【顔面+α】症例30

【症例】50歳代 男性
【主訴】咽頭痛、嚥下痛、左頸部圧痛
【現病歴】4日前からの咽頭痛、嚥下痛、左頸部圧痛あり。昨日より寝返りができず寝られない。
【身体所見】BT 36.9℃
【データ】WBC 9600、CRP 7.46

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CT

MRI

 

骨条件をよく見ないと見落としそうな所見ですが、軸椎(C2)の腹側から環椎(C1)の腹側にかけて石灰化を認めています。

矢状断像でその様子がよく分かります。

crowned dens syndromeで認めた石灰化の部位とはやや異なります。

またこれも見慣れていないと厳しい所見ですが、C2−5の咽頭後間隙に浮腫性変化を認めています。

咽頭後間隙には扁桃周囲膿瘍が波及して咽後膿瘍を形成した症例がありましたが、今回は膿瘍を疑うような明らかな皮膜の造影効果は認めていません。

炎症があり反応性に浮腫性変化〜液貯留を認めていると考えることができます。

  • 頸部痛
  • 環椎腹側の石灰化
  • 咽頭後間隙の浮腫性肥厚

これらがあるときに考えなければならないのが、石灰沈着性頸長筋腱炎です。

頸長筋腱(環椎の前に付着)へのハイドロキシアパタイト沈着に伴う炎症です。

次にMRIを見てみましょう。

頸長筋の環椎付着部左側にCTで認めた石灰化(T2WI低信号)を認めています。同部の頸長筋に軽度高信号の浮腫性変化を認めています。

また咽頭後間隙に浮腫性変化を高信号として認めています。

咽頭後間隙の浮腫性変化はより下のレベルのでC2−5で明瞭で、矢状断像で見た方がわかりやすいかもしれません。

 

診断:石灰沈着性頸長筋腱炎

 

※NSAIDで様子見となりました。外来でフォローされ、軽快しています。

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お疲れ様でした。

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