COVID-19肺炎の画像診断 症例9

【症例】70歳代男性
【主訴】発熱、嘔吐
【現病歴】8日前より発熱あり、4日前より嘔吐・食思不振あり。

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来院当日

12日後

16日後

まず来院当日のCTを見てみましょう。

両側肺野の末梢優位に非区域性に広がる広範なすりガラス影〜一部crazy paving patternを認めています。

COVID-19肺炎を疑う所見です。

左の下葉ではやや索状影を認めており、治癒過程を見ているようにも見えます。

COVID-19肺炎として加療されていましたが、この2日後より呼吸不全が発症しました。

12日後(発症20日後)のCTを次に見てみましょう。

陰影はさらに広範に広がり、すりガラス影が主体であった陰影は、crazy paving pattern~コンソリデーションとなっていることがわかります。

また気管支の蛇行拡張を認めており、牽引性気管支拡張の出現を疑う所見です。

初回のCTと比較すると両側の大葉間裂のラインがやや背側に移動しており、下葉の収縮を示唆する所見です。

※右はあまり変わらないようですが中葉も収縮しているためだと考えられます。

また牽引性気管支拡張の出現は初回CTと比較すると明瞭です。

これはCOVID-19肺炎からARDSに至ったことを示唆する所見です。

呼吸状態はさらに悪化し、挿管がされました。

次に16日後CTです。

16日後のCTでは正常肺を残さないほど全肺野に陰影の広がりがあり、肺野の収縮、牽引性気管支拡張の進行をさらに認めています。

 

 

診断:COVID-19肺炎の重症化、ARDS

 

 

※この後ECMO導入され、PEEP付きバッグバルブマスク換気の状態で転送となりました。申し訳ありませんが、気になるその後の経過はわかりません。

関連:COVID-19肺炎のCT画像所見と経時的変化のポイント!

症例9の動画解説


お疲れ様でした。

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