【顔面+α】症例21

【症例】70歳代 男性
【主訴】咽頭痛、嚥下時痛
【現病歴】2日前より咽頭痛あり、徐々にひどくなり昨晩眠れず受診。
【身体所見】SpO2 95%(RA) 、開口障害なし、左口蓋扁桃周囲腫脹あり、左頚部に圧痛あり。
【データ】WBC 13900、CRP 6.48

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左扁桃周囲膿瘍および周囲に浮腫性変化を認めています。

左扁桃周囲膿瘍のある部位から尾側方向に広範な軟部組織の腫脹・浮腫性変化を認めています。

浮腫は喉頭蓋に及んでおり、喉頭浮腫の状態であることがわかります。

矢状断像で喉頭蓋の腫脹がわかりやすく、頸部単純X線側面像でthumbサインと呼ばれる像に相当する所見を認めています。

 

診断:左扁桃周囲膿瘍および喉頭浮腫(喉頭蓋浮腫)

 

※耳鼻科入院となりました。緊急の喉頭ファイバー検査においても喉頭蓋舌面腫脹を認めているものの、気道は確保されていると判断され、切開排膿およびステロイド、抗生剤点滴開始となりました。

 

翌日、改善を認めず再度頸部CTが撮影されました。

左扁桃周囲膿瘍は増大し、咽頭後間隙に及び咽後膿瘍を形成しています。

また、喉頭蓋の腫脹も残存、周囲浮腫の増強あり、右側にも及び、気道狭窄を認めていることが分かります。

浮腫性変化および咽後膿瘍は下咽頭レベルまで達しています。

矢状断像で、喉頭蓋の腫脹は残存し、咽後膿瘍を中咽頭から下咽頭にかけて認めている様子がよくわかります。

 

診断:左扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍、喉頭浮腫、気道狭窄

 

※膿瘍形成は悪化しており、窒息の可能性があると判断され緊急手術となりました。

気管切開術、左口蓋扁桃摘出術が施行され、切開排膿がなされました。

その後経過良好で、10日後に気管切開孔閉鎖術が施行され、その8日後に退院となりました。

※なお膿瘍の培養からは口腔内常在菌のみ検出されました。

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