
【症例】70歳代 女性
【主訴】汚い痰が出る。
【現病歴】近医でとある疾患の指摘を受けている。
画像はこちら
右上顎洞に全周性の粘膜肥厚を認めています。
右上顎洞炎を疑う所見です。
よく見ると、上顎洞の骨が左側に比べて肥厚していることがわかります。
これは、炎症が慢性的に存在すること、つまり慢性副鼻腔炎を示唆する所見です。
また冠状断像でも同様の所見を認めていますが、上顎洞と鼻腔を交通する自然口が左では開存しているのに対して、右側では粘膜肥厚により閉塞していることがわかります。
副所見ですが、右上顎洞には左側には認めない過剰腔を認めています。眼窩下蜂巣と言われる正常変異です。
診断:慢性副鼻腔炎(右上顎洞)
※内視鏡上、右後鼻漏あり。耳鼻咽喉科入院の上、手術(内視鏡下副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery:ESS))となりました。
関連:慢性副鼻腔炎の画像診断
【顔面+α】症例31の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
右上顎洞内に淡く高吸収を呈する軟部影を認めたので「真菌症疑い」と記載しましたが、慢性副鼻腔炎との鑑別で特に重要な所見はありますでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
確かに淡く高吸収ですので、真菌性副鼻腔炎も鑑別に挙がりますね。
真菌性であっても慢性的であれば今回のような壁肥厚を来し、慢性副鼻腔炎に含まれます。
もっと高吸収であったり、石灰化を来しているときにより記載する傾向にありますが、今回の所見で真菌の可能性も否定できませんので、記載するのはOKです。
副鼻腔の貯留液の信号によって細菌の予測までできるんですね。
確定診断にならないとはいえ、予測できたら楽しいですね^^
アウトプットありがとうございます。
片側性で粘膜肥厚している中に高吸収な部分があれば、真菌の可能性も考慮します。
ただし、手術してみたら、真菌はおらずに単に粘液が濃縮していただけだったということもあります。
nasal cycleについて始めて知りました。過去画像と比較もチュウビコウカイなどでは粘膜に関して知っておかないといけませんね。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>nasal cycleについて始めて知りました。
MR撮影中に左右の太さが反転したという報告もありました。
かなり肥厚が強くないと画像だけで肥厚ありとは言えないですね。
症例26で学んだair bubblesが、この症例にもあると判断して、悩みました。
慢性副鼻腔炎や真菌性副鼻腔炎にみられるという報告もあるようですね。
症例31はbubblesあるの言えるのでしょうか。
あけましておめでとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>症例26で学んだair bubblesが、この症例にもあると判断して、悩みました。
そうですね。ありと判断してよいですが、だから急性というわけではありません。
急性副鼻腔炎で見られることがある所見の一つということでお願いします。
臨床症状などと併せてということになりますね。
あけましておめでとうございます.
今年も1日1日成長できるようがんばります!
今日の症例は右上顎に埋伏歯が目立ったためそこから波及した副鼻腔炎,歯性上顎洞炎の可能性を指摘してしまいました.
近位とは歯科医院で,虫歯の治療でもされているのだろうか…などと想像を膨らませ,新年早々見当違いの回答をしてしまいました!
アウトプットありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
>今日の症例は右上顎に埋伏歯が目立ったためそこから波及した副鼻腔炎,歯性上顎洞炎の可能性を指摘してしまいました.
片側性の副鼻腔炎ですのでその可能性も考えなければなりませんね。
>近位とは歯科医院で,虫歯の治療でもされているのだろうか…などと想像を膨らませ,新年早々見当違いの回答をしてしまいました!
いや、でもミスリードするような病歴の記載でした。すいません。