • 成人では、8割以上に原因疾患が認められる(原因のない特発性は8〜20%:Marinis 2009)。原因としては、脂肪腫などの良性腫瘍、腺癌、転移性腫瘍、悪性リンパ腫、平滑筋肉腫、黒色腫など。
  • 整復には、注腸整復と外科的整復がある。

腸重積の画像所見

  • 腸管壁が同心円状に位置するため、CTや超音波において、長軸に平行なスライスでは層状、垂直なスライスでは、同心円状(標的)構造を認めることができる。(target sign、doughnut signと呼ばれる。※他にcrescent-in-doughnut sign,multiple concentric ring signなどとも称される。長軸方向の断面は長円形に描出され、pseudokidney signと称される。)
  • また腸間膜の脂肪が嵌入腸管とともに嵌入するため層状の脂肪を腫瘤内に偏心して認めるのも特徴。成人では、CTの普及により先進部(lead point)のない一過性の小腸腸重積が偶然見つかることが増えている。Lvoffらの検討では、長さ3.5cm以下の小腸腸重積はすべて自然軽快し、手術を要したのは腫瘍の先進部を伴う例のみであった。先進部となる腫瘤の有無と重積の長さを確認することが、手術が必要かどうかの判断に役立つ。

子どもの腹痛・嘔吐で押さえること:エコー、整復、胆汁性嘔吐

子どもの腸重積はエコーが第一選択

乳幼児の腸重積は、診察と単純X線写真だけでは除外できません(del-Pozo 1999)。感度・特異度は単純X線写真が48%・21%、超音波が97.9%・97.8%で、超音波が診断の第一選択です(Carroll 2017)。30研究・5,249人のメタ解析でも超音波の感度・特異度はともに0.98で、救急医のベッドサイド超音波と放射線科の超音波に有意な差はありませんでした(Tsou 2019)。短軸ではcrescent-in-doughnut sign、長軸ではsandwich sign、hayfork signが知られ、腸の間にたまった液体とドプラでの血流の欠如は、虚血や整復困難のサインです(del-Pozo 1999)。

整復の適応と、手術を考える場合

状態が安定し、腹膜炎を疑う所見がない子どもでは、手術をしない整復(注腸整復)が第一選択で、成功率は空気整復82.7%、液体整復69.6%でした(Carroll 2017)。整復では穿孔(腸に穴があくこと)を避ける必要があります(del-Pozo 1999)。腹膜炎や腸の破れを疑う場合、ショックなど全身状態が不安定な場合は、整復をせず外科に相談します。

緑色の嘔吐(胆汁性嘔吐)は別の緊急疾患のサイン

赤ちゃんの嘔吐が緑色や黄緑色のときは、腸回転異常に伴う中腸軸捻転を最初に除外します。腸がねじれて血流が止まると、壊死して短腸症候群や死亡につながるためです(McCurdie 2024)。軸捻転の乳児30人では、胆汁性嘔吐の色は緑48%、黄33%、両方19%で、信頼できるサインとされました(Filion 2025)。腸回転異常73人の検討では、症状が出てから受診・治療までの時間は転帰と有意には関連せず、短い経過でも合併症や死亡(全体で5.56%)があり得るため、「様子を見る」ことは勧められず、造影検査で緊急に除外します(Gibson 2024)。上部消化管造影は軸捻転の7人全員で診断でき、超音波を先に行う施設もあります(Filion 2025、McCurdie 2024)。詳しくは腸回転異常(中腸回転異常)とは?CT・エコー画像所見と中腸軸捻転(whirlpool sign)をご覧ください。

大人の腸重積:部位別の原因と治療の違い

大人の腸重積は腸重積全体の約5%、腸閉塞の1〜5%とまれで(Marinis 2009)、腹痛が出たり消えたりをくり返す・慢性的に続くなど症状がはっきりしないことも多く、CTで見つかることがほとんどです(Kim 2006)。重なっている部位によって、がんが隠れている割合が大きく違います。

部位 割合 悪性腫瘍の割合 治療の考え方
小腸型(小腸どうし) 65% 9% 短く腫瘍がなければ自然に戻ることが多い
回結腸型(小腸が大腸へ) 21% 46% がんを考えて切除
結腸型(大腸どうし) 20% 68% 戻さずにまとめて切除

