先に結論:Lisfranc関節脱臼骨折

  • Lisfranc関節(足根中足関節)の損傷はつま先立ちで強い力がかかる・足の甲を強く打つことで起こり、捻挫と間違えて見逃されやすい重要なけがです
  • X線正面像で第2中足骨の内側縁と中間楔状骨の内側縁がそろっているか、斜位像で第3・4中足骨と外側楔状骨・立方骨の並びを確認します。第1・2中足骨基部の間の小さな骨片(fleck sign)も手がかりです
  • わずかなずれでも不安定なことが多く、荷重位X線・CT・MRIで評価し、多くは手術が必要です
  • 靭帯だけの損傷はX線で写りにくく、MRIで足底側のLisfranc靭帯の断裂を見ると不安定性の予測に役立ちます(Raikin 2009)

そもそもリスフラン関節とは?

  • 中足骨と立方骨・楔状骨を繋ぐアーチ状の構造をした関節でリスフラン(Lisfranc)関節(足根中足関節)と呼ばれる。
  • 関節自体が動くことはほとんどないが、着地時など足に体重がかかったときに衝撃を和らげるクッションの役割を持つ。

リスフラン関節脱臼骨折

  • 中足骨骨折にリスフラン関節脱臼を伴ったもの。
  • つま先で強く着地する、あるいは高エネルギー外傷で直接足の甲をぶつけることで起こる。
  • 足背部の疼痛と腫脹が強く歩行困難となる。
  • 第1・2中足骨基部の間には横の靱帯がなく(第2中足骨基部はLisfranc靱帯で内側楔状骨とつながる)、第2楔状骨は他に比べて小さいため、第2中足骨が脱臼しやすく、まず側方転位する。
  • レントゲンのみでは診断が難しいことも多く、CTやMRIで評価が重要となる。
  • 損傷部は非常に不安定で整復しても再度転位しやすいため、手術療法が選択される。

リスフラン関節脱臼骨折の分類

  • 同側型転位(homolateral displacement)
  • 開散(分散)型転位(divergent displacement)

に大きく分けられる。

Myerson分類はこれらをもとに、全体の不整合(A型)、部分的不整合(B型:B1内側・B2外側)、開散型(C型:C1部分・C2全体)に細かく分類したもの。X線39例を38人が分類した検討では、検者間の一致度は良好だった(Mahmoud 2015)。

同側型転位(homolateral displacement)

母趾とその他の4趾が同一の外側方向に向かって転位する関節脱臼。第2中足骨基部の骨折を伴う。

開散(分散)型転位(divergent displacement)

母趾は転位なし、もしくは内側に転位し、他の4趾は外側に転位するもの。舟状骨の骨折を合併することがある。

リスフラン関節脱臼骨折の画像所見

  • レントゲン正面像で第1・2中足骨関節面と第1・2 (内側・中間)楔状骨間関節面が一直線になるのが正常だがこれが側方転位する。
  • 斜位のレントゲンでは、第2・3(中間・外側)楔状骨間関節面と第2・3中足骨間関節面が揃うか、さらに第3(外側)楔状骨立方骨間関節面と第3・4中足骨間関節面が揃うかを確認する。一直線上になければ脱臼と診断する。
  • 最も多いX線所見は第1・2中足骨基部の間の開大とfleck signだが、どちらも全例にみられるわけではない(Kalia 2012)。
  • CTで確定した例の検討では、非荷重X線の感度は76.1%で、損傷の24%が見逃され、ずれの小さい損傷では感度65.4%に下がった(Ponkilainen 2020)。損傷あり307例・なし100例の検討では、X線の感度81.8%・特異度90.0%で、CTを見て治療方針が変わったのは21.9%だった(Chen 2023)。X線で異常がなくても疑わしければ荷重位撮影やCTを追加する。
  • 少なくとも第2中足骨は骨折しているものとして骨折線を探す。Myersonらの55足の検討では、成績を左右した最大の因子は初回整復の質であり、整復後も2mmを超える転位が残る場合は観血的整復の適応とされている(Myerson 1986)。なお、Lisfranc損傷の見逃しは放射線科医・救急医に対する訴訟原因として最も多いものの一つと指摘されている(Siddiqui 2014)。

実際の画像:Lisfranc関節脱臼骨折のX線・CT

リスフラン関節脱臼骨折 fleck sign X線
引用:Ventura M et al. Cureus 2022(Figure 1)

子どもの右足のX線です。黒矢印は内側楔状骨の外側の骨折(fleck sign)、白矢印は立方骨の骨折と第2〜第5足根中足関節の亜脱臼を示しています。(出典:Ventura M et al. Cureus 2022, Figure 1, CC BY 3.0)

リスフラン関節脱臼骨折 X線
引用:Benejam CE et al. J Med Case Rep 2008(Figure 1)

左足のX線です。第1・第2・第3中足骨が足根中足関節(Lisfranc関節)で外側へずれ、中間楔状骨の骨折を伴っています。(出典:Benejam CE et al. J Med Case Rep 2008, Figure 1, CC BY 2.0)

