腸重積(intussusception)
- 腸重積とは、腸管が遠位の腸管に望遠鏡を折りたたむように嵌入した状態。
- 嵌入する腸管をintussusceptum(嵌入部)、嵌入される腸管をintussuscipiens(嵌入鞘)と呼ぶ 。
- 新生児から成人まで起こりうるが、ピークは生後5-9ヶ月。幼少時の腹部救急疾患で最多。
- やや男児に多く、男女比は3:2。
- 乳児期の腸重積は「特発性」であり、症状も典型的で腹痛、嘔吐、粘血便、腹部腫瘤など。
- 特発性では、回腸末端のリンパ組織であるPayer板の腫大が引き金となると考えられている。ウイルス感染が先行し、関連が言われている。
- しかし、年長児では、Meckel憩室や悪性リンパ腫が原因となることあり。
- 成人では、8割に原因疾患が認められる。原因としては、脂肪腫が最多であり、腺癌、悪性リンパ腫、平滑筋肉腫、黒色腫など。
- 整復には、注腸整復と外科的整復がある。
腸重積の画像所見
- 腸管壁が同心円状に位置するため、CTや超音波において、長軸に平行なスライスでは層状、垂直なスライスでは、同心円状(標的)構造を認めることができる。(target sign、doughnut signと呼ばれる。※他にcrescent-in-doughnut sign,multiple concentric ring signなどとも称される。長軸方向の断面は長円形に描出され、pseudokidney signと称される。)
- また腸間膜の脂肪が嵌入腸管とともに嵌入するため層状の脂肪を腫瘤内に偏心して認めるのも特徴。
ここまでわかる急性腹症のCT 第2版P153 図3を参考に作図。
症例 40歳代 女性
解説動画。
症例 70歳代女性 腹痛・嘔吐
盲腸部の腫瘍を先端に、回腸および盲腸が、肛門側の結腸内に入り込んでいる。
腸重積を疑う所見です。
イラストで書くとこんな感じです。(下手くそですいません。)
手術にて盲腸癌(腺癌)と診断されました。
動画解説はこちら。
参考文献:ここまでわかる急性腹症のCT(第1版) P131-134