【顔面+α】症例20

【症例】30歳代 男性
【主訴】咽頭痛、開口障害
【現病歴】3日前より咽頭痛、開口障害あり。昨日より食事摂取、水分摂取不良となり、本日耳鼻科外来受診。
【身体所見】発熱37度台、左扁桃周囲腫脹++、開口障害+、喉頭浮腫なし。呼吸苦なし。
【データ】WBC 15400、CRP 7.47

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頸部の造影CTが撮影されています。

左口蓋扁桃の腫脹および壁を有する液貯留があり、扁桃周囲膿瘍が疑われます。

このように液貯留を確認することが膿瘍の診断において最も重要です。

膿瘍腔の背側にはリンパ節の軽度腫大を認めています。

同部のリンパ節は、Rouvièreリンパ節(ルビエル)という名前がついており、上咽頭癌のリンパ節転移で重要なリンパ節です。

また膿瘍があるやや尾側レベルにおいて、頸動静脈の周囲に複数のリンパ節腫大を認めています。

左で目立ちますが右にも認めています。

※細かい話になりますが、頸部のリンパ節はレベルシステムという分類がなされ、同部はレベルⅡ相当となります。

膿瘍腔の下方レベルの喉頭蓋レベルで咽頭粘膜は軽度左右差があり、左側で肥厚を認めています。

ただし、喉頭蓋自体には腫脹は認めていません。

傍咽頭間隙への炎症波及はどうでしょうか?

傍咽頭間隙とは上記の間隙の間に認める脂肪濃度部分を指します。

若干左右差があり、左の傍咽頭間隙に脂肪織濃度上昇を認めています。

そのため、傍咽頭間隙への炎症波及を示唆する所見です。

傍咽頭間隙から咀嚼筋間隙に炎症波及を認め開口障害を生じている可能性があります。

 

診断:左扁桃周囲膿瘍

 

※入院となり、スルバシリン1.5g×4回/day、ステロイド点滴開始となりました。扁桃周囲膿瘍切開術が施行され、症状改善。6日後に退院となっています。

関連:

【顔面+α】症例20の動画解説

もはや顔面救急ではないのでは・・・
ですので、ちゃんと見てください。+αになってるでしょ。
こ、姑息な!

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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おまけ

今回の動画でも出てきた扁桃周囲膿瘍のシェーマをイラストレーターに依頼しました。

子供が遊ぼうと言っているのに、それを無視する鬼畜動画がこちらです。

passは、kichikuです。

こ、これは鬼畜すぎる・・・・

 

もう5年くらい前の映像です。

この子が今や小学校に通い、学校から帰ってきて一人で「公園に野球行ってくるわ」というまで大きくなりました。