
先に結論:エコーで胆管拡張を確認し、MRCPとCTで「閉塞の高さ」と「原因」を絞る。治療が必要なときにERCPへ
| 段階 | 検査 | わかること |
|---|---|---|
| ①最初 | 病歴・診察・採血、腹部エコー | 胆道がつまる型の黄疸か。胆管や胆嚢の拡張があるか |
| ②高さと原因 | MRCP(MRIで胆管・膵管を描く) | 胆管の全体像、閉塞の高さ、結石や狭窄の形 |
| ②高さと原因 | 造影CT | 腫瘤、膵頭部、リンパ節、血管との関係、肝内の病変 |
| ③必要なとき | 超音波内視鏡(EUS)、ERCP | 小さな結石や乳頭部の評価。ERCPは治療(ドレナージ・結石除去)の検査 |
閉塞性黄疸とは
黄疸は、血液中のビリルビンが増えて皮膚や白目が黄色く見える状態です。原因は肝臓の病気、薬の影響、胆汁の流れの途中がつまる「閉塞性」などに分かれます。ACRのAppropriateness Criteria(2019年)は、黄疸の原因が多岐にわたることから、まず病歴・診察・血液検査で、胆道がつまる機械的な黄疸か、そうでない黄疸かに分類してから画像を選ぶ流れを示しています。米国で多い原因として、肝炎、アルコール性肝疾患、胆石や腫瘍による総胆管の閉塞、薬や薬草による反応が挙げられています(Hindman 2019)。
白っぽい便や濃い茶色の尿は、胆汁が腸に流れていないときに見られる変化です。黄疸に発熱や強い腹痛、意識がぼんやりするなどが加わるときは、胆管炎などで急いで治療が必要なことがあるため、早めに医療機関を受診してください。
画像検査の役割は、①胆管が拡張しているか(胆道の閉塞があるか)、②どの高さでつまっているか、③何がつまっているか、の3つを順に答えることです。使う検査は、腹部エコー、CT、MRCP、ERCP、超音波内視鏡(EUS)です(Hindman 2019)。
順番① まずエコー
最初の画像検査は腹部エコーです。放射線を使わず、ベッドサイドでできます。見るのは次の点です。
- 肝内胆管が拡張していないか(門脈と並走する細い管が太く見える)
- 総胆管の太さ(後述の目安と年齢を考えて判断)
- 胆嚢が腫れていないか、胆石や胆泥はないか
- 膵頭部や肝臓に腫瘤がないか(ただしガスで見えにくいことがある)
閉塞性黄疸50例の前向き研究でも、エコーは胆管拡張の有無を確認して、MRCPに進む人を選ぶ検査として有用とされました(Singh 2014)。エコーの基本的な見方はエコー検査の基礎にまとめています。エコーで胆管が拡張していなければ、閉塞以外の黄疸(肝臓の病気など)を考えます。
順番② MRCPとCT:どちらをいつ使うか
胆管の拡張が確認できたら、閉塞の高さと原因を調べます。MRCPは造影剤を使わずに胆管と膵管を立体的に描ける検査です(詳しくはMRCP検査とは)。CTは腫瘤や周囲との関係、肝臓や血管、リンパ節の評価に強みがあります。
| MRCP | 造影CT | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 胆管・膵管の全体像、狭窄の形、胆石(結石)の描出 | 腫瘤の広がり、血管との関係、リンパ節、肝内の病変 |
| 苦手なこと | 金属などの影響、動きによる画質低下、ペースメーカー等の条件 | 小さな結石(石の成分によっては見えない)、胆管の細い狭窄の形 |
| 原因が結石っぽいとき | まず選びやすい | 結石以外の原因も同時に見る |
| 原因が腫瘍っぽいとき | 胆管の狭窄の形を見る | 広がりと切除の可否を評価する中心の検査 |
閉塞性黄疸50例で超音波・CT・MRCPを比べた研究では、MRCPの診断の正確さは良性・悪性ともに98%でした。CTは良性82.86%・悪性91.43%、超音波は良性・悪性とも88%で、良性の原因ではCTの感度が54.55%と低い結果でした(Singh 2014)。小規模な研究ですが、結石などの良性の原因ではCTが見落としやすく、MRCPのほうが描出しやすいことを示しています。一方、遠位胆管の狭窄168例では、MRCPだけより造影CTを組み合わせると良性・悪性の診断の正確さが上がりました(Wang 2021)。つまり、MRCPで胆管の形を見て、CTで腫瘤と周囲を見る、組み合わせが基本になります。
総胆管結石そのものの画像の見え方は総胆管結石の画像診断に詳しくあります。
順番③ EUSとERCP
