
CTの画像は「撮ったまま」ではなく、集めたデータから計算で作り直したもの(再構成)です。研修医のハジメくん、技師のマルオさんと一緒に、スライス厚・MPR・再構成関数が画像のどこを変えるのかを整理します。
先に結論
- CTの再構成とは、撮ったデータから計算で画像を作ること。スライス厚は画像1枚の厚さ、MPRは向きを変えて作った断面、再構成関数は画像のなめらかさ・くっきりさを決める計算の種類。
- 薄い画像は小さいものまで見えるがざらつく。厚い画像はなめらかだが、小さいものが薄まってぼやける。
- 薄いデータが残っていれば、冠状断・矢状断・斜めの断面は撮り直さずに作れる。肺や骨はシャープな関数、おなかや脳はやわらかい関数で作ることが多い。
目的から読む: 再構成とは / スライス厚とは / 薄い画像と厚い画像の違い / MPRとは / 再構成関数とは / 使い分け
CTの再構成とは? 冠状断は撮り直さなくても作れる
CTは体のまわりからX線を当てて集めたデータを、コンピュータで計算して画像にしています。この「データから画像を作る計算」が再構成です。同じデータから、厚さ・向き・なめらかさの違う画像をあとから作れます。
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)
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ごろ〜(指導医)
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マルオ(技師)
ハジメ(研修医)
スライス厚とは? 画像1枚の厚さのこと
スライス厚とは、CT画像1枚が体のどれだけの厚さをまとめて表しているかです。いまのCTは、撮影で集めたデータ(生データ)から、すき間のない薄い横断画像を計算で作れます。5mmなどの厚い画像は、生データから直接その厚さで作るほか、薄い画像を何枚分かまとめて作ることもできます。
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)5mmの画像は、その薄い切れを何枚か重ねて1枚にしたもの、と考えるとわかりやすいです。あいだが抜けているわけではありません。

薄いスライスと厚いスライスの違い ざらつきと小さいもの
薄い画像は小さいものまで見えますが、ざらつき(ノイズ)が多くなります。厚い画像はたくさんのデータを平均するのでなめらかですが、小さいものはまわりと混ざって薄まり、ぼやけます(Goldman 2007)。どちらが良い悪いではなく、目的で使い分けます。
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)- 1mmの画像はざらざらして、肝臓の中のわずかな濃さの差は、厚い画像のほうが見やすいことがあります。
- 逆に、細い血管や小さな結節は、厚い画像では薄まって見えにくくなります。
この「薄まる」しくみは#06 部分容積効果で、図と合わせて見られます。

MPRとは? データのブロックを好きな向きで切る
MPR(多断面再構成)とは、薄い横断のデータを積み重ねたブロックから、冠状断・矢状断・斜めの断面を作り直す方法です。撮り直しはいりません。もとのデータが薄いほど、どの向きでもきれいに作れます(Dalrymple 2005)。
ごろ〜(指導医)横断・冠状断・矢状断の向きのおさらいは、#02 横断・冠状断・矢状断で見られます。

マルオ(技師)
ハジメ(研修医)
マルオ(技師)
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)データの1つ1つの小さな箱が、縦・横・高さでほぼ同じ大きさ(等方性ボクセル)に近いほど、どの向きで切ってもなめらかになります。だから、薄いデータを残しておくことが大事なんです。残しておく期間や形は施設で決まっているので、必要なら早めに技師さんに相談しましょう。

MPRのほかに、明るいものだけを重ねて血管を追うMIPや、立体に見せるVRなどの作り方もあります。それぞれの使い分けはMPR・MIP・MinIP・VRとはで、血管・気道・骨の例と合わせて見られます。
再構成関数とは? なめらかさとくっきりさを選ぶ計算
再構成関数(カーネル、フィルタ)とは、データから画像を作るときに使う計算の種類です。やわらかい関数はざらつきが少なく、臓器のわずかな濃さの差が見やすい画像になります。シャープな関数は輪郭がくっきりしますが、ざらつきも強くなります(Goldman 2007)。
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)- ウィンドウは、できあがった画像のCT値に白黒をどう割り当てるかです。
- 再構成関数は、その手前の画像そのものの作り方です。
骨のふちをくっきりさせたいならシャープな関数、おなかの臓器の濃さの差を見たいならやわらかい関数、と「何を見分けたいか」で選びます。ウィンドウのしくみは#01 CT値とウィンドウで見られます。

