
【頭部】TIPS症例50
【症例】30歳代 男性
スクリーニング
画像はこちら
頭蓋内に空気が入っている気脳症の状態ではないかと言われましたがどうですか?
正常過剰腔である透明中隔腔およびベルガ腔を認めています。
これらの正常過剰腔は症例4で出てきました。
さて、後方にあるベルガ腔の背側に低吸収域をみとめています。
脳脊髄液よりも低吸収の程度が強いため、空気が存在する気脳症ではないかと考えてしまうかも知れませんが、濃度を変えると前頭洞の空気ほど低吸収でなく、皮下の脂肪と同じ程度であり脂肪であることがわかります。
脂肪以外に石灰化や他の成分は今回はなさそうです。
ですので、脂肪腫であると考えることができます。
診断:(頭蓋内)脂肪腫
さて、このような頭蓋内の脂肪腫は脳梁周囲など正中部に認めることが多いことが知られています。
また、脳梁部に存在している場合は、脳梁の低形成や無形成を伴うことが多いことが知られています。
今回はどうでしょうか?
今回CTの矢状断像がありましたので、それと正常例(20歳代女性のMRIのT1WIの矢状断像)を比べてみましょう。
参考症例 20歳代女性
すると、正常例では膨らんで見える脳梁膨大部が今回の症例では、低形成〜欠損しており、その近くに脂肪成分があることが確認できます。
横断像でもよく見ると確認することができます。
40歳代男性の正常例と比べてみてみましょう。
横断像でも脳梁膨大部が低形成〜欠損していることが確認できます。
関連:頭蓋内脂肪腫の画像診断
【頭部】TIPS症例50の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
脂肪かとも思いましたが、わざと少し広めのwindow幅で見せており、空気かと思いました。今回は先生の仕掛けた罠にはまった気がします。悔しいです(‘ω’) 実際のviewerでは脂肪と言えると思いますが、今回の教訓は活かそうと思います。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>脂肪かとも思いましたが、わざと少し広めのwindow幅で見せており、
いえ、もともとこの画像であり、私の方で調整したわけではありません。
>実際のviewerでは脂肪と言えると思います
そうですね。実際は何だこれとウインドウを調整しますよね。
脂肪と空気を区別できる条件の画像も用意するべきだったかもしれませんね。
追加しました。
クレームになり申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
全然クレームではないです。
むしろありがたいご意見です。
「脂肪腫が脳梁部に存在している場合は、脳梁の低形成や無形成を伴うことが多い」
何気なく書かれていますが全然知りませんでした。脳梁欠損はSagで見れば難しくないですが、Axだと意識しないとよく見逃してしまうと思います。技師としてもSagを追加することでアピールできますね。
アウトプットありがとうございます。
確かに矢状断像ですと一目瞭然ですね。
>技師としてもSagを追加することでアピールできますね。
ですね。ありがたい追加です。
いつも勉強させてもらっています
確かに、空気にも見えたのですが、気脳症として、こんなところに空気入るのか? とも思いました
実際の所、このような深部に空気がはいることはあるのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
入っても良いと考えますが、通常は気脳症の場合は空気の入り口に近い脳表が多いです。
正常過剰腔(症例4)の復習にもなりました。前方が透明(メイ)中隔腔、(ショウ)後方がVerga腔(ベルーガ)もかかっていたのですね。完璧に覚えました。本年も宜しくお願い致します。
アウトプットありがとうございます。
>前方が透明(メイ)中隔腔、(ショウ)後方がVerga腔(ベルーガ)もかかっていたのですね。完璧に覚えました。
かかってるつもりはなかったのですが、前方もそうやって覚えれば鬼に金棒ですね(^_^;)
発見していただきありがとうございます。
問題はメイショウベルーガを覚えられるかですが・・・。
それはそうと年末のエフフォーリアは強かったですね。
脂肪かな?で思考停止したので勉強になりました。
石灰化や脂肪以外の成分を確認するようにしたいです。
(追伸)
。。。理不尽ですね^^;
おっしゃるように淡々と積み重ねることが大事ですね。
そういう考えの上司に付いていきたいと思う年始でした。
アウトプットありがとうございます。
大脳鎌沿いに認めることも割と頻度が高いので救急外来の症例でも是非探してみてください。
>。。。理不尽ですね^^;
おっしゃるように淡々と積み重ねることが大事ですね。
そういう考えの上司に付いていきたいと思う年始でした。
メルマガのP.S.へツッコミありがとうございます(^_^;)
私の上司がそのような考え方ですので、私もそれに習うことにしました。
割り切りが重要ですね。
トルコ鞍の左後床突起付近にも同様の吸収域が存在しますが,こちらも脂肪腫なのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
これは・・・・。
海綿静脈洞内の脂肪沈着で、通常病的意義はないとされているものです。
探していたのですが、ここにありましたか・・・。ありがとうございます。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/38787
側脳室体部が離れているように見えず、脳梁形成異常は見られないとさらりと書いてしまいました。。
sagiなどもしっかり見て、正常との違いを確認したいと思います!
私も本日同様の理不尽を改めて思い出してしまっていたところで、先生のお話に非常に共感致しました。。
でも先生のお言葉で初心をおもいだしました!
『淡々と自分の医療人としての質を上げていく』
私も日々Espressoとともに精進いたします!
今年もよろしくお願いします!
アウトプットありがとうございます。
>sagiなどもしっかり見て、正常との違いを確認したいと思います!
そうですね。横断像だけですと気づきにくいかもしれません。
>私も本日同様の理不尽を改めて思い出してしまっていたところで、先生のお話に非常に共感致しました。。
どこもそうかもしれませんが、理不尽なことが多いですよね。
当直明けに普通に仕事をするというのも、個人的にはかなり理不尽だと思っています(^_^;)
最近は翌日はセーブさせてもらえる環境が増えているようですが。
>『淡々と自分の医療人としての質を上げていく』
いや、本当これです。
医師に限らずですが、目の前の仕事をただこなす人と、こなしつつも常に毎日何かしろ成長しよう・吸収しようと勉強し続ける人の間にはものすごい差ができると思っています。
ここに参加しておられる方は少なくともみなさん後者です。
前者の人とは価値観が違うので、わかり合えないと思いますし、前者の人を後者に変えることは基本的には厳しいので、諦めて「淡々と自分の質を上げていく」ことしかできないと考えています。
今年もよろしくお願いいたします。