リスフラン関節脱臼骨折 CT
引用:Benejam CE et al. J Med Case Rep 2008(Figure 2)

同じ例のCTです。足根中足関節(Lisfranc関節)の破綻と、周りの軟部組織の腫れがみられます。(出典:Benejam CE et al. J Med Case Rep 2008, Figure 2, CC BY 2.0)

リスフラン関節損傷の画像の見方(まとめ)

  • どこを見るか:正面像で第2中足骨の内側縁と中間楔状骨の内側縁、斜位像で第4中足骨の内側縁と立方骨の内側縁がそろっているか、を確認します。さらに、最も多いX線所見である第1・第2中足骨基部の間の開大とfleck signを探します(ただし全例にみられるわけではありません)(Kalia 2012)。
  • 分類のポイント:中足骨がまとめて外側へずれる同側型か、第1中足骨と他が別の方向へ開く開散型かを見ます。上のX線(Benejam 2008)では第1〜第3中足骨が外側へずれています。
  • 見逃しやすい点:ずれが小さい損傷や靭帯だけの損傷は、非荷重のX線では見逃されやすく(Ponkilainen 2020)、他の大きなけががある多発外傷の方でも診断が遅れやすいとされます(Siddiqui 2014)。
  • CTが必要になる場面:骨折の範囲、関節の並び、ほかの足根骨の骨折を把握するのに役立ちます。高エネルギー外傷では、X線でわからない骨折がCTで見つかることがあります(Kalia 2012)。
  • MRIが必要になる場面:骨折がはっきりしない「捻挫」のような損傷で靭帯を評価します。21足の検討では、内側楔状骨と第2・第3中足骨基部をつなぐ足底側の靭帯の断裂が不安定性の最も強い予測因子で、感度94%・特異度75%、MRIで21足中19足(90%)の安定・不安定が正しく分けられました(Raikin 2009)。

リスフラン関節脱臼骨折でよくある疑問(Q&A)

Q. リスフラン関節の別名は?
A. 足根中足関節(tarsometatarsal joint:TMT関節)です。楔状骨・立方骨と5本の中足骨の付け根をつなぐ関節です。

Q. 捻挫と言われたのに痛みが続くのは?
A. ずれの小さいリスフラン損傷はX線で見逃されやすく(Ponkilainen 2020)、足の甲の腫れや痛みが続くときは荷重位X線やCTでの再評価を考えます。

Q. リスフラン関節症とは?
A. 損傷後に関節が変形して痛む状態です。Myersonらの検討では、症状の多くは足根部の不安定性と遅れて生じる関節症によるものでした(Myerson 1986)。

Q. X線で異常がないと言われましたが、MRIは必要ですか?
A. 足の甲の腫れや痛みが続き、荷重できないときは、荷重位X線やCTに加えて、靭帯を見るためにMRIを考えることがあります。足底側のLisfranc靭帯の断裂は不安定性の手がかりになります(Raikin 2009)。

※足の甲が腫れて体重をかけられないときは、早めに整形外科を受診してください。

関連記事:第5中足骨基部骨折(下駄骨折とJones骨折) / 外果骨折(腓骨遠位端骨折) / 踵骨骨折の画像診断 / 距骨骨折のレントゲン・CT / 見逃しやすい骨折まとめ

 

参考文献:

  1. 足の画像診断(第2版)  P117-121
  2. 骨折ハンター P306-307
  3. Myerson MS, Fisher RT, Burgess AR, et al. Fracture dislocations of the tarsometatarsal joints: end results correlated with pathology and treatment. Foot Ankle. 1986;6(5):225-42. PubMed
  4. Siddiqui NA, Galizia MS, Almusa E, et al. Evaluation of the tarsometatarsal joint using conventional radiography, CT, and MR imaging. Radiographics. 2014;34(2):514-31. PubMed
  5. Kalia V, Fishman EK, Carrino JA, et al. Epidemiology, imaging, and treatment of Lisfranc fracture-dislocations revisited. Skeletal Radiol. 2012;41(2):129-36. PubMed
  6. Ponkilainen VT, Partio N, Salonen EE, et al. Inter- and intraobserver reliability of non-weight-bearing foot radiographs compared with CT in Lisfranc injuries. Arch Orthop Trauma Surg. 2020;140(10):1423-1429. PubMed
  7. Chen C, Jiang J, Wang C, et al. Is the diagnostic validity of conventional radiography for Lisfranc injury acceptable? J Foot Ankle Res. 2023;16(1):9. PubMed
  8. Mahmoud S, Hamad F, Riaz M, et al. Reliability of the Lisfranc injury radiological classification (Myerson-modified Hardcastle classification system). Int Orthop. 2015;39(11):2215-8. PubMed
  9. Raikin SM, Elias I, Dheer S, et al. Prediction of midfoot instability in the subtle Lisfranc injury. Comparison of magnetic resonance imaging with intraoperative findings. J Bone Joint Surg Am. 2009;91(4):892-9. PubMed

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