マルオ(技師)厚さや向きは、送った薄い画像からでも作り直せます。でも再構成関数を変えるには、撮影したときの生データ(raw data)から計算し直す必要があります。
マルオ(技師)
ざらつきを減らす別の計算として、逐次近似再構成(IR)もあります。しくみと画像の質感の変わり方は逐次近似再構成(IR)とはで整理しています。
スライス厚と再構成関数の使い分け 送られてくる画像の組み合わせ
多くの施設では、全体をざっと見る厚い画像と、細かいところやMPR用の薄い画像を分けて送ります。体の長さ40cmを撮ると、5mmなら80枚、1mmなら400枚になります(計算)。肺や骨はシャープな関数、おなかや脳はやわらかい関数で作ることが多く、同じ撮影から関数の違うシリーズが並ぶこともあります。
| 見たいもの | 厚さの目安 | 関数の目安 |
|---|---|---|
| 全体をざっと見る・臓器の濃さの差 | 厚め(5mm前後) | やわらかい |
| 小さな結節・細い血管・MPRを作る | 薄い(1mm前後) | 目的による |
| 肺の細かい構造・骨のふち | 薄い | シャープ |
厚さ・関数の決め方は施設や装置で異なります。上の表は代表的な目安です。
ハジメ(研修医)
ごろ〜(指導医)どのシリーズが何の厚さ・関数なのかは、シリーズ名や画像の情報欄で確かめておきましょう。
マルオ(技師)
ハジメ(研修医)
CTの厚さ・再構成・ウィンドウ・造影の時相までを1ページで振り返るならCT検査の基本まとめ、薄いスライスが読影をどう変えたかはマルチスライスCT(MDCT)とスライス厚で読めます。次の#08では、本当はないものが写るアーチファクトを扱います。
よくある勘違い
Q. 冠状断が見たいときは、撮り直しが必要?
薄いデータが残っていれば、撮り直さずに作り直せます(MPR)。まず技師さんに相談します。
Q. スライス厚は薄いほど、いつでも良い?
薄いと小さいものは見えますが、ざらつき(ノイズ)が増え、枚数も多くなります。目的で使い分けます。
Q. 再構成関数とウィンドウは同じもの?
ちがいます。ウィンドウはできた画像の白黒の割り当て、再構成関数は画像そのものの作り方(なめらかさ・くっきりさ)です。関数を変えるには生データからの作り直しが要ります。
今日のまとめ
- CTは撮影で集めた生データから、計算で画像を作っている(再構成)。厚い画像は生データから直接作るほか、薄い画像をまとめて作ることもある。
- 薄い画像は細かいがざらつく、厚い画像はなめらかだが小さいものが薄まる。
- 薄いデータがあれば好きな向きの断面(MPR)を作れる。なめらかさは再構成関数で変わり、変えるには生データが要る。
根拠(もう少し詳しく)
- CTの画質は、コントラスト・空間分解能・ノイズ・アーチファクトで表されます。ノイズと空間分解能はどちらも再構成関数(再構成フィルタ)の影響を強く受け、診断に足る画質を適切な線量で得るには、管電圧・管電流・スライス厚・再構成関数を含めた撮影条件の設計が必要とされます(Goldman 2007)。
- マルチスライスCTでは薄い断面を連続して集められ、縦・横・高さがほぼ同じ大きさのボクセル(等方性ボクセル)に近づくと、MPR・MIP・VRなどの再構成画像が横断像と同じくらいの細かさで作れます(Dalrymple 2005)。
- 画像の枚数は「撮った長さ÷スライス厚」の計算です(例: 400mm÷5mm=80枚、400mm÷1mm=400枚。再構成の間隔を厚さと同じにした場合)。
参考文献
- Goldman LW. Principles of CT: radiation dose and image quality. J Nucl Med Technol. 2007;35(4):213-225. PubMed
- Dalrymple NC, Prasad SR, Freckleton MW, Chintapalli KN. Informatics in radiology (infoRAD): introduction to the language of three-dimensional imaging with multidetector CT. Radiographics. 2005;25(5):1409-1428. PubMed
症例画像は各図の引用元のとおりです。
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