EUS(超音波内視鏡)は、胃や十二指腸から胆管・膵臓を近くで見る検査です。胆道閉塞のメタ解析では、EUSは閉塞の有無に感度88%・特異度90%、総胆管結石には感度89%・特異度94%で、腫瘍には感度78%・特異度84%でした(Garrow 2007)。総胆管結石を調べる直接比較では、EUSの感度0.97はMRCPの0.87より高く、特異度は0.90と0.92で同程度でした(Meeralam 2017)。MRCPやCTで結石がはっきりしないときに、EUSが使われます。
ERCPは、内視鏡で乳頭から胆管に管を入れ、造影しながら結石を取ったり、ステントで胆汁を流したりする治療を伴う検査です。副作用は6〜15%と報告されており(Buxbaum 2019)、診断だけが目的なら、体への負担が小さいMRCPやEUSで調べてから、治療が必要なときにERCPへ進む流れが一般的です。
胆管拡張を見たときの考え方:どこでつまっているか
胆管拡張を見つけたら、次の順に整理します。
①拡張の範囲で閉塞の高さを決める
| 拡張のようす | 閉塞の高さ | 考える原因 |
|---|---|---|
| 肝内胆管だけ(左右どちらかのみのことも) | 肝門部や肝内 | 肝門部胆管癌、胆管結石、炎症性の狭窄、肝臓の腫瘍 |
| 肝内胆管+総胆管+胆嚢の腫大 | 総胆管の下部(膵内)や乳頭部 | 膵頭部癌、乳頭部癌、総胆管結石、傍乳頭憩室 |
| 胆管と膵管の両方が拡張(double duct sign) | 膵頭部や乳頭部 | 膵癌、乳頭部癌、結石、慢性膵炎の狭窄 |
閉塞のところから上流が拡張するので、「どこまで拡張しているか」が「どこでつまっているか」を示します。胆嚢が腫れていれば、閉塞は胆嚢管の合流より下流にあると考えます。ただし、胆嚢を摘出した人や、胆嚢炎などで縮んだ胆嚢では手がかりになりません。
症例 80歳代男性 膵頭部腫瘤によるdouble duct sign

引用:Radiopaedia(Double duct sign of pancreatic head mass)
症例ページでは、膵頭部に3.2×3.4×2.6cmの腫瘤があり、肝内外の胆管が著明に拡張し、総胆管は最大18mm、胆嚢も腫大、膵管は最大6mmに拡張していると記載されています。この断面では、肝門部付近で拡張した胆管が見えます。胆管と膵管がともに拡張する所見がdouble duct signです。
②原因を絞る:結石か、腫瘍か、狭窄か
原因は大きく、結石(胆管内の充満欠損)、腫瘍(狭窄部に腫瘤や壁の肥厚)、炎症や術後の狭窄に分けて考えます。遠位胆管の狭窄168例の検討では、狭窄の長さ、狭窄部の角度、double duct sign、動脈相での低吸収が悪性の危険因子で、これらを組み合わせたスコアで悪性を感度73.5%・特異度85.9%で検出できました(Wang 2021)。逆に、良性の病気が悪性に似ることもあり、画像だけで決めきれない場面があります(Sundaram 2023)。
症例 70歳代男性 総胆管結石による胆管拡張

引用:Radiopaedia(Choledocholithiasis and biliary obstruction)
症例ページでは、遠位の総胆管に嵌頓した大きな結石があり、すべてのMRI撮像で低信号を示し、その上流の総胆管と肝内胆管が拡張していると記載されています。この断面では、拡張した肝内胆管と総胆管が高信号に見えます。
③総胆管の太さの目安は年齢で変わる
総胆管の太さは年齢とともに太くなります。健康な938人のMRCPでは、総胆管の上限(95パーセンタイル)は65歳未満で8mm、65歳以上で11mmでした。従来の上限を超える人が10.9%にいて、年齢を考えないと不要な精密検査につながるとされています(Beyer 2023)。ただし、太さだけで病気かどうかは決まらず、黄疸や採血の異常、症状と合わせて判断します。胆嚢を摘出したあとの拡張の考え方は胆嚢摘出後の胆管拡張も参考にしてください。傍乳頭憩室で黄疸が起きるLemmel症候群はレンメル症候群とはにあります。
画像診断のチェックリスト
- 肝内胆管・総胆管・胆嚢・膵管の拡張を、4か所ともそろえて確認したか
- 拡張の下流端(つまっている高さ)をMRCPとCTの冠状断で追ったか
- つまりの先端に結石、腫瘤、狭窄のどれがあるか。腫瘤があれば膵頭部・乳頭部・胆管のどこか
- 肝臓の腫瘍、肝門部のリンパ節、血管(門脈・動脈)への広がりを評価したか
- 胆嚢摘出後・術後・傍乳頭憩室・先天性の胆管拡張など、拡張が病的でない背景はないか
よくある疑問(Q&A)
