上腕骨外側上顆炎(lateral epicondylitis)とは
- 外側上顆に付着する伸筋群・回外筋の使い過ぎにより腱鞘・断裂・骨膜の炎症。
- 特に短橈側手根伸筋腱(ECRB:extensor carpi ardialis bravis)の損傷がその原因と考えられている。
- ラケットスポーツなどによる伸筋群の強い収縮で、テニス肘(tennis elbow)とも呼ばれる。テニス初心者はバックハンドの動作で片手で手首を伸展させることが多いためと言われている。両手バックハンドでは頻度が少ない。
- 40~60歳代が好発年齢。
- 外側上顆炎のテニスの頻度は10%程度で、重たい荷物を運んだり、キーボードを頻繁に使う職業でも発症する。
- 症状は肘関節や外側上顆周囲の疼痛。肘や手首の伸展で症状が増悪する。
- 経過や身体所見から診断は比較的容易だが、MRI画像が診断に非常に有用。
- ちなみに、テニスのトップスピンのフォアハンドを多用したり、ゴルフで無理なスイングを続けたり、ボールを打ち損ねて地面を打つと前腕屈筋群に負荷が加わり内側上顆炎が起こる。こちらは別名ゴルフ肘とも呼ばれる。
上腕骨外側上顆炎のMRI画像所見
- 脂肪抑制T2WIやSTIRの冠状断像が有用で、伸筋群の腱の外側上顆付着部での信号上昇を認める。
- 腱は正常でも周囲の液貯留が見られることがある。
- 腱付着部での外側上顆で骨髄浮腫を認めることもある。
- 慢性化すると腱の肥厚、骨増殖、石灰化を認めることもある。
症例 40歳代男性 左肘外側部痛
短橈側手根伸筋腱(ECRB)の腱の付着部にて異常な高信号を認める。また関節液貯留の増大を認める。
外側上顆炎を疑う所見です。
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参考文献:
- 画像診断 Vol.39 No.6 2019 P558-559
- 画像診断 Vol.41 No.1 2021 P98-99
- 画像診断 Vol.35 No.11 臨時増刊号 2015 P33-35
- イラスト解剖学 第10版 P132