
発症から3ヶ月後に再びフォローのMRIが撮影されました。
脳梗塞後の部位に萎縮およびT1WI、FLAIRで脳皮質に沿った高信号の縁取りを認めています。
特にこのT1WIでの脳梗塞後の皮質の高信号を層状壊死(laminar necrosis)といいます。
診断:層状壊死(laminar necrosis)
ということで、知らずに見ればT1WIで皮質に高信号を認め、出血かとびっくりするかもしれませんが、これも脳梗塞後の変化の一つということで覚えておきましょう。
ここだけ切り取ってもよかったのですが、
- 若年者の脳出血および脳室内穿破
- →脳血管造影検査からもやもや病と診断
- →急性水頭症があるのでドレナージ術を施行
- →ドレナージ良好であったが、もやもや血管の閉塞・破綻によると考えられる脳梗塞・くも膜下出血を合併
- →脳梗塞のMRI診断、亜急性期脳出血のMRI画像の復習、もやもや病のMRA所見の復習
- →慢性期にlaminar necrosis(層状壊死) ←今回のTOPICはコレ。
という復習要素も盛りだくさんの症例でしたので、2つに分けました。
※退院後、待機的に両側EC-ICバイパス術(extracranial-intracranial bypass)が施行されました。
関連:
その他所見:左後頭部にV-Pシャントチューブによるアーチファクトあり。
【頭部】症例62-2の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
今日もありがとうございます。まさに総復習の症例でしたね。
62-1でアンギオの画像に見慣れておらず苦戦しました。前回のワーラー変性とも一緒に脳梗塞後の変化をしっかりインプットしたいです。
アウトプットありがとうございます。
>まさに総復習の症例でしたね。
そうなんです。いろいろ復習できる症例なので、laminar necrosisだけ切り取らずに使いました!
今回は、画像を見て、『何が起きてるかわからない』状況でした。場所はもちろんわかるのですが、わかってないことを認識したうえで見た経験を今後に活かしたいです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
みたことがなければ、脳梗塞のフォローで特に症状の増悪もないのにT1WIで高信号を認めてちょっとびっくりするかもしれません。
実際、3年目か4年目くらいだったと思いますが、神経内科の同僚が「この所見は何なの?」と電話をかけてきました。
一度見れば忘れない所見ですね。
症例62-1の解答の資料「脳梗塞後に起こる合併症は?出血性梗塞とは?」において「層状壊死」の記載があったので、すぐわかりました。…というわけではなく、実際の臨床でも層状壊死は陳旧性変化を起こした際にたまに見かける所見なので記憶していました。
アウトプットありがとうございます。
>実際の臨床でも層状壊死は陳旧性変化を起こした際にたまに見かける所見なので記憶していました。
それはよかったです。一度見れば忘れられない陳旧性変化ですね。
今日(7/30)の日勤中にまさに出会って、分からずに何コレ?状態(所見待ち)だったのでビックリしました!(中心後回の皮質部でT1高信号、DWI異常信号なし、FLAIR軽度高信号でした。)
配信日の7/29に自分が取りかかれてなかっただけで、配信日にやっていれば7/30の検査中にウハウハだったはずです。
層状壊死というのですね。たぶん一生忘れないと思います。
アウトプットありがとうございます。
1日違いでしたか!!?
>配信日の7/29に自分が取りかかれてなかっただけで、配信日にやっていれば7/30の検査中にウハウハ
ウハウハ!!!!(^o^)
>層状壊死というのですね。たぶん一生忘れないと思います。
よかったです!
laminar necrosisはいままで見たことがありませんが、皆さんのコメントからは意外と遭遇する所見なんですね。
これで見たときにびっくりせずにすみます。
アウトプットありがとうございます。
頻度は多いわけではありませんが、覚えておきましょう。
いつもありがとうございます。
慢性期の脳梗塞は髄液と同じような信号になるはずなのに、DWIで脳溝に沿って高信号になっていたり、MRIで高信号になっていたりでなんだコレ。。?となりました。 laminar necrosisというものが存在することを初めて知りました。
血管造影検査でもやもや血管に気づけなかったのが悔しかったです。画像は何回か見ているはずでしたが、やっぱり実際に画像をコロコロして読んでみないと分からないなと痛感しました。(第113回の問題でも出てますね。そして正答率54%とかなり低い。。)
https://medu4.com/113A35
アウトプットありがとうございます。
>laminar necrosisというものが存在することを初めて知りました。
慢性期で見られることがある所見として覚えておいてください。T1WIが重要となる所見ですね。
>第113回の問題でも出てますね。そして正答率54%とかなり低い。。
酷似していますね・・・・。情報ありがとうございます。
こんなの国家試験でも出題されるんですね。
コロコロできない分国家試験の方が難しいような気もします(^_^;)
T1WIを見たときに皮質を縁取るようにhighになっていることにはきがつけたので ”PSパターンを呈している。”と記載したのですがそもそもPSパターンDAパターンというのは造影の時にのみ使うのが正しいのでしょうか?それともこの場合も使用して良い表現なのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>そもそもPSパターンDAパターンというのは造影の時にのみ使うのが正しいのでしょうか?
おっしゃるように造影されるパターンで用います。
ですので、今回は用いない表現ですが、「脳表に沿って」という所見に気づけるかが大事ですね。
いつも大変勉強になっています。
見たことのない画像でびっくりしました。頭痛の症状もあり、FLAIR高信号であったためくも膜下出血疑いとしてしまいました。くも膜下出血であれば、T1強調像でここまで高信号にはならないですか?
よければご教授ください…
アウトプットありがとうございます。
まず今回高信号が存在する部位が、脳溝ではなく脳の皮質であるという点がポイントですね。
FLAIRで脳溝に存在している場合はSAHや髄膜炎などの可能性も考えなくてはならないですね。
>くも膜下出血であれば、T1強調像でここまで高信号にはならないですか?
そうですね。T1WIで血腫が高信号を示すのは先日出血経時的変化シリーズでやったように亜急性期でしたが、あくまで脳内血腫と認めているケースであり、くも膜下腔に広がった血腫はこの経時的変化を取りません。
ですので、SAHで脳溝に沿ってこのようにT1WIで高信号に見えることは通常はありません。