割合は成人2330例の系統的レビュー(Heersche 2025)による。結腸型は整復せずに切除し、小腸型は整復してから切除する方法も選べるとされます(Hong 2019)。

ここまでわかる急性腹症のCT 第2版P153 図3を参考に作図。

症例 40歳代 女性

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解説動画。

症例 70歳代女性 腹痛・嘔吐

腸重積のCT画像及び解説

盲腸部の腫瘍を先端に、回腸および盲腸が、肛門側の結腸内に入り込んでいる。

腸重積を疑う所見です。

イラストで書くとこんな感じです。(下手くそですいません。)

手術にて盲腸癌(腺癌)と診断されました。

動画解説はこちら。

腸重積でよくある疑問(Q&A)

Q. 大人の腸重積は自然に治りますか?
A. 腫瘍のない短い小腸の腸重積は、一時的で自然に戻ることがよくあります(Lvoff 2003)。腫瘍がある場合や大腸の腸重積は手術が必要です。

Q. 子どもの腸重積は再発しますか?
A. 欧州の報告をまとめた文献では、およそ10人に1人で再発がみられました(Huppertz 2006)。整復後にまた不機嫌・嘔吐・血便が出たら、すぐに受診してください。

Q. 赤ちゃんが緑色のものを吐きました。腸重積ですか?
A. 緑色や黄緑色の嘔吐は、腸回転異常による中腸軸捻転など、緊急で除外すべき病気のサインです(Filion 2025)。様子を見ずに、すぐ医療機関を受診してください。

あわせて読みたい:肥厚性幽門狭窄症のエコー、IgA血管炎(紫斑病)の腹部CT所見、Peutz-Jeghers症候群(ポイツ・イェガース症候群)の症状、合併症、治療

参考文献:ここまでわかる急性腹症のCT(第1版) P131-134

  1. del-Pozo G, Albillos JC, Tejedor D, et al. Intussusception in children: current concepts in diagnosis and enema reduction. Radiographics. 1999;19(2):299-319. PubMed
  2. Kim YH, Blake MA, Harisinghani MG, et al. Adult intestinal intussusception: CT appearances and identification of a causative lead point. Radiographics. 2006;26(3):733-744. PubMed
  3. Lvoff N, Breiman RS, Coakley FV, et al. Distinguishing features of self-limiting adult small-bowel intussusception identified at CT. Radiology. 2003;227(1):68-72. PubMed
  4. Marinis A, Yiallourou A, Samanides L, et al. Intussusception of the bowel in adults: a review. World J Gastroenterol. 2009;15(4):407-11. PubMed
  5. Hong KD, Kim J, Ji W, et al. Adult intussusception: a systematic review and meta-analysis. Tech Coloproctol. 2019;23(4):315-324. PubMed
  6. Heersche S, Hirt J, Butti F, et al. Intestinal Intussusception in Adults: A Systematic Review. World J Surg. 2025;49(10):2706-2716. PubMed
  7. Huppertz HI, Soriano-Gabarró M, Grimprel E, et al. Intussusception among young children in Europe. Pediatr Infect Dis J. 2006;25(1 Suppl):S22-9. PubMed
  8. Jiang J, Jiang B, Parashar U, et al. Childhood intussusception: a literature review. PLoS One. 2013;8(7):e68482. PubMed
  9. Tsou PY, Wang YH, Ma YK, et al. Accuracy of point-of-care ultrasound and radiology-performed ultrasound for intussusception: A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2019;37(9):1760-1769. PubMed
  10. Carroll AG, Kavanagh RG, Ni Leidhin C, et al. Comparative Effectiveness of Imaging Modalities for the Diagnosis and Treatment of Intussusception: A Critically Appraised Topic. Acad Radiol. 2017;24(5):521-529. PubMed
  11. Gibson A, Silva H, Bajaj M, et al. No safe time window in malrotation and volvulus: A consecutive cohort study. J Paediatr Child Health. 2024;60(6):206-211. PubMed
  12. Filion L, Beaunoyer M, Miron MC, et al. Infant malrotation with midgut volvulus: A retrospective review of clinical presentation and delays in care at a Canadian tertiary paediatric centre. Paediatr Child Health. 2025;30(6):453-458. PubMed
  13. McCurdie FK, Meshaka R, Leung G, et al. Ultrasound for infantile midgut malrotation: Techniques, pearls, and pitfalls. Pediatr Radiol. 2024;54(13):2099-2111. PubMed

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