【症例】70歳代女性
【主訴】全身倦怠感
【現病歴】13日前に息子家族と食事をした。12日前に息子がPCR陽性となり、濃厚接触者となった。6日前にPCR検査施行されたところ、陽性であった。4日前から倦怠感の出現あり。本日よりホテル隔離となったがSpO2 91%(RA)であり、酸素投与(鼻2-3L)されても90%前半であっため、当院救急搬送となる。
【既往歴】糖尿病、高血圧、脂質異常症
【身体所見】SpO2 94%(nasal 4L)、本人の自覚症状は乏しい
画像はこちら。
両側上葉に非区域性に広がる広範なすりガラス影を認めています。
これまで見てきたものよりもかなり広範にベターッと広がっていますね。
また円形のすりガラス影も散見されます。
一部では区域性に広がっているように見える部位もあります。
また両下葉では、すりガラス影の内部に細かな線状構造を認めており、crazy paving patternを示唆する所見です。
診断:COVID-19肺炎(早期)に矛盾しない所見。
関連:COVID-19肺炎のCT画像所見と経時的変化のポイント!
症例3の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
勉強不足で申し訳ありません。右のB5?が気管支拡張像のように見えるのですが、気管支拡張像と正常気管支の区別にはどのようなPointがあるのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
確かに右のB4、5は伴走する血管と同じくらいの太さになっているので少し拡張傾向にあるのかもしれません。
ARDSなどで見られるような牽引性気管支拡張の拡張の仕方ではないので、反応性に拡張しているのかもしれません。
「正常ならば気管支の内腔径/肺動脈の外径=0.7前後。
これが1を超えると気管支拡張の可能性が高くなる。気管支の部分に指を入れる指輪に見立ててsignet ring signと呼ばれる。」
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/21116
ありがとうございます!
crazy paving patternは分かりにくい(私の問題ですが)です。解説を見たらそうなのかと思いますが、初見で言えるように勉強します
アウトプットありがとうございます。
今回の画像ですと、両側上葉はすりガラス影ですが、特に右下葉肺底部はすりガラス影では説明がつかない線状影を陰影の中に認めています。かといって、コンソリデーションというほど水浸しでもありません。このような状態をcrazy paving patternと表現します。
ただ今回は、The! crazy paving pattern と言うほどの画像ではありませんが。
経過や臨床所見などから今回の検査はCOVID-19肺炎の有無や進行度の確認目的になると思いますが、画像だけを見た場合には好酸球性肺炎も鑑別にあげるべきかな、と思いました。
アウトプットありがとうございます。
>画像だけを見た場合には好酸球性肺炎も鑑別にあげるべきかな
おっしゃるとおりですね。
若年者で喫煙開始の病歴がある場合は、要注意ですね。
ベターとしたすりガラス影(非区域性分布)をチェックできました。
COVID-19肺炎に特異的なようですので、もう忘れません。
crazy paving patternと思われる少し陰影の濃い陰影もチェックできました。
アウトプットありがとうございます。
>COVID-19肺炎に特異的
他の先生も急性好酸球性肺炎も鑑別に挙げるとおっしゃっていますが、ベターとしたすりガラス影(非区域性分布)=COVID-19肺炎というわけではありません。
ですが、臨床的に合致するなら極めてその確率が高いといえますね。
>crazy paving patternと思われる少し陰影の濃い陰影もチェックできました。
crazy paving patternとはどんな画像なのかを学ぶのにCOVID-19肺炎の画像はよいと思います。
気管支拡張の基準や好酸球性肺炎など、この質疑応答でのやり取りが大変勉強になります. (_ _)
アウトプットありがとうございます。
胸部TIPSなどの復習になって良かったです。