
【頭部】TIPS症例66
【症例】60歳代 女性
【主訴】徘徊、取り繕い、物忘れ
【現病歴】:先月家から出て行って、迷子となり、駅で保護された。短期記憶障害あり、お金の管理ができない。
【身体所見】HDS-R 13点、MMSE 17点
画像はこちら
CT
MRI
異常所見と診断は?
まずはCTから見ていきましょう。
比較するために健常例の画像と比較してみてみましょう。
参考症例 70歳代女性
健常例と比較すると前頭葉および側頭葉の萎縮があり、脳溝が目立ちます。
また、脳室の拡大が目立ちます。
また側脳室下角レベルでは、側頭葉内側の萎縮が強く、海馬の萎縮を認めています。
側脳室下角の開大も目立ちます。
MRIにおいても前頭葉および側頭葉を中心とした萎縮が明瞭で、白質変性も目立ちます。
海馬の観察には冠状断像が有用で、側頭葉の内側の萎縮が強いことが確認できます。
このような側頭葉内側の萎縮が強い場合に考えるべきが、アルツハイマー病です。
今回は進行しており、側頭葉内側の萎縮のみならず、前頭葉、側頭葉、頭頂葉にも強い萎縮を認めていることがわかります。
診断:アルツハイマー病の疑い
※神経内科にて重度のアルツハイマー病と診断され、メマリーOD錠内服開始となりました。
基本的かもしれませんが、これを見ると海馬の評価に冠状断像が有用なのが改めてよくわかりますね。
病気がみえるのイラストはホント神ですね。#画像診断 https://t.co/1bJuYhkhQx
— ごろ~にゃ@画像診断cafe (@radiology_cafe) September 24, 2021
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お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
加齢性変化では?と安易でした。
その目で見ると明らかに萎縮部位が偏ってますね。
アウトプットありがとうございます。
実際は判断が難しい症例も多いのですが、今回のような典型例でアルツハイマー病をインプットしておいてください。
海馬に注目する癖がなく、今後注意して見ていきます。どのくらいから萎縮と言うイメージかアドバイスお願いします。脳全体に見ないといけないのも解っているつもりですが…
アウトプットありがとうございます。
どれくらいから萎縮という基準がないのが難しいところです。
萎縮が強い今回のような症例を見慣れていくしかないですね(^_^;)
右頭頂葉のDWI高信号はどのように解釈すれば良いか教えていただければと思います!
アウトプットありがとうございます。
DWI高信号、ADC高信号、T2WI高信号ですので、T2 shine throughによる影響と判断できます。
症例35で出てきました。
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