【胸部】TIPS症例45
【症例】60歳代男性
【主訴】胸部異常陰影
【現病歴】他院にて、8ヶ月前に腹部大動脈瘤に対するステント挿入(3年前挿入)後のCTで異常陰影を認め、経時的に増大あり。腹部大動脈瘤の経過観察終了にともない経過観察継続のため当院呼吸器科紹介となる。
【既往歴】8年前に右上葉肺癌疑いで右肺上葉切除術施行(結果、非定型抗酸菌症だった)、腹部大動脈瘤に対してステント挿入術
【喫煙歴】50本/日×37年(20-57歳まで)
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異常所見と今後の方針は?
右下葉末梢にspiculaを有する不整形陰影を認めています。
胸膜陥入像も認めており、明らかに肺癌ぽい!と思える必要があります。
一部胸膜に接していますが、明らかな浸潤所見は認めていません。
thin sliceで見てみましょう。
Thin sliceではspiculaが明瞭に見え、内部はほぼ充実成分であり、結節の長径は2.3cm大と10mmを超えていることがわかります。
形状やサイズから肺腺癌が疑われます。
診断:右下葉に肺癌疑い(T1cN0M0)。確定診断(生検、手術)を行う必要がある。
※気管支鏡検査(BFS)やCTガイド下生検で確定診断にいたらず、手術が施行されました。
最終病理診断は、乳頭型の肺腺癌(Papillary adenocarcinoma (papillary70%,acinar25%, lepidic growth5%))と診断されました。
あくまで検診の場合ですが、以下の結節を拾い上げるように推奨されています。
今回はサイズが2.3cmと明らかに6mmを超えているので引っかけないといけないのですが、そもそもspiculaや胸膜陥入像があり、肺癌を強く疑う結節といえますので、いずれにしても必ず引っかけないといけない結節ということになりますね。
関連:CTで肺結節を見つけた!どうフォローすればいい?何ヶ月後?
【胸部】TIPS症例45の動画解説
CTで肺結節を見つけたときの取り扱い方法最新版(第5版)
悪性を疑わせる肺結節の所見とは?
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
スピキュラや胸膜陥入像があり、私でも気持ち悪さを感じる腫瘤影でした。
肺結節の取り扱い方を確認しないと、いかにもじゃないやつの対処は忘れてしまいますね。
アウトプットありがとうございます。
>スピキュラや胸膜陥入像があり、私でも気持ち悪さを感じる腫瘤影でした。
気持ち悪さ、悪性が疑わしいと感じられることが重要ですね。
>肺結節の取り扱い方を確認しないと、いかにもじゃないやつの対処は忘れてしまいますね。
そうですね。すりガラス影のみの場合は一見悪そうに見えないかもしれませんが、そうでないこともしばしばありますからね。
多量の喫煙歴や肺気腫、間質性肺炎などがベースにある場合は、慎重に所見をひろっています。
今回は比較的、背景の肺野がきれいのでわかりやすいですが、もっと不均一に濃度上昇を伴っている場合など、炎症後変化として見落とされる可能性があるのではと感じました。
アウトプットありがとうございます。
>多量の喫煙歴や肺気腫、間質性肺炎などがベースにある場合は、慎重に所見をひろっています。
おっしゃるとおりですね。その場合は肺癌が発生した場合は速度も速いので注意が必要ですね。
また、一見炎症性変化?と思ってしまうような発育をするので、経時的変化をチェックすることが重要となりますね。
>もっと不均一に濃度上昇を伴っている場合など、炎症後変化として見落とされる可能性があるのではと感じました。
ですね。単発だけ見ると誤診する可能性がありますね。
今回のが良性としましょうとのことだったらどうしようと思いながら、回答しました。さすがに悪そうな感じが満載でした。
アウトプットありがとうございます。
>さすがに悪そうな感じが満載でした。
ですね。悪そうと思えるということが重要です。
とくにthin sliceを見るとより悪そうですね。
今回は国試レベルでもよく言うようなスピキャラだったので分かりやすかったですが、大きさの基準なども覚えておかなければですね。ただ、救急で撮った胸部CTでは6mmギリギリのものは見逃してしまいそうです。
アウトプットありがとうございます。
>救急で撮った胸部CTでは6mmギリギリのものは見逃してしまいそうです。
そうですよね。救急では緊急性の有無がどうしても上位に来ますので、少々のすりガラス影などはスルーされがちですね。
これを後に放射線科医が拾うのか、救急の上級医がチェックの際に拾うのかなどは病院にもよると思います。
ただ、救急でスルーされた肺結節が後々に問題になることもあります。
少し理不尽な感じもしますが・・・。
いつもありがとうございます!
