
【症例】70歳代 女性
【主訴】頚部腫脹
【現病歴】3日前くらいから顎が腫れてきた、口の中から膿が出る。
【既往歴】シェーグレン症候群でサリベート他院で処方されている。
【身体所見】口腔底腫脹・排膿あり。右顎下腺腫大あり。やや硬い。
【データ】WBC 14200、CRP 9.49
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右顎下腺の腫脹および周囲脂肪織濃度上昇を認めてます。
右顎下腺炎を疑う所見です。
顎下腺は通常、はっきりとした構造として同定できるのですが、この方は、左右とも顎下腺の構造がはっきりしません。
炎症所見のない左顎下腺を見てみましょう。
どこからどこまでが顎下腺と境界がはっきりせず、内部が高吸収と低吸収の混在を認めています。
これはSjögren症候群で認める所見で、salt and pepper appearanceと呼ばれます。
顎下腺だけでなく、両側耳下腺にも内部が高吸収と低吸収の混在を認めています。
こちらもSjögren症候群で認める所見で、salt and pepper appearanceと呼ばれます。
診断:(Sjögren症候群を背景に生じた)右顎下腺炎
※耳鼻科入院となり、顎下腺摘出が行われました。
病理ですが、
病理診断:慢性リンパ上皮性唾液腺炎(Chronic lymphoepithelial sialoadenitis,severe,of the right submandibular gland.excision.)
病理所見:腺房の対部分は消失し、リンパ球を主とし、好中球、組織球が混じる著明な細胞浸潤を示している。導管内にもリンパ球が浸潤しLEL(lympho-epithelial lesion)が形成されている。また、血管にも好中球、リンパ球が浸潤し、angitisの像が見られる。Sjögren症候群として矛盾なし。
とことです。
関連:Sjögren症候群(シェーグレン症候群)の耳下腺の画像所見
【顔面+α】症例23の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
炎症反応上昇、排膿の原因は、シェーグレン症候群そのものというよりは、合併した化膿性唾液腺炎によるものと考えてよいのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように合併した顎下腺炎による変化であると考えられます。
ケバつきや腫大が左右異なるとはいえ、左も見え方違うため炎症なのかな?と思ってしまいました。シェーグレン症候群ではこのように見えることを知りませんでしたので大変勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。両側とも正常の顎下腺の見え方と異なるのでちょっとわかりにくいかもしれませんね。
その中でもやはり右側で腫脹、脂肪織濃度上昇を指摘したいですね。
salt and pepper appearanceは脳挫傷のときにも出てきましたね。メルセデスベンツとかと同じでいろいろ使われるんですね。右顎下腺以外は全く知らず良い勉強になったと言いたいです(シェーグレンは特に難しい印象ですが・・・)。よく臨床で遭遇しますか?ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>salt and pepper appearanceは脳挫傷のときにも出てきましたね。メルセデスベンツとかと同じでいろいろ使われるんですね。
そうですね(^^)
脳挫傷でも出てきましたね。脳挫傷で使われることが最も多いですが、グロムス腫瘍における造影効果や副甲状腺機能亢進症における骨陰影にもこの表現が使われます。
>よく臨床で遭遇しますか?
よくではないですが、たまに遭遇します。
胸部大動脈の石灰化の所に解離はありませんか?
アウトプットありがとうございます。
確かに1スライスだけみるとそのように見えるところもありますが、石灰化がある部位であり、また連続性がありませんので、アーチファクトですね。
また大動脈基部には拍動によるアーチファクトもあります。
いつもありがとうございます。
右内頸静脈が拡張しているように見えます。右静脈角付近に存在するair(横断像33枚目)が何か関係するのかなと思ったのですが、どう考えたらいいですか?
アウトプットありがとうございます。
>右内頸静脈が拡張しているように見えます
左右差があることはしばしば見られますので、正常範囲です。
>右静脈角付近に存在するair(横断像33枚目)が何か関係するのかな
ルートを取る際に入ったairですね。こちらもよく見られる所見です。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5267
リンクまで貼って頂き、ありがとうございますm(_ _)m 胸部tipsでやったかもですね。。