
【症例】40歳代 男性
【主訴】鼻汁
【現病歴】鼻汁にて他院受診。単純レントゲンで左上顎洞に陰影あり、精査目的で当院紹介となる。
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左優位に両側上顎洞に粘膜肥厚を認めています。副鼻腔炎を疑う所見です。
よく見ると歯根尖と粘膜肥厚に連続性があることがわかります。
つまり、歯から副鼻腔に炎症が波及している可能性があるということです。
これを歯性上顎洞炎と言います。
冠状断像を見てみましょう。
やはり、左上第6歯(第1大臼歯)の歯根尖と上顎洞の間に骨構造がはっきりせず粘膜肥厚を認めていることがわかります。
さらに一カ所、左上第6歯(第1大臼歯)の歯根尖と上顎洞の間に骨構造がはっきりせず粘膜肥厚を認めていることがわかります。
なお、左上第5歯(第2小臼歯)の歯根尖周囲に嚢胞を認めています。
歯根嚢胞を疑う所見です。
診断:左歯性上顎洞炎の疑い
※耳鼻科から口腔外科へ紹介されました。左上6根尖性歯周炎、左上5歯根嚢胞、歯性上顎洞炎と診断されました。
【顔面+α】症例33の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
片側性副鼻腔炎して歯性上顎洞炎は鑑別にあげたい疾患です。
副鼻腔CT撮影において、冠状断の再構成は自然口だけでなく歯根との関係もわかりやすいので必須と考えます。
アウトプットありがとうございます。
>副鼻腔CT撮影において、冠状断の再構成は自然口だけでなく歯根との関係もわかりやすいので必須と考えます。
おっしゃるとおりですね。
脳挫傷、眼窩底骨折に加えて、副鼻腔炎では、冠状断像が必須ですね。
歯性は上下方向に進展するので、横断像よりも全体像が見える冠状断像(もしくは矢状断像)がわかりやすいですね。
具体的な疾患名が浮かびませんでしたが、歯との連続性があったのですね。
「片側の上顎洞炎」というのも1つのヒントとのことだったので、注意したいです。
アウトプットありがとうございます。
>「片側の上顎洞炎」というのも1つのヒントとのことだったので、注意したいです。
そうですね。片側性の上顎洞炎はアレルギー性ではないということで注意です。