
【症例】50歳代 男性
【主訴】左頸部腫脹
【現病歴】3週間前から左頸部腫脹あり。痛みはない。発熱なし。
【データ】WBC 6200、CRP 0.05
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左顎下腺の外側に粗大な類球形の腫瘤があり、リンパ節腫大が疑われます。
辺縁は平滑です。
みなさんの環境ではサイズは測れませんがサイズを測定したところ最大短径で1.6cmでした。有意な腫大と言えます。
また、両側総頸動脈の外側に小リンパ節を複数認めています。
さて、このリンパ節腫大の部位はレベルシステムでいうとどこに相当するでしょうか?
レベルシステムではまず高さがどこなのかを同定して、その後で横断像で前後左右を確認します。
高さのメルクマールとなるのは、
- 舌骨下縁
- 輪状軟骨下縁
がとくに重要です。
矢状断像と横断像を並べて見てみます。
舌骨下炎はこの辺りとなります。
一方で輪状軟骨下縁はこのレベルとなります。
今回は両側の顎下腺が見えていたレベルですので、舌骨下縁よりも上側ということになります。
またさらに、
- 前後では顎下腺後縁よりも前方に
- 左右では顎下腺よりも外側に(もちろん顎二腹筋前内側縁よりも外側に)
存在しています。
ここに相当するのは、レベルIBとなります。
診断:左頸部リンパ節腫大(レベルIB)
頸部リンパ節腫大を来す疾患はたくさんありますが、疼痛や圧痛を認めず、炎症反応高値を認めず、片側性で単発で、辺縁が平滑で、となるとまず考えるべきは悪性リンパ腫です。
(もちろん転移やその他の疾患も鑑別には挙がります。)
※生検がなされ、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL:diffuse large B-cell lymphoma)と診断されました。
最終診断:悪性リンパ腫(びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL:diffuse large B-cell lymphoma))
関連:
【頸部リンパ節腫大】症例1の動画解説
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