距骨骨折1)-3)
- 足関節骨折の3-6%と比較的稀な骨折。
- 骨折線が距骨頚部に明瞭に認めるタイプと、レントゲンでわかりにくい剥離骨折となるタイプに分けられる。前者と後者の頻度はほぼ同様。
- 剥離骨折の好発部位は、距骨外側突起、距骨滑車、距骨後縁。
- レントゲンでは外側突起と滑車は正面像で、後縁は側面像でわずかに見えるのみ。
- 距骨剥離骨折のレントゲンの感度は24-33%であり、判断に迷う場合はCTやMRIで確認する。
- 骨折を見逃した際は回復が遅く骨壊死になりやすい。
距骨骨折の骨折線の好発部位とレントゲン2)
- 距骨頚部骨折:明瞭な骨折になりやすい。→後述。
- 距骨滑車骨折:内反により損傷を受ける。圧痛はなし。
- 距骨外側突起骨折:墜落やスノーボードで受傷する。足関節外側に圧痛あり。
- 距骨後縁骨折:サッカーや空手などで足関節を底屈させる動作により受傷する。足関節後方に圧痛あり。
距骨頚部骨折1)
- ほとんどが高エネルギー外傷。
- 距腿関節を過背屈し軸圧がかかることで生じる。
- 距骨は足部内側アーチを構成し、荷重を下腿に伝達する役割がある。そのため癒合不全や変形治癒は歩行に悪影響を及ぼす。
- また距骨は筋肉の付着部を持たず、多くを関節軟骨に覆われているため、栄養血管が骨折により損傷すると無腐性壊死が発生することがある。
- 骨折に伴い脱臼することがあり、Hawkins分類が用いられる。
Hawkins分類
- typeⅠ:脱臼がないもの。
- typeⅡ:距骨下関節脱臼
- typeⅢ:Ⅱに距腿関節脱臼が加わるもの
- typeⅣ:Ⅲに距舟関節脱臼が加わるもの
参考文献:
- 臨整外 56巻5号 2021年5月 P580-582
- 骨折ハンター P288-294
- レジデントノート Vol.21 No.17(増刊)2020 P197-206