この症例の同時期の胸部X−P画像はありますでしょうか?どのように見えるのか気になりました。
了解です。探してみます。
ありがとうございます!
お手数おかけしてしまい、申し訳ありません!
追加しました!
早速ありがとうございます!
レントゲンでは健診とかで見ても、これは私は引っ掛けることができません。。。汗
先生、いかがでしょうか?(>_<)
(>_<)
CTの冠状断像でだいたいの位置を確認してレントゲンを見てみましたが、正直これは難しいなと思いました。
後で “あのときレントゲンで異常なしって言ったけど、よく見てみるとここに怪しい影あるじゃん” って患者さんに言われる夢を見たことがあってトラウマです(^_^;)
アウトプットありがとうございます。
>正直これは難しいなと思いました。
厳しいですね(^_^;)
あえていうならば右第5前肋骨に重なる索状影がありますね。
>後で “あのときレントゲンで異常なしって言ったけど、よく見てみるとここに怪しい影あるじゃん” って患者さんに言われる夢を見たことがあってトラウマです(^_^;)
それは冗談でなくて、正夢になる可能性は常にありますね・・・・
それくらいレントゲンは難しいですね。少なくとも私にはです。
肺静脈が腫瘤中心部に入り込み、周囲から気管支や動脈が収束するときは肺腺癌を疑う。逆に気管支が腫瘤の中心部に入り込み、辺縁を肺静脈が境するときは炎症性。重要な所見ですねありがとうございます。
また、浸潤性腺癌IAにも多くの亜型があるのですね。
今回も考えがまとまりやすかったです。
アウトプットありがとうございます。
>肺静脈が腫瘤中心部に入り込み、周囲から気管支や動脈が収束するときは肺腺癌を疑う。逆に気管支が腫瘤の中心部に入り込み、辺縁を肺静脈が境するときは炎症性。重要な所見ですねありがとうございます。
そうですね。なかなか判別しにくいケースもありますが。
>今回も考えがまとまりやすかったです。
まとまって良かったです!(^^)
充実性の2cmを超える結節でもレントゲン写真で見えるかどうか、ということは
確かにビビりますね。なんとか引っかけるコツはないのでしょうか。
経過観察の時はCTとともにレントゲン写真も撮るのが普通ですか。
アウトプットありがとうございます。
>経過観察の時はCTとともにレントゲン写真も撮るのが普通ですか。
これは施設や人にもよるかもしれませんが、サイズの小さな場合や、すりガラス結節をフォローしている場合はレントゲンでは見えないため、CTのみのフォローでよいかと考えます。
本日もありがとうございました。
レントゲンで右第2弓の辺縁が不明瞭で、これが俗に言うシルエットサイン陽性か…!と思ってCTをみると場所が全然違っていて、あれ?となりました。特にレントゲンは難しいです。。
アウトプットありがとうございます。
レントゲン難しいですね(^_^;)
特にjpg化しているため、現場の環境より、より見えにくいですね。申し訳ありません。
カリーナの背側にある空洞はブラでいいのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
そうですね。かなり左側に突出していますがブラでよさそうです。