離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans(OCD) )
- 離断性骨軟骨炎とは関節軟骨の一部分が軟骨下骨とともに母床より剥離・分離するもの。軟骨下に生じる骨壊死(骨軟骨損傷)。
- 肘関節や膝関節、股関節などが好発部位。
- 発症メカニズムとしては肘の場合、外反ストレスにより、上腕骨小頭が橈骨頭との衝突を繰り返すことで生じる。
- 膝の場合大腿骨内側顆の下面顆間窩側(約85%)に好発し、外側顆に発生することは稀。
- 局所の血流低下、遺伝的素因なども複合的に関与していると言われる。
- 無腐性骨壊死を生じた骨軟骨片が関節面から遊離して関節遊離体となると、関節炎を引き起こしたり、時には関節面に嵌頓して疼痛や関節運動痛の原因となる、。
- 肘の場合、小児期(10〜17歳)の野球選手(中でもピッチャー)に好発し、野球肘(外側型)の一つ。女児では体操選手に多い。
- 安定した病変では保存的治療で治癒することがあるが、3ヶ月以内に画像で改善を認めない場合は手術も考慮される。
- 手術方法は病変の大きさやICRS(International Cartilage Repair Society)分類の程度によって決定される。
- 骨釘を用いた離断性骨軟骨片固定術や自家骨軟骨柱移植術などが行われる。
離断性骨軟骨炎の画像所見
- 安定した病変か不安定な病変かにより治療方針が異なるため画像診断による評価が重要。
- 単純写真では、軟骨下骨の透亮像・骨硬化像、嚢胞性変化、病変の離断による骨欠損(関節内遊離体)として認める。
- 1,透亮型→2,分離型→3,遊離型の3型に分類され、進行する。
- MRIではT1WI,T2WI低信号の異常信号を呈し、関節面の不整、欠損、骨軟骨遊離体を認める。
- T2WIで病変と母床間に高信号(関節液侵入・肉芽組織を反映)を認めると離断しやすい不安定病変を示唆し、T2-hyperintense rim(fluidlike)と言われる。
- MRIで不安定性を示唆する所見として、病変と母床の間のT2WI高信号(関節液と同程度)、母床側の骨嚢胞形成(複数、5mm以上)、関節軟骨の亀裂・途絶、骨軟骨の欠損・遊離が報告されている。
https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/rg.2018180044より引用改変
症例 10歳代男性 右肘痛、可動域制限
上腕骨小頭の軟骨下骨に透亮像を認めています。
離断性骨軟骨炎を疑う所見です。
MRIが撮影されました。
不安定病変を示唆するT2WIで病変と母床間に高信号を認めています。
また、脂肪抑制T2WIでは周囲に異常高信号を認め骨髄浮腫を示唆する所見です。
遊離は認めておらず、右上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(分離期)と診断されました。
関節遊離体の原因
- 慢性関節炎
- 離断性骨軟骨炎
- 骨軟骨骨折
- Charcot関節
など
参考文献:
- 画像診断 Vol.41 No.1 2021 P93
- 画像診断 Vol.36 No.9 2016 P917
- radiographics 38:1478-1495,2018
- 南山堂医学大事典第19版