横紋筋融解症 CK・腎障害とCT・MRIの筋肉所見

筋肉痛と尿の色が濃いのが気になって受診したら、「横紋筋融解症かもしれない、CTで筋肉も見ましょう」と言われました。どんな病気ですか?
横紋筋融解症は、筋肉が壊れて中身が血液に流れ出る状態です。診断の中心は血液検査ですが、CTやMRIでは壊れた筋肉の場所や広がりがわかります。腎臓への影響も含めて整理します。

先に結論:横紋筋融解症は筋肉が壊れて中身が血液に流れ出る状態。診断は血液検査(CK)、画像は「どの筋肉が・どれだけ・壊死まで進んでいるか」を見る

項目 ポイント
何か 骨格筋がこわれ、ミオグロビンなどの筋肉の中身が血液中に出る状態
診断の目安 血清CK(クレアチンキナーゼ)が1000 U/L超、または基準値上限の5倍以上
主な原因 外傷、長時間動けない状態(不動)、敗血症、薬剤、アルコール など
心配な合併症 急性腎障害、電解質異常、コンパートメント症候群、DIC
画像 CTで筋肉の低吸収、MRIで筋肉の浮腫(T2強調像・STIRで高信号)、壊死部の辺縁造影(stipple sign)

横紋筋融解症とは

横紋筋融解症(rhabdomyolysis)は、骨格筋の崩壊・壊死により、筋細胞の中身が血液中に放出される状態です(Cabral 2020)。症状がなく血液検査で筋酵素が上がっているだけの軽いものから、脱水、代謝・電解質の異常、急性腎障害(AKI)を起こす重いものまで幅があります(Cabral 2020)。

原因

原因は多彩で、外傷、不動(長時間同じ姿勢で動けない)、敗血症、薬剤、アルコールが頻度の高いものとして挙げられます(Baeza-Trinidad 2022)。成人と小児では原因の内訳が異なります(Chavez 2016)。

症状と診断

典型的には筋肉の痛み、脱力、暗い色(コーラ色)の尿がみられます(Baeza-Trinidad 2022)。ただし、この3つがそろうのは約10%にすぎません(Rixey 2024)。尿のミオグロビンは検査の時点では陰性のことも多いため、疑ったら血清CKを測ることが勧められています(Gupta 2021)。

診断は、血清CKが1000 U/Lを超える、または基準値上限の5倍以上で確定します(Cabral 2020)。多くの研究も「基準値上限の5倍以上」を定義に用いています(Chavez 2016)。あわせて血清ミオグロビン、尿検査、クレアチニン・電解質を調べます(Cabral 2020)。

腎障害と重症度

腎障害は最も重い合併症で(Baeza-Trinidad 2022)、筋肉から出た物質によって急性尿細管壊死が起こります(Gupta 2021)。死亡率は10%から、重い急性腎障害を伴う場合は50%に達すると報告されています(Gupta 2021)。入院時に計算するMcMahonスコアが6点以上だと、透析などの腎代替療法が必要な急性腎障害を予測するとされます(Cabral 2020)。

治療の中心は、原因への対処と早期からの十分な輸液です。マンニトールや重炭酸の投与に確立した利点はないとされています(Cabral 2020)。腎機能が落ちているときの造影CTの考え方は 造影CTと腎機能の記事 を参照してください。

画像所見(CT・MRI・エコー)

横紋筋融解症は検査値で診断するのが基本ですが、画像は障害された筋肉の範囲、筋壊死や筋萎縮などの合併症、外傷などほかの原因や併存する損傷の評価に役立ちます。MRI・CT・エコー・FDG-PET/CTが使われます(Rixey 2024)。単純X線、エコー、CT、MRI、骨シンチグラフィのいずれにも診断を支える所見が出ることがあります(Long 2017)。

MRI・CTの所見は、次の2つのタイプに分けて報告されています(Lu 2007)。

タイプ1 タイプ2
T1強調像 均一に等〜高信号 均一または不均一に等〜高信号
T2強調像・STIR 均一な高信号(筋肉の浮腫) 不均一な高信号
CT — 不均一な低吸収
造影 均一に造影される 辺縁の造影(rim enhancement)と、点状に見える造影(stipple sign)
意味 筋肉の浮腫が主体 筋壊死(myonecrosis)の部分を示す

