サーベル鞘気管/サーベルシース様気管/刀鞘型気管(saber sheath trachea)
- 生理的に気管が狭くなる変形。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、慢性気管支炎などに伴う胸腔内圧の上昇により、気管軟骨に障害が生じるためと考えられている。
- 初期には胸郭入口部で、晩期には胸郭内気管全体に広がる。
- 胸腔内気管のみが侵されるのが特徴で、胸郭外気管や気管支は正常である。
- 軟骨の石灰化を高率に伴うが気管支壁肥厚は伴わない。
- 鑑別:再発性多発軟骨炎、アミロイドーシス、多発血管炎性肉芽腫症、気管支結核。腫瘍による一部気管の狭窄、圧迫。
サーベル鞘気管/サーベルシース様気管/刀鞘型気管(saber sheath trachea)の画像所見
- 胸部XPにて気管の左右径/前後径<0.66となる(肺気腫患者で特異度95%、感度<10%)。
- 胸部CTで気管が縦長となり、側面が内側に凸となる。気管軟骨の石灰化を認める。
症例 70歳代男性 息切れ
引用:radiopedia
頸部気管は正常です(変形は認めません)が、縦隔内気管にて縦長の変形および右側で内側に凸の変形を認めています。
ベースに肺気腫があり、サーベル鞘気管/サーベルシース様気管/刀鞘型気管(saber sheath trachea)を疑う所見です。
参考文献:
- 新 胸部画像診断の勘ドコロ P260
- 画像診断 Vol.35 No.3 2015 P332
- レジデントのための やさしイイ胸部画像教室第2版 P47
- 胸部画像診断のここが鑑別のポイント P232-3