先に結論:唾石症とは・ワルトン管とステノン管

  • 唾石症は、唾液の通り道や唾液腺の中にカルシウムの石(唾石)ができる病気です。約8割以上が顎下腺(あごの下の唾液腺)にでき、特に顎下腺の管(ワルトン管)や、腺から管に移る部分に多いです
  • ワルトン管は顎下腺から舌の下(舌下小丘)に開く管、ステノン管は耳下腺から頬の内側(上の奥歯の向かい)に開く管です
  • 典型的な症状は食事のときにあごの下が腫れて痛む(唾疝痛)ことで、感染すると赤く腫れて膿が出ます。CT(造影なし)で白い石として位置と数がよくわかり、位置によって口の中から石だけを取る方法か、顎下腺ごと摘出する方法かを決めます

※食事のたびにあごの下が腫れる・痛むときは、耳鼻咽喉科・口腔外科を受診してください。

唾石症(sialolithiasis)とは?

  • 唾液腺内に、細菌などの異物を核として同心円状にCaが沈着して形成される石灰化物。
  • 特に顎下腺炎の原因で最多。※顎下腺は粘液を含む混合腺で、唾液が耳下腺より粘稠なことも一因とされる。
  • 中でも腺体導管移行部が好発部位となる。
  • 唾石の約84%は顎下腺に、約13%は耳下腺に生じる。顎下腺唾石の約90%はワルトン管(Wharton’s duct)内にある。
  • 食事の際に腺体の腫脹と疼痛を生じる唾疝痛。
  • 多くは物理的な唾液排出障害に伴う痛み。まれに感染を伴うことあり。参考)X線透過性の線維素性物質によっても閉塞性の唾液腺症(Kussmaul病)を生じることもあるので注意。
  • 慢性的であると、唾石により顎下腺が脂肪変性を起こす。
  • 治療は、口の中から届く管内の唾石は口内法で唾石のみを摘出し、腺体内や腺体移行部の唾石では顎下腺摘出術(口外法)が選ばれることもある。施設によっては唾液腺内視鏡も用いられる。小さく届きやすい唾石ではまず保存的治療が試みられます。手術が必要な場合も、唾液腺内視鏡・レーザー砕石・体外衝撃波砕石・口内法による摘出など、顎下腺を残す方法が選択肢に入っています。

唾石症のCT所見

  • 唾石の検出にはCTが適している。造影する場合は単純も必要。
  • 唾石は高吸収域を呈して舌下間隙内に存在するが、Wharton管内唾石は舌下腺内側に、腺体移行部唾石は顎舌骨筋後縁付近に存在する。
  • 唾石よりも腺体側のWharton管の拡張像が見えることもある。※腺体移行部:顎下腺から唾液排泄管(Wharton管)が出る部位の便宜的な呼び方。唾石の好発部位。
  • また、唾石が原因の炎症が、顎下腺や舌下腺自体あるいは腺外に波及した場合には、造影CTやMRIでの検査が必要。
  • その場合、CTでは正常唾液腺と比較して濃度が上昇する。MRIではT1WIで低信号、T2WIで高信号となる。造影効果あり。
  • 膿瘍を形成するとリング状の造影増強効果をしめす。

唾石症のCTでのポイントは?見るべきことは?

唾石の位置

  • 顎下腺の腺体内
  • 腺体移行部
  • 口腔底(Wharton管内唾石)

唾石の数

  • 1個なのか2個以上なのか

→これらの情報から、唾石摘出のためのアプローチが口内法か口外法かの決定がなされる。

症例 40歳代女性 唾液腺ー腺体移行部 唾石

sialolithiasis1

症例 70歳代女性 唾液腺ー腺体移行部 唾石、著明な萎縮

sialolithiasis2

症例 30歳代男性 Wharton管内唾石

sialolithiasis

右側舌下部に棒状の石灰化あり。顎下腺のワルトン管の走行部位と一致している。

 

 

 

参考文献

  1. Kraaij S, Karagozoglu KH, Forouzanfar T, et al. Salivary stones: symptoms, aetiology, biochemical composition and treatment. Br Dent J. 2014;217(11):E23. PubMed
  2. Rzymska-Grala I, Stopa Z, Grala B, et al. Salivary gland calculi – contemporary methods of imaging. Pol J Radiol. 2010;75(3):25-37. PubMed
  3. Badash I, Raskin J, Pei M, et al. Contemporary Review of Submandibular Gland Sialolithiasis and Surgical Management Options. Cureus. 2022;14(8):e28147. PubMed

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