【頸部リンパ節】症例2

【症例】50歳代 男性
【主訴】左頸部腫脹
【現病歴】10日前から左頸部腫脹あり。痛みはない。発熱なし。
【データ】WBC 5700、CRP 0.04

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左頸部に多数リンパ節腫大を認めています。

レベルを確認するために舌骨よりやや頭側レベルから見ていきましょう。

左頸部に中心壊死を疑う低吸収域を有する多発リンパ節腫大を認めています。

舌骨よりやや頭側レベルで主に認めています。

顎下腺後縁より背側、内頸静脈後縁より腹側で主に認めており、レベルⅡA相当が主体です。

次に舌骨〜輪状軟骨の間のレベルを見てみましょう。

こちらも上のレベルⅡAを主体とするリンパ節から連続して、リンパ節を認めています。

左総頸動脈内側縁より外側、胸鎖乳突筋後縁より腹側のレベルⅢに中心壊死を伴うリンパ節を認めています。

ただし、腫大は目立ちません。

 

 

診断:左頸部多発リンパ節腫大(レベルⅡA主体でレベルⅡB、Ⅲにもあり)

 

※今回のリンパ節の特徴は

  • 左ⅡAを中心に多数の腫大あり
  • 内部に中心壊死を伴う
  • 周囲の脂肪織濃度上昇は目立たない
  • 圧痛はない
  • 炎症反応は上がっていない
  • (10日前からの発症である)

 

10日前からの発症と、亜急性期の経過ですが、感染を示唆する所見は認めていません。

さらによく見ると、

左口蓋扁桃の腫大を認めています。

同部に腫瘍があり、リンパ節転移を来している可能性が示唆されます。

※ちなみに甲状腺左葉にLDAがあり、甲状腺腫瘍の可能性も考えられますが、腫大しているリンパ節はいずれも頭側のⅡ〜Ⅲレベルで、甲状腺腫瘍からの転移とするともっと下にもリンパ節腫大があるはずです。

左口蓋扁桃およびリンパ節生検が施行され、p16陽性の中咽頭癌およびリンパ節転移と診断されました。

 

最終診断:(HPV関連)左中咽頭癌および頸部多発リンパ節転移(ⅡAレベル主体)

 

※患者さんの希望でがんセンターに紹介となりました。

※中心壊死はHPV関連中咽頭癌をはじめ、頭頸部扁平上皮癌のリンパ節転移でよく見られる所見ですが、化膿性リンパ節炎、結核性リンパ節炎などでも見られ、特異的な所見ではありません。

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【頸部リンパ節腫大】症例2の動画解説

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