【腹部TIPS】症例5 解答編

症例5

【症例】80歳代 女性  スクリーニング

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肝臓と右腎臓の間に石灰化結節を認めています。

場所は、モリソン窩(Morrison窩)と呼ばれ、腹腔内です。

このモリソン窩は、外傷時のエコーのFASTにも見るべき点に入っており、腹腔内の液貯留が溜まりやすい場所として知られています。

 

FASTとは?

focused assessment with sonography for traumaの頭文字を取ったもの。

胸腔、腹腔、心嚢の液貯留の検出のみを目的とする簡易的超音波検査。

臥位の患者において解剖学的に液貯留しやすい

  • モリソン窩
  • 脾周囲
  • 膀胱直腸窩(Douglas窩)
  • 心嚢液
  • 両側胸腔

の5点を1分程度で検出するもの。

 

そんな腹腔内に石灰化結節を認めていると言うことです。

そのような所見を見たときに考えるべきは、

腹膜ネズミ

です。

腹膜ネズミとは腹膜垂が脱落して、石灰化したものです。

腹膜垂は大網紐に沿って垂れ下がる脂肪組織です。

腹腔内を移動することがあるため、ネズミ(鼠)と言う名前がつけられています。

この症例では、ダグラス窩にも楕円形の石灰化結節を認めており、こちらも腹膜ネズミが疑われます。

腹膜ネズミは、辺縁有意に石灰化を認めているのが特徴で、今回もいずれの石灰化も辺縁有意に石灰化を認めている事がわかります。

診断:腹膜ネズミ(脱落した腹膜垂の石灰化)

※腹腔内遊離体、腹膜遊離体、腹膜石などとも呼ばれます。

 

石灰化ですので、レントゲンやスカウト画像には映っていないでしょうか?

やはりスカウト画像や胸部レントゲンにおいても石灰化として認識できますね。

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お疲れ様でした。

今日は以上です。

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