
【症例】20歳代 女性
【主訴】咽頭痛、右頸部腫脹
【現病歴】2日前飲酒後咽頭痛あり。頚部腫脹あり、本日耳鼻科受診。
【身体所見】右下顎圧痛あり。
【データ】WBC 7500、CRP 0.60
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右顎下腺の腫大及び周囲脂肪織濃度上昇を認めています。
右顎下腺炎を疑う所見です。
下顎骨の正中やや右側背側に石灰化を認めています。Wharton管に存在する唾石を疑う所見です。
この唾石が原因で右顎下腺炎が起こっている事が推測されます。
顎下腺の腫大及び脂肪織濃度上昇はこのレベルでも分かります。
脂肪織濃度上昇は下極レベルでよく分かりますね。
冠状断像においても左右差が明瞭です。
診断:唾石による右顎下腺炎
※唾石に伴う右顎下腺炎と診断され、抗生剤治療で外来フォローとなり、10日後に入院の上、唾石摘出術が施行されました。
唾石
- 唾液腺内に、細菌などの異物を核として同心円状にCaが沈着して形成される石灰化物。
- 唾石の85%は顎下腺に生じる。顎下腺唾石症の85%はワルトン管(Wharton’s duct)に起こる。次いで腺管移行部に多い。
- 顎下腺炎の原因で最多。※顎下腺は粘液腺が主体。
参考症例を2つ見てみましょう。
参考症例1 40歳代女性
腺管移行部に粗大な唾石を認めています。
参考症例2 50歳代男性
Wharton管に鋳型状に唾石を認めています。
いずれの症例も唾石摘出術が施行されました。
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お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
ワルトン管の解剖を知っていれば、顎下腺炎とその軌道上の唾石にも気づきやすくなりますね。
頸部の解剖の勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
実際はWharton管は腹側に向けて上を向いているようなので、このようにCTの横断像では同じスライスでは見えないのですが、イメージと言うことでよろしくお願いします。
>頸部の解剖の勉強になります。
ありがとうございます(^^)
右顎下腺の腫大を認め、唾石を探したのですが…見つけきれませんでした。
今回のような小さな唾石では「骨条件より通常条件の方が確認しやすいことがある」ということを学びました。
アウトプットありがとうございます。
確かに骨条件だと気づきにくいですね(;゚ロ゚)
唾石は通常条件で探した方がよさそうですね。
なんとなく腫れてるけど、あまり見慣れない部位でリンパ節炎か何かだと考えてしまいました。
勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>あまり見慣れない部位でリンパ節炎か何かだと考えてしまいました。
同部に炎症があることに気づけるかがまずは大事ですね。
炎症所見は腹部でも頸部でも周囲の脂肪織濃度上昇などがヒントになりますね。