【症例】50歳代男性
【主訴】発熱、呼吸苦
【現病歴】10日前により風邪のような症状あり。5日前に他院にてCOVID-19 PCR陽性。4日前より38℃台の発熱および呼吸苦あり。本日症状増悪し、救急搬送となる。
【既往歴】なし
【身体所見】BT 39.1℃、SpO2 95%(nasal 3L)、BP 134/93mmHg、P 100/min、R 22/min、胸部:心雑音なし、肺音は両下肺野背側で弱い。
【データ】WBC 3700、CRP 9.23
画像はこちら
両側上葉に非区域性に広がるコンソリデーション〜一部crazy paving patternを認めています。
両側の下葉においてもコンソリデーションを認めていますが、索状影を認めており、収縮像を疑う所見です。
治癒過程を見ていると考えられます。
診断:COVID-19肺炎(進行期〜極期)に矛盾しない所見。
関連:COVID-19肺炎のCT画像所見と経時的変化のポイント!
症例5の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
いつも勉強させていただいています。
COVID19の画像を見て疑問が2つあります。
①非区域性で末梢優位かつ背側優位のすりガラス影を初期には多くみられる印象があります。
ウイルスが肺胞の血管上皮細胞に血栓傾向を誘発して新生血管が多く出現されるためにと、さらに重力に影響されるために背側に血流が優位になっている生理的な背景から、背側優位になっている解釈をしています。そのため腹臥位が効果があるといわれるのは単にARDSのように換気血流比の不均等是正だけではなく、血流分布を変化させることで新生血管増加を抑制し、重症化・器質化抑制に役立っているのかなと思っています。そのようなイメージでしょうか?
②重症化したあとの浸潤影の画像から何らかの病変により無気肺になっているのか、もしくは完全に器質化してしまい、空気が入る余地がなくなったためなのかがわかりません。何か見分け方があるのでしょうか?
もし一つ目の理由ならPEEPや姿勢変化により改善できるのではと思いますが、二つ目ならそもそも効果がある介入方法がないのではと感じています。
いつも臨床で直接介入しながら悩んでいます。よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>そのため腹臥位が効果があるといわれるのは単にARDSのように換気血流比の不均等是正だけではなく、血流分布を変化させることで新生血管増加を抑制し、重症化・器質化抑制に役立っているのかなと思っています。そのようなイメージでしょうか?
この点については私は何のエビデンスも持っておりませんが、おっしゃるようなことをイメージしております。
>重症化したあとの浸潤影の画像から何らかの病変により無気肺になっているのか、もしくは完全に器質化してしまい、空気が入る余地がなくなったためなのかがわかりません。何か見分け方があるのでしょうか?
もし一つ目の理由ならPEEPや姿勢変化により改善できるのではと思いますが、二つ目ならそもそも効果がある介入方法がないのではと感じています。
これについても推測の域を出ないですが、両側下葉背側に胸膜に沿った索状影が出やすい点から一つ目の理由もあると思います。
しばらく姿勢変化をした後に再度撮影して変化があるようならばなおさらですね。
COVID-19肺炎のCT画像での経時的変化について勉強させていただきました。
索状影、陰影の収縮、瘢痕化は進行期から極期とのことでした。
COVID-19肺炎が回復していく過程はどのようになるのでしょうか。
COVID-19肺炎の臨床経過の図を見ていると、
すりガラス影にだんだん戻っていって、さらにそれが消失していくのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>COVID-19肺炎が回復していく過程はどのようになるのでしょうか。
COVID-19肺炎の臨床経過の図を見ていると、
すりガラス影にだんだん戻っていって、さらにそれが消失していくのでしょうか。
索状影が残るケース
すりガラス影が残るケース
何事もなかったかのように戻るケース
ARDSで学んだように似ても似つかぬ陰影が残るケース
などさまざまですね。
症状が軽快するとCTでのその後のフォローがされなくなることが多いですが。
今回は全体的に進行した所見でしたが、それでも下葉はコンソリデーション〜索状化しており、より極期に見えました。
最近はホテル療養から来ることが多いので初期状態の人を撮ることが減りましたが、やはりCOVID-19は下葉から進出することが多そうですね。
アウトプットありがとうございます。
>下葉はコンソリデーション〜索状化しており、より極期に見えました。
そうですね。この症例も上と下で時期が異なるように見えますね。
>最近はホテル療養から来ることが多いので初期状態の人を撮ることが減りましたが、やはりCOVID-19は下葉から進出することが多そうですね。
そうですね。超初期の陰影を見ることが少なくなりました。
上と下で時期が異なり、下の方が進行しているように見える点からも下から起こることが多いと考えられますね。
他の画像も含めて、いつも動画で分かりやすい解説をありがとうございます。大変勉強になっています。
アウトプットありがとうございます。
お役に立てて良かったです(^^)
さくじょう影とコンソリデーションの画像上の定義をお教えください。
アウトプットありがとうございます。
索状影については別の方も質問されていましたね。
症例4で質問されています。転載します。
索状影、帯状影(band apacity):幅5mm以上の細い2cm以上の陰影を指す。
参考:困ったときの胸部の画像診断 P393
と記載があります。
コンソリデーションはこちらを参照ください。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/34930