
【頭部】TIPS症例5
【症例】60歳代男性
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両側側脳室の間にある腔はなに?
両側側脳室体部の間に三角形(おむすび形)の髄液と等信号の腔を認めています。
前回見た透明中隔腔と異なり、前方には腔は認めていません。
また前回見たVerga腔は透明中隔腔が後方へ伸びてきたものですので、基本透明中隔腔・Verga腔はセットで存在しており、Verga腔が単体で存在することはないのでした。
ではこれは何でしょうか?
この腔も正常変異であり、
脳室間腔(中間帆腔、中間帆槽)などと呼ばれるものです。
診断:脳室間腔(中間帆腔、中間帆槽)
脳室間腔(中間帆腔、中間帆槽)は上の様に、モンロー孔よりも後方の位置に存在するのがポイントとなります。
形もおむすび型で特徴的なので見ればすぐに分かりますね。
さて、症例4と今回の症例で見てきたこれらの正常変異の腔を正常過剰腔と言います。
このように2種類ありますので、覚えておきましょう。
正常過剰腔は、
- 成人の2-4%で見られる。
- CTやMRIでは脳脊髄液と同じ濃度を示す。
というのが特徴となります。
頻度が高い正常変異ですので、
「Verga腔あり。」
「透明中隔腔あり。」
「透明中隔腔・Verga腔あり。」
「脳室間腔あり。」
「正常過剰腔あり。」
と一言書くケースや、そもそも所見に書かない人も多いかと思います。(私も書きません。)
関連:ベルガ腔(Verga腔)とは?透明中隔腔、脳室間腔とは?症状は?
その他所見:左小脳半球に陳旧性脳梗塞散見。
【頭部】TIPS症例5の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
前回のリンクを読むまで脳室間腔は知りませんでした。というか全てベルガ腔だと思っていました。
ノーシツカンクウが後ろから追い上げてくる動画はありますでしょうか。
う。。。
ノーシツカンクウは競争除外されました。
この2例を通じて,正常過剰腔の理解が深まりました!
よかったです!かなり頻度が多いので今度チェックしてみてください。
前回のベルガ腔や透明中隔腔、今回の脳室間腔は、モンロー孔との位置関係で区別するのですね。勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。おむすびを見たら脳室間腔という単語を思い出しましょう。
改めて画像提示されて、脳室間腔、見た事ありました。左右差もなくこんなものかとスルーしたと思います。如何に正常像を意識していなかったと反省です。
アウトプットありがとうございます。
いえいえ、なかなか言われないと気づかないかもしれませんね。
症例4で中間帆腔とは別物ですか?と聞いしまって、先生の戸惑いのある回答が印象的でした。
両者の違いがとてもスッキリわかりました。
脳室間腔(中間帆腔、中間帆腔)の誤植が3カ所ありました。→脳室間腔(中間帆腔、中間帆槽)ですね。
アウトプットありがとうございます。
>先生の戸惑いのある回答が印象的でした。
ばれてましたか(°°;)
明日出てきますとも言えず。
>脳室間腔(中間帆腔、中間帆腔)の誤植が3カ所ありました。→脳室間腔(中間帆腔、中間帆槽)ですね。
すいません、おっしゃるとおりです。修正しました。
これまでは今回提示された正常過剰腔を区別せずに、透明中隔嚢胞として済ませていました。
大変勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
あえてレポートやカルテに記載するまでもありませんが、違いを分かった上で聞かれたときに「○○という正常過剰腔だから問題ない」と言えればなお良いですね。
おはようございます。
ベルガ腔と脳室間腔が同時に存在することはあるのでしょうか?
また、透明中隔腔=透明中隔嚢胞でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
同時に存在する症例は見たことがないのですが、もしかしたらあるのかもしれません。
>また、透明中隔腔=透明中隔嚢胞でしょうか?
基本同じものを指していると考えます。