骨化性筋炎(myositis ossificans)
- 非炎症性軟部腫瘤であり、外傷に伴うことが多い。
- 筋肉内もしくは軟部組織内に異所性の骨化を伴う腫瘤が起こる。
- 症状は、腫瘤触知、疼痛、腫脹。
- 外傷後に起こるものと、外傷の既往のない非外傷性に分けられる。
- 非外傷では、麻痺、熱傷、テタニー、筋肉血腫などに続発する。
- 若年者に多く、肘、大腿部、臀部などに起こる。
- 対麻痺の患者は特に股関節や膝周辺に多い。
- 急性期には安静にして、症状が落ち着いてから手術する。
画像所見
CT、レントゲン
- 発症早期:軟部組織の腫脹、時に骨膜反応。
- 数週間後:斑状の淡い石灰化。(この時期は悪性腫瘍と鑑別が困難になることが多い)
- 1-2ヶ月後:レース状の辺縁明瞭な骨化。骨化は辺縁ほど強い。(ゾーン現象:zone phenomenon) ※慢性期に見られる現象。中心部は未熟な紡錘形細胞や類骨変性からなり、辺縁は成熟した骨梁からなる。
- 近接する骨とは連続性を持たない事が多いが、持つこともある。
- 骨シンチで集積が見られる。
- MRIでは急性期には病変部の浮腫性変化を認め、慢性期になると成熟した骨化となり内部の脂肪髄によりT1WI、T2WIともに高信号になる。
軟部組織の骨化をきたしうる疾患
- 神経麻痺
- 外傷、熱傷
- 静脈うっ帯
- 骨肉腫
- 骨化性筋炎
- 進行性骨化性筋炎
- 術後瘢痕
症例 60歳代男性 脊損後。
左の縫工筋に沿った石灰化あり。
脊損前はなく、脊損後9ヶ月目のフォローCTで指摘。
骨化性筋炎を疑う所見です。
症例 50歳代男性 1週間続く左股関節の痛み 片麻痺の既往
引用:radiopedia
左股関節周囲の軟部組織に広範な石灰化物質を認めています。これらは、上方は腸骨の下部近くまで、下方は小転子の下方付近まで広がっています。骨化性筋炎(MO)を疑う所見です。