Q. 黄疸でまず受ける画像検査は何ですか?
A. 腹部エコーが最初に行われるのが一般的です。胆管が拡張していれば、MRCPやCTで閉塞の高さと原因を調べます(Hindman 2019、Singh 2014)。症状に気づいたら、早めに医療機関を受診してください。
Q. MRCPとCTはどちらが優れていますか?
A. 目的が違います。胆管と結石の描出はMRCPが得意で、腫瘤の広がりや血管・リンパ節との関係はCTが得意です。閉塞性黄疸50例の研究では、MRCPの診断の正確さは良性・悪性とも98%でした(Singh 2014)。実際は組み合わせて評価します(Wang 2021)。
Q. 総胆管が10mmあると異常ですか?
A. 年齢で変わります。健康な人のMRCP研究では、総胆管の上限は65歳未満で8mm、65歳以上で11mmでした(Beyer 2023)。胆嚢摘出後などでも太くなることがあるため、症状や採血と合わせて判断します。
Q. ERCPは診断のために行いますか?
A. ERCPは結石の除去やステントなど治療を伴う検査で、副作用は6〜15%と報告されています(Buxbaum 2019)。診断だけが目的なら、MRCPやEUSが先に選ばれることが多いです。
あわせて読みたい:胃粘膜下腫瘍と言われたら
参考文献
- Hindman NM, Arif-Tiwari H, Kamel IR, et al. ACR Appropriateness Criteria Jaundice. J Am Coll Radiol. 2019;16(5S):S126-S140. PubMed
- Singh A, Mann HS, Thukral CL, et al. Diagnostic Accuracy of MRCP as Compared to Ultrasound/CT in Patients with Obstructive Jaundice. J Clin Diagn Res. 2014;8(3):103-7. PubMed
- Beyer G, Kasprowicz F, Hannemann A, et al. Definition of age-dependent reference values for the diameter of the common bile duct and pancreatic duct on MRCP: a population-based, cross-sectional cohort study. Gut. 2023;72(9):1738-1744. PubMed
- Garrow D, Miller S, Sinha D, et al. Endoscopic ultrasound: a meta-analysis of test performance in suspected biliary obstruction. Clin Gastroenterol Hepatol. 2007;5(5):616-23. PubMed
- Meeralam Y, Al-Shammari K, Yaghoobi M. Diagnostic accuracy of EUS compared with MRCP in detecting choledocholithiasis: a meta-analysis of diagnostic test accuracy in head-to-head studies. Gastrointest Endosc. 2017;86(6):986-993. PubMed
- Wang GX, Ge XD, Zhang D, et al. MRCP Combined With CT Promotes the Differentiation of Benign and Malignant Distal Bile Duct Strictures. Front Oncol. 2021;11:683869. PubMed
- Sundaram KM, Morgan MA, Itani M, et al. Imaging of benign biliary pathologies. Abdom Radiol (NY). 2023;48(1):106-126. PubMed
- Buxbaum JL, Abbas Fehmi SM, Sultan S, et al. ASGE guideline on the role of endoscopy in the evaluation and management of choledocholithiasis. Gastrointest Endosc. 2019;89(6):1075-1105.e15. PubMed
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