野球肘 baseball elbow
- 10~13歳頃までに見られる繰り返す投球動作により生じる肘関節障害の総称。
- 発生メカニズムは投球動作時の外反ストレスと過伸展による。
- 投球時の疼痛をほぼ全例に認める。
- 病期が進めば伸展痛、安静時の疼痛など運動時以外でも症状が出現する。
- 病型は内側型、外側型、後方型の3つからなる。
内側型
- 投球動作による肘関節の外反ストレスと伸展ストレスによる。
- 内側上顆裂離骨折(小学高学年から中学生に多い)、内側上顆炎、内側側副靭帯損傷など
- 骨端線閉鎖前の成長期に生じた、内側型野球肘のことをリトルリーグ肘(内側骨端障害)(little league’s elbow)という。
リトルリーグ肘(little league’s elbow)
- 骨端線が残存した成長期は筋腱の牽引力が骨強度より強いため、投球動作などでの牽引性ストレスがかかると屈筋群とMCL付着部の内側上顆に異常を来す。
- レントゲン所見:内側上顆の骨端核の変形・分節化、骨端線離開・癒合遅延
- 内側上顆炎、屈筋腱の損傷、MCL損傷を合併することがある。
症例 12歳男児 ピッチャー
レントゲンでは内側顆に骨片(骨折、骨端核の変形・分節化、骨端線離開)を認めており、MRIでは総屈筋腱および内側側副靱帯に異常な高信号を認めている。リトルリーグ肘による変化を疑う所見です。
外側型
後方型
- 肘頭が肘頭窩に衝突することによる。
- 肘頭窩の遊離体、肘頭分節化など
参考文献:
- イラストでわかる 整形外科診療 P62-63
- 臨床画像 Vol.34 No.5 2018 P530-531
- 画像診断 Vol.39 No.6 2019 P556