【胸部】TIPS症例44
【症例】60歳代女性
【主訴】胸部異常陰影
【現病歴】右乳癌術後フォローCTで6ヶ月前に胸部異常陰影を指摘され、増大傾向。
【既往歴】右乳癌術後、サルコイドーシス、高血圧
画像はこちら
異常所見と今後の方針は?
右下葉末梢にすりガラス結節を認めています。
thin sliceにおいてもすりガラス影のみであり、pure GGNと呼ばれるタイプの性状です。
サイズを測定すると最大径で14mm大です。
※動画内では12mm程度ですね。どこで測定するかで数mmのズレはありますね(^_^;)
肺癌検診の場合は、最大径が15mm以上か未満かでフォローするか確定診断するか(生検、手術)が分かれておりちょうどボーダーラインくらいのサイズであることがわかります。
ただし今回はサイズが増大傾向であるという点から手術が施行されました。
診断:右下葉にpure GGNあり。最大径14mm大であり、増大傾向にある点から確定診断(生検、手術)が望ましい。
※病理診断:Adenocarcinoma in situ(上皮内腺癌)
最終診断:右下葉に上皮内腺癌(AIS)
関連:CTで肺結節を見つけた!どうフォローすればいい?何ヶ月後?
その他所見:
- 両側肺尖部bulla散見。
- 右乳癌術後。右前胸壁沿いに放射性治療後変化あり。
- 縦隔に小リンパ節散見。
- 胃小弯側にリンパ節腫大あり。サルコイドーシスによる変化のほか、胃癌の除外など必要。(コメントを受けて追記しました。)
【胸部】TIPS症例44の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
問題においてthin sliceの方に回答アイコンがないので確認ください。
前回の問題で、点状の充実部分を血管影と見てしまいpure GGN(実際はpart-solid noduleでした)としましたが、今回こそがpure GGNでした。今回はフォローするか、確定診断するか、患者の意向も聞いて慎重な対応が必要と言うことですね。
アウトプットありがとうございます。
>問題においてthin sliceの方に回答アイコンがないので確認ください
ご指摘ありがとうございます。修正依頼をしました。
>前回の問題で、点状の充実部分を血管影と見てしまいpure GGN(実際はpart-solid noduleでした)としましたが、今回こそがpure GGNでした。
充実部位がわずかな場合はどちらと取るかは微妙なこともありますね。
>今回はフォローするか、確定診断するか、患者の意向も聞いて慎重な対応が必要と言うことですね。
そうですね。これくらいですと、施設や主治医によっても治療方針は変わってきそうです。
充実成分がなくても15mmを超えれば要注意ということですね。今回は増大傾向ですし、手術もしやすそうな位置?な気がするので診断のためにも手術が選択されたのですね。
アウトプットありがとうございます。
>充実成分がなくても15mmを超えれば要注意ということですね。
そうですね。pure GGOであってもサイズが大きいものは要注意ですね。
今回pure GGNが増大傾向にあるとありますが、thin slice画像の85スライス目と228スライス目のGGNでは、228スライス目の方が撮影時期が前ということでよろしいでしょうか?
ご指摘ありがとうございます。
すいません、thin sliceは今回のもののみの提示なのですが、途中でページが飛んだり、同じものが表示されていますね。修正します。
すいません
乳がんの放射線療法による瘢痕と説明していましたね
大変申し訳ございませんでした…
ん?元のコメントは消されましたかね?
>乳がんの放射線療法による瘢痕
ですね。右前胸壁沿いに認めています。
あれ、消えてますね…たびたびすみません、、、
右上葉や中葉で、血管陰影が胸壁まで達して見えるのはなぜなんだろうと疑問に思ったので質問させていただきました
サルコイドーシスがあるし、広義リンパ路の一部が見えている?などと思いましたが、放射線療法後の軽度の間質性変化でよさそうですね。。。大変失礼しました。
>サルコイドーシスがあるし、広義リンパ路の一部が見えている?などと思いましたが、放射線療法後の軽度の間質性変化でよさそうですね
今回は放射線療法後の軽度の間質性変化でよさそうですね。
いつもお世話になっております。結節の内部の性状や大きさによってフォロー期間が違うので、その都度確認して方針を決めていこうと思いました。
2点質問なのですが、放射線治療後の変化は、索状影?の他に何か特徴はあるでしょうか?また、乳癌術後で石灰化らしきものが見えており、この方はインプラントか何か入れられているのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>放射線治療後の変化は、索状影?の他に何か特徴はあるでしょうか?
乳癌の温存療法後の放射線治療後の変化のほとんどは今回のように胸壁に沿った索状影となります。
それ以外には肺尖部に認めることもあります。
あとは、治療後に器質化肺炎(OP)を起こすことがあります。
関連
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5779
>乳癌術後で石灰化らしきものが見えており、この方はインプラントか何か入れられているのでしょうか?
インプラントは入っていないようです。元々も石灰化があったのかもしれませんが、術後のペッツなどを見ていると考えられます。特に有意ではありません。
pure GGNについて、考えがまとまり理解しやすかったです。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
考えがまとまりよかったです!
肺結節に対する取り扱いについてわかりやすかったです。
増大傾向など考慮して、柔軟に対応していくのですね。
ところで、GGOという言葉はもう使われなくなったのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
GGOという言葉も使います。noduleよりもサイズが大きかったり広範な場合ですかね。
人によっては、すりガラス影はなんでもGGOと表現する人もいると思います。むしろそちらの方が多いかもしれませんね。
主題とは外れるのですが、111、169/174の胃小弯側、腹部大動脈前方やや左側のものが、腫大リンパ節のように見えたのですが、どうでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように、腫大リンパ節がありますね。
単発というよりは複数のリンパ節が癒合しているように見えます。
サルコイドーシスによる変化のほか、胃癌の除外など必要ですね。