肝偽脂肪腫(Pseudolipoma)
- Glisson鞘偽脂肪腫とも呼ばれる。
- 比較的稀な肝良性腫瘍様病変。
- 遊離した腹膜垂(腹膜鼠)が肝と横隔膜の間に移動してきて着床し、存在するもの。
- 肝は凹むが病変はGlisson鞘の外に存在する。
- 臨床的意義はなく、画像診断でたまたま発見されることが多い。
- 男性優位で認められ、半数に腹部手術の既往あり。
- 他、肥満、アルコールとの関連が言われているがはっきりしない。
- 腹膜遊離体(peritoneal loose body)と同様に線維性被膜あり。内部に壊死や硝子化、石灰化などの変性を有する。
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肝偽脂肪腫(Pseudolipoma)の画像診断
- CTで明瞭な脂肪が肝表面に確認される。石灰化を有する場合あり。割合はさまざま。
- 確認されない場合もMRIではより脂肪の存在が確認できる。
- 鑑別としては、卵巣奇形腫の破裂が同様の所見を呈することがあるが非常に稀。
症例 70歳代男性
肝右葉S7辺縁に脂肪塊あり。
肝偽脂肪腫(Pseudolipoma)を疑う所見です。
脂肪を伴う肝腫瘤の鑑別
- 高分化肝細胞癌
- 肝腺腫
- dysplastic nodule
- 血管筋脂肪腫
- 転移性腫瘍:悪性奇形腫や脂肪肉腫、Wilms腫瘍など
- 脂肪腫、脂肪肉腫
- 奇形腫
- 限局性脂肪腫
- 肝周囲の脂肪織:juxtacaval fat , psedolipoma of the Glisson capsule , intrahepatic omental packing
参考)肝胆膵の画像診断―CT・MRIを中心に (『画像診断』別冊KEY BOOKシリーズ)