
ゼロからの画像診断 #02
「冠状断で見ると…」と言われて、どの向きの画像か迷ったことはありませんか。研修医のハジメくんと一緒に、3つの断面の名前と見分け方を図で整理します。
先に結論
- 横断(アキシャル)は体の輪切り。体を上と下に分ける。CTの基本の断面。
- 冠状断(コロナル)は体を前と後ろに分ける。正面から見た形になる。
- 矢状断(サジタル)は体を右と左に分ける。横から見た形になる。
体を3つの向きの板で切る
ハジメ(研修医)先生、カンファで「冠状断で見ると」と言われたんですが、冠状断と矢状断がどっちだったか、いつも混ざるんです。
ごろ〜(指導医)大丈夫です。断面の名前は3つだけです。体をどの向きの板で切るかで名前が決まります。まず図を見てください。

ハジメ(研修医)横断は輪切りなのでわかります。冠状断と矢状断は、どっちも縦に切っているので混ざるんですよね。
ごろ〜(指導医)そこで「何と何に分けるか」で覚えます。冠状断は前と後ろ、矢状断は右と左。横断は上と下です。
名前の由来は頭の骨の縫い目
ごろ〜(指導医)名前の由来を知ると忘れにくいですよ。頭の骨には縫い目(縫合)があります。耳のほうから頭のてっぺんを横切る縫い目が冠状縫合、頭のまん中を前から後ろへ走る縫い目が矢状縫合です。

ハジメ(研修医)冠(かんむり)をかぶる線と、矢が飛ぶ向き!これなら覚えられそうです。
ごろ〜(指導医)はい。冠の線に沿って切ると、顔の側と後頭部の側、つまり前と後ろに分かれます。矢の向きに切ると、右と左に分かれます。
同じおなかを3つの向きで切ってみる
ごろ〜(指導医)では同じおなかの模型を、3つの向きで切ってみましょう。まず横断です。

ハジメ(研修医)いつも見ている形です。でも、画面の左に肝臓があるのは、なんでなんですか?
ごろ〜(指導医)横断は足のほうから見上げた向きで表示する決まりなので、患者さんの右が画面の左に来ます。ここは大事なので、次の回でじっくりやりましょう。今日は「左右が入れかわって見える」とだけ覚えておいてください。


ハジメ(研修医)あっ、大動脈が横断だと丸なのに、冠状断と矢状断だと長い管になっています!
ごろ〜(指導医)そこが冠状断と矢状断のいいところです。上下に長いもの(大動脈・背骨・尿管・腸)は、1枚でつながって見えます。横断だと、何枚もめくりながら丸を追いかけることになります。
ごろ〜(指導医)矢状断では、背骨の骨が上下に積み重なっているのもよくわかりますね。前から順に、おなかの中→大動脈→背骨と並んでいます。
撮るのは輪切り、ほかは作り直し
ハジメ(研修医)CTって、冠状断の向きでも撮っているんですか?
マルオ(技師)CTは、寝台に寝た体を輪切りの向きで続けて撮っています!薄い輪切りをたくさん重ねたデータから、冠状断や矢状断を作り直すんです。これをMPR(多断面再構成)と言います。くわしくはまた今度!
ごろ〜(指導医)MRIは、はじめから好きな向きの断面で撮ることもできます。それから、横断を見ていて「いまどの高さ?」とわからなくなったら、冠状断に引いた線で確かめましょう。

ハジメ(研修医)①は肝臓と脾臓、②は腎臓、③は膀胱の高さなんですね。冠状断があると、どこを切ったのか一目でわかります。
ごろ〜(指導医)最後に、それぞれの断面が得意なものをまとめておきます。

ごろ〜(指導医)基本は横断で全体を見ることです。そのうえで、上下のつながりを冠状断、前後の並びとまん中のものを矢状断で確かめます。1つの断面だけで決めないのがコツですよ。
マルオ(技師)検査によっては冠状断や矢状断を作っておくのが決まりになっています。見当たらないときは、技師に声をかけてください!
よくある勘違い
Q. 正面から見た形になるのは、冠状断と矢状断のどっち?
冠状断です。体を前と後ろに分けるので、切り口は正面から見た形になります。矢状断は右と左に分けるので、横から見た形です。
Q. 「横断」と「水平断」は違うもの?
同じ断面を指して使われます。英語ではaxial(アキシャル)と呼ばれることが多く、レポートでも「横断像」「axial像」と書かれます。
Q. 冠状断があれば、横断は見なくていい?
いいえ。断面ごとに見えやすいものが違います。横断で全体を見て、ほかの断面で確かめる、という組み合わせで使います。
今日のまとめ
- 横断は上と下、冠状断は前と後ろ、矢状断は右と左に分ける断面。
- 冠状断は「冠をかぶる線」、矢状断は「矢が前から後ろへ抜ける向き」と覚える。
- 上下に長いものは冠状断・矢状断でつながって見える。基本は横断で全体を見る。
図はすべてコードで描いた模式図で、実際の画像ではありません。
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