※報告は10例の検討で、タイプ1が2例、タイプ2が8例でした(Lu 2007)。

  • CT:不均一に低吸収な筋肉として見えます。造影CTでは壊死部の辺縁造影がみられることがあります(Lu 2007)。
  • MRI:T2強調像やSTIRで筋肉の浮腫が高信号に見え、範囲の評価に優れます(Lu 2007)。
  • コンパートメント症候群:筋肉の腫れで筋区画の圧が上がると、手足や命にかかわる合併症になります(Rixey 2024)。

筋肉の解剖は 大腿の筋肉のCT・MRI解剖の記事 や 骨盤・大腿の筋肉のCT解剖の記事、外傷後に筋肉が骨のように硬くなる病気は 骨化性筋炎の記事 で解説しています。

症例 70歳代男性 横紋筋融解症(筋壊死を伴う)

横紋筋融解症 MRI 造影後脂肪抑制T1強調像 冠状断像
引用:Radiopaedia(Rhabdomyolysis with myonecrosis)

倒れているところを発見された方のMRI(造影後の脂肪抑制T1強調像、冠状断)です。右の骨盤から殿部・大腿の筋肉が腫れ、内部に造影されない部分があり、その辺縁が造影されています。筋壊死を伴う横紋筋融解症と考えられた症例です。

症例 30歳代男性 横紋筋融解症

横紋筋融解症 造影CT 冠状断像 右殿筋の低吸収と腫大
引用:Radiopaedia(Rhabdomyolysis)

薬物使用が疑われ、意識のない状態で見つかった方の造影CT(冠状断)です。右の殿部の筋肉が左に比べて腫れ、吸収値が低くなっています。CKは30,000を超え、透析が必要になった症例です。

次にすること

  • 強い筋肉の痛みや脱力、尿の色が濃い(茶色・コーラ色)などの症状があれば、早めに医療機関(救急外来・内科)を受診してください。
  • 薬を飲んでいて筋肉痛が出た場合も、自己判断で中止・継続せず、処方した医師に相談してください。
  • 検査や治療の方針は主治医に相談してください。

よくある疑問(Q&A)

Q. CTやMRIで横紋筋融解症と診断できる?
A. 診断の基本は血液のCKです(Cabral 2020)。画像は範囲・壊死・合併症・ほかの原因の評価に使われます(Rixey 2024)。

Q. 尿の色が普通なら大丈夫?
A. 典型的な症状がそろうのは約10%で(Rixey 2024)、濃い尿が見られないことも多いです(Gupta 2021)。疑わしい場合はCKを測ります。

Q. 画像の「stipple sign」とは?
A. 造影MRI・CTで、壊死した筋肉の部分に点状・辺縁状の造影が見える所見で、筋壊死の範囲を示します(Lu 2007)。

参考文献

  1. Cabral BMI, Edding SN, Portocarrero JP, et al. Rhabdomyolysis. Dis Mon. 2020;66(8):101015. PubMed
  2. Chavez LO, Leon M, Einav S, et al. Beyond muscle destruction: a systematic review of rhabdomyolysis for clinical practice. Crit Care. 2016;20(1):135. PubMed
  3. Gupta A, Thorson P, Penmatsa KR, et al. Rhabdomyolysis: Revisited. Ulster Med J. 2021;90(2):61-69. PubMed
  4. Baeza-Trinidad R. Rhabdomyolysis: A syndrome to be considered. Med Clin (Barc). 2022;158(6):277-283. PubMed
  5. Rixey AB, Glazebrook KN, Powell GM, et al. Rhabdomyolysis: a review of imaging features across modalities. Skeletal Radiol. 2024;53(1):19-27. PubMed
  6. Lu CH, Tsang YM, Yu CW, et al. Rhabdomyolysis: magnetic resonance imaging and computed tomography findings. J Comput Assist Tomogr. 2007;31(3):368-74. PubMed
  7. Long S, Garrett J, Bhargava P, et al. Multimodality imaging findings in rhabdomyolysis and a brief review of differential diagnoses. Emerg Radiol. 2017;24(4):387-392. PubMed

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