膵仮性嚢胞(pseudocyst of the pancreas)
- 内壁が上皮を欠き、結合組織で覆われている。
- 内容物は、膵液(アミラーゼなど)や壊死組織融解物。
- 2012年の改訂Atlanta分類で、感染の有無により細分化された。急性期の壊死を伴わない間質性浮腫性膵炎による液貯留を急性膵周囲液貯留(APFC:acute peripancreatic fluid collection)、APFCが4週間以上経過して被包化した液体貯留を仮性嚢胞(PPC:pancreatic pseudocyst)とした。
- 原因としての膵癌を見逃さないようにする。
- 画像診断のみでは鑑別が難しいことがあり、臨床経過を把握することが重要。
- 治療は、嚢胞ドレナージ。適応は、自覚症状がある場合、感染や出血の合併例、長径が6cmを超えるもの、6週間の経過観察で縮小しないもの。
膵仮性嚢胞の画像所見
- 境界明瞭で内部に液体貯留を認める壁の厚い単房性嚢胞。
- 内部が液体のためCTで均一な低吸収、T2WIで著明な高信号となる。
- 造影で被膜に造影効果が認められる。
症例 膵仮性嚢胞の画像診断(慢性膵炎に生じた慢性仮性嚢胞)
▶キー画像 膵体尾部に巨大な単房性嚢胞性病変あり。
背景に多数の石灰化を認め慢性膵炎があり、膵仮性嚢胞を疑う所見です。
関連記事:急性膵炎診療ガイドライン2015に基づくCT画像